2018年10月27日(土)(午後13時から17時まで)に渋谷区立勤労福祉会館にて、以下の講座が開かれる。
http://www.gyousyubetu-syokusyubetu-union.com/181027coophe-tuda.html
◆「関西生コン労組と協同組合運動――第3回、生コン関連業種別ユニオン連続講座」
Ⅰ部 「資本主義社会を超える経済体制と実現の戦略ー『関生』運動を基礎にー」
報告者 津田直則(桃山学院大学名誉教授)
質問者 木下武男(元昭和女子大学教授)
Ⅱ部 事業協同組合と経営活動
報告者 久貝博司((株)京都生コン代表取締役)
小田 要(元大阪兵庫生コン経営者会会長)
質問者 鈴木和幸(NPO法人クリーニングカスタマーズサポート)
津田先生の当日、話されるパワーポイントをいただき、読んでみてびっくり。
【1】系列下で搾取されている中小企業も事業協同組合設立により社会的連帯経済に入るべきである
4)社会的連帯経済の課題(新パラダイムの創造)
⇒これは、これまでの「労働者協同組合法の推進に当たって、中小企業等事業協同組合法を批判してきた」という認識だったが、それを「社会連帯経済の側に引き寄せ、大企業支配への抵抗主体」としている関西生コン支部運動の成果としている。
確かに狭い範囲の「協同組合推進」論だけでは、現在の社会変革にとって必要十分条件にはならない。
これは広範な建設、運輸、福祉、医療などの中小企業陣営へのテーマとして訴求力をもたらし、さまざまな労働分野に適応できる。
ここにも、関西生コン支部型労働組合運動は大資本には脅威になっている、事実が浮かび上がっている。
この研究会を通じて、労働組合運動・ユニオン運動の横に「産業別・業種別分析ができるNPOの存在意義が見えてきた」ことにつづく、研究会のヒットだ。
▽(追記:2018.11.1)
木下武男さん(元昭和女子大学教授)は、2011年4月に出版された本ですでに以下のように書いてあった
●労組と事業協同組合との共同
第三は、事業協同組合と労働組合との関係についてである。日本的土壌の上にユニオニズムを移植するためにはこの問題が十分に理解されなければならない。重層的下請構造や背景資本による個別企業の支配などによって、大企業の中小企業に対する収奪構造が存在する。また安易な新規参入によって過当競争が引き起こされ、そのなかで中小企業の経営基盤は極めて脆弱である。このような経営環境のもとで中小企業労働者の大幅な労働条件の向上をはかるためにはどのような方法があるのか、という問題である。
実は、今回の関西生コン支部のストライキは、直接的には、生コン企業に対する賃上げを要求してなされたものではない。生コン企業がゼネコン各社に販売する価格をめぐってである。関西生コン支部は、生コンの一リユーベ (立方メートル)当たりの価格の引き上げを要求した。なぜ、このような要求でなされたのだろうか。
生コンは、セメントと砂、砂利、水を撹押して製品ができる。その原料であるセメントは、大手セメント・メーカーが高値を押しつけてくる。また、製品の多くの販売先であるゼネコンは、生コンを買いたたく。大企業に挟撃される形の生コン業界が生き残るには、中小企業が結束する以外にはない。その方法が中小企業協同組合である。関西の生コン企業は、協同組合をつくって「共同受注」と「共同販売」を追求してきた。ゼネコンからの生コンの受注は協同組合が共同して受ける。そして、協同組合が販売価格を設定して、ゼネコンに「共同販売」をする。これは独占禁止法に違反しない。
生コン業界の中小企業協同組合は全国に存在する。しかし、労働組合と共同し、大企業と対抗する協同組合が関西でつくり出されたのは、関西生コン支部の激しい産業別統一闘争によってである。生コン支部は経営者に、生コンの安値販売を阻止するには、協同組合という方式によって「企業間競争の規制」を実現する以外にはないことを闘争と説得によって理解させてきた。この経営基盤の安定によって賃上げの原資を確保することができる。その結果が、今日の関西地方における生コン労働者の労働条件と社会的地位の向上をもたらしたのである。今回も、ストライキの後に支部は五〇〇〇円の賃上げを実現した。
◇出所:《建設独占を揺がした139日―関西生コン労組のストライキが切り開いた地平 : 労働運動の現段階と業種別・職種別運動、木下武男、2011年4月、木下武男、丸山茂樹、変革のアソシエ》
http://www.gyousyubetu-syokusyubetu-union.com/180929bara-assou-kansainamakon.html
「関西生コン労組と協同組合運動のページ」をUPしました。
http://www.gyousyubetu-syokusyubetu-union.com/181027coophe-tuda.html
Ⅰ部 「資本主義社会を超える経済体制と実現の戦略ー『関生』運動を基礎にー」、報告者 津田直則(桃山学院大学名誉教授)全ページ一挙に「パワーポイント」で見られます。
TOPページから
http://www.gyousyubetu-syokusyubetu-union.com/
▽参考論文――
津田直則「モンドラゴン協同組合――連帯が築くもう一つの経済体制」『世界』2012年11月号
「イタリア連帯思想並びに社会的協同思想とその実践――資本主義を超える新たな経済体制論-」『いのちとくらし』62号、2018年3月参照
搾取と闘う社会変革の闘士たち(2018年9月10日 追加・更新)
「社会的連帯経済―ネットワークでめざす新たな社会構想――津田直則のホームページです」にUPされました。
【参考】仕事と雇用確保を実現する連帯労組の戦略――大企業支配に対抗し「社会的連帯経済」の発展による社会変革を求めて、関西派遣団(報告者:弘田孝明)、「2018CSEF ビルバオ大会」への参加に向けて、ソウル宣言の会。
https://www.seoulsengen.jp/blank-3