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新しい労働組合運動を

2018年1月20日 (土)

「浅見和彦のページ」をリニューアルしました。

 以下のように、見やすく・読みやすくして、再構成してリニューアルした。

 

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ページ

http://e-kyodo.sakura.ne.jp/asamikazuhiko/index.htm

新しい労働組合運動の構図 

http://e-kyodo.sakura.ne.jp/asamikazuhiko/atarashii-union.htm

イギリス運輸・一般労働組合

http://e-kyodo.sakura.ne.jp/asamikazuhiko/unyuippan.htm

建設産業における労働組合

http://e-kyodo.sakura.ne.jp/asamikazuhiko/index.htm#kenseturoudou

主な単行本(共著など)

 

「運輸・一般労組(TGWU)の運動とその歴史」は別に紹介したい。

 

 ひとつだけ抽出したいテーマは、「人権2―調査と研究」、岡山 : おかやま人権研究センター、220号、201210月。NPO法人 おかやま人権研究センター事務局」で書かれた、「新しい時代の活動家像を考える」だ。

 

 「三つの変革観と今日の社会改革」の節で「多数者による政治変革にいたる以前に、社会の変革は開始できるし、歴史を振り返ると(中略)第三の見方が得られる」。「あえていえば。今日では政治的変革を相対視、社会改革を重視し拡大する運動観」――「労働組合や協同組合はもちろん、教育・福祉・医療の法人、NPOや社会的企業なども、そうした位置づけを与えられ、発展させられるべきものになる」――、とする。

 この第一は「政権奪取論」(戦後直後の共産党系、1980年代の社会主義協会系、新左翼系など)だ。第二は「多数者革命」で「代議制民主主義のもとでの多数派を獲得し、その後、権力によって社会や体制を変革する」「現在の主流の考え方」(1970年代から民主連合政府を提唱して活動家を総動員した共産党系の方法論、「大企業労働者の思想変革運動を強制して孤立した戦略」)とする(以上、カッコ内は編集子のとらえ方)。

 大胆に言い切っていて、賛同する。

 第三の変革観で「新しい労働組合運動」を担うことが、今問われているのだ。

 

 

 以下の文章は、「現代労働組合研究会のページ」UPした時期に書いておいたものだ。ここに再掲しておきたい。

 ▽2013.06.25

 戦後日本の労働組合の組織化戦略と活動――その経過と論点、浅見和彦、専修経済学論集、4232008 03月、A5判35

 

  はじめに

.戦後日本の組合組織化運動-3つの時期と展開形態

  1.戦後初期

  2.高度成長期

  3.ポスト高度成長期

.論点とその検討

  1.組織論上の原則

  2.未組織労働者の組織化

  3.機能論と労使関係政策

  むすびにかえて

 

 本論文は、「戦後日本における労働組合の組織化の主要な戦略と運動を取り上げる。対象とする時期は、 1945年から2000年前後までである。まず前半でその経過を跡づけて、後半でそのなかから組織論上のおもな論点をひろいあげ、若干の議論をしてみる。そうすることによって、組織化の歴史的な脈絡と、その戦略の意味、組織化運動の成果と問題点について検討するための材料を提示したい」として書かれたものである。

  編集子は、そのなかの「日本における一般労働組合」について、若い世代に伝えたいと思っている。

 

2015.03.19

「日本の労働組合運動の新しい構図」――『経済科学通信』(20128月号、No.129

 イギリスの運輸・一般労組(TGWU)研究の第一人者として長年研鑽している浅見和彦さん(専修大学教授)が、基礎経済科学研究所(京都)の『経済科学通信』(2012年8月号、No.129)に「日本の労働組合運動の新しい構図」を発表し、下記のように、労働組合組織化の方向を提案している。

  長年、労働組合衰退化の悲鳴に近い声を聞いている一人として、説得的提案をしているので、ぜひ多くのユニオンリーダー・労働組合活動家、労働問題研究者に読んでほしい。

 

 全体の柱立ては、以下のように多岐にわたって論じられている。 

 Ⅰ 労働組合運動の現段階――台頭する新しい構図

   (1)ポスト工業社会と大企業の労働者  

   (2)公務・公共部門の労働者と労働基本権   

   (3)中小企業の労働者と運動諸形態   

   (4)伸張する技能職・専門職の労働組合

   (5)非正規労働者の組織化の前進―1980年代以降

  Ⅱ 労働組合運動の改革をめぐる論点と課題

   (1)労働者の諸階層と労働組合

   (2)労働者組織の二重性―労働組合と企業内労働者組織

   (3)「産業」・「地域」・「職場」のトライアングル

  (4)企業内労働者組織の今日的な確立と改革

   (5)労使関係機構と協約による労働・社会改革

   (6)求められる<有機的連帯>の戦略的構想力

 

 著者は、以下のように労働組合組織強化の方向と展望を、提案しているが、編集子自身も「次の世代」に伝えていきたい「未来の希望をつくる労働組合像」だと確信している。

 

 労働組合組織を確立・強化するには、ナショナルセンターが指導性を発揮し、一方で、「産業・業種・職種」の線に沿って、①産業別・業種別・職種別地方組織と全国組織の強化、 ②「産業」と「地域」の“交差点”への事業所別・企業別組織の結集、③個人加盟の労働組合組織(一般労働組合の産業別・業種別・職種別の 部会・支部、産業別労働組合の地域支部、地域ユニオンなど)の拡大・新設、④これらによる産業別・業種別・職種別の団体交渉機能の形成、⑤組織合同がおこなわれなければならず、また他方で、「地方・地域」のローカルセンターを確立・強化しなければならない。「職場」は、こうした「産業」(業種・職種)と「地域」(地方)を結んだ底辺と二つの線に支えられた頂点であることが必要なのである。

 

   

  ▽既出[2013319 ()

  現代労働組合組織論を追求する浅見和彦さん――現代労働組合研究会のHP・ⅩⅥ

   http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-1929.html

 

 

2017年11月 3日 (金)

『学校で労働法・労働組合を学ぶ 札幌地域労組に聞いてみよう 労働組合ってどうすごいんですか?』を紹介したい。

川村雅則ゼミナール(北海学園大学)が発行した、PDFを「現代労働組合研究会のページ」にUPした。 

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http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/union-top.html

http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/sorezorenoroudou-4.htm#kawamura2017

 

 

 川村さんのtwitterでは次のように書かれている。

 https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1389269321172124&set=a.296918970407170.61881.100002672072185&type=3&theater

 

 「労働組合・労働運動は若者には知られていない、、、と嘆く方々がおられます。そのとおりだと思います。では私たちの課題とは、労働組合とはなんであるかを、その具体的な姿・取り組みを通じて伝えることではないでしょうか。労組関係者に挑発的によく申し上げることですが、若者の組合「離れ」以前に、くっついてもいない現実をリアルに受け止め、しっかり伝えていきましょうぞ。/素晴らしい教材ができました。札幌地域労組・恵友会支部のみなさまに感謝申し上げます。」

 

 事実経過は、社会福祉法人における「労働組合組織化」の取り組みの実践的報告だが、その中で「札幌地域労組副委員長・鈴木一氏」の発言がとてもいい。

 

 3か所から引用しておきたい。

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 《その1》写真を見てもらえば分かるようにたくさんの組合員がいますよね。

 私たちの組合は「連合」系というところに所属しているのですが、私たちとは違う系統の「全労連」系の組合の人たちがたくさん来てくれたのです。

 学生のみなさんには意味があまり分からないかもしれませんが、所属の違いを超えてわざわざ応援にきてくれるという、労働界ではあまりないことで、とても嬉しかったです。

 

《その2》学生:御用組合という言葉が何度か聞かれました。労働組合にもいろいろなタイプがあるということなのでしょうか。

鈴木:みなさんの就職先にも、組合が存在する場合もあるでしょう。

 その際、ユニオンショップと言って、組合と使用者が協定を結び、労働者を組合に強制的に加入させている職場があります。そういう場合には、御用組合の可能性が高いです。

 日本の大手の企業にある組合は、多くが御用組合で、ほとんどが組合として機能していない、と言っても過言ではありません。職場でパワハラ、セクハラがおきても対処しない。長時間労働の問題にも対処しない。昨今の過労死の事件でも、組合が全く取り上げてくれない。さらには、遺族の方が裁判を起こそうとしたら妨害してくることさえ珍しくはない。

 ただ、私がみなさんに言いたいのは、そういう会社や組合に入ったからといってもあきらめる必要は全くないということです。

 私たちのような、個人加盟ができる地域の組合は、全国にたくさんあります。この組合はおかしいと思ったら、地域の組合に入ればいい。あるいは、もし頑張れるのであれば、御用組合を、みなさんが仲間と一緒に変えるという道もあります。

 

《その3》だから、世間一般の価値観に縛られることはない。それに、給料がいいからと体を壊すような働き方をしていたら元も子もありませんからね。

 もちろん、仕事はきちんとしてください。仕事をきちんとしていれば、おのずと周りにも信頼できる人間関係がつくられていく。それが人生の財産になるでしょう。

 そして、失敗することを恐れないでください。失敗や挫折を避けて行動しないよりは、当たって砕けて、失敗を重ねていくほうが充実した人生になると思います。

 

▽追記(2017.11.05

 

「管理職ユニオンの結成に見る」、老練な組織づくり熟練職人の、複合的労働組合づくりの姿。

 

《その4》管理職が労働組合を結成したことについてお話ししましょう。

 

 恵友会には、特別養護老人ホームや、グループホームなど、全部で10か所位の施設があります。各施設で一番偉いのが施設長さんです。たしか、施設長3人と、課長さんや事務長、こういう人たち合計10人位で労働組合を作りました。「管理職ユニオン」です。

 

 もしこのとき管理職ユニオンを作っていなかったら、団体交渉時には使用者側に彼らは座らされました。我々労働組合からすると敵側です。組合の対策要員として配置されたと思います。しかし、その前に管理職ユニオンを結成して「私たちも組合と一緒にたたかう」と彼らは宣言したのです。

 

管理職は組合に入れるのか?

 

 これはもう、使用者としては泣きっ面に蜂みたいなものですね。私の知る限りでは、こういう例は全国的にも少ないと思います。

 

 管理職が組合を作れるのかというのは、法的にはグレーゾーンです。

 

 労働組合法は、使用者と同じような権限を持つ人たち、これを管理監督者と言いますが、彼らは組合に入れないという規定があります。そこが拡大解釈されて、管理職――管理監督者ではありません――は、組合に入れないという誤った理解が一人歩きしています。

 

 なのでもし私が使用者側であれば「お前たちは管理職だ。しかも下っ端の管理職ではなくて、施設長という、職場の事実上のトップだ。そういう人たちが労働組合に入るのは法的には許されないんだぞ」。こう屁理屈を言うと思います。

 

▽追記(2017.11..06)

 学校で労働法・労働組合を学ぶ―高校編、発行 川村雅則研究室(北海学園大学)、201511月 (PDF)

  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/151120koukouhen.pdf



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▽追記(2017.11..07)

   なくそう!有期雇用つくろう!雇用安定社会ver 1.0
(PDF版)          

http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/17.10labour
厚生労働省 無期転換ウェブサイト(http://muki.mhlw.go.jp/ )より
川村雅則研究室(北海学園大学)、2017年10月発行

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2017年9月24日 (日)

映画「ドレイ工場」完成50周年記念上映会のご案内

映画「ドレイ工場」が完成して、来年2018年で50年が経ちます。これを記念して、下記のとおり、記念上映会を行います。多くのみなさんのご来場をお待ちしております。

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日時 20171118日(土)

     ①1030、②1345

     *あいだに主催者、出演者等のごあいさつを予定

会場 四谷区民ホール(東京メトロ新宿御苑前駅下車5分)

入場料 1000円

予約 メールをください(折り返し、予約番号をご連絡します)

 

 呼びかけ人:

        小田川義和(全労連議長)

        森田稔(東京地評議長)

        三木陵一(JMITU委員長)

        川田泰志(JMITU日本ロール支部委員長)

        生熊茂実(金属機械反合闘争委員会委員長)

        藤野戸護(共同映画株式会社代表取締役)

 

要 宏輝さんのfacebookへ。

 

この映画のシナリオ編は共同映画社と全金・労働旬報社の先輩たちが作っていました。

その後、『どぶ川学級』を書いてベストセラーになった須長茂夫さんも頑張りました。

 

映画製作責任者の佐竹五三九さん (全国金属書記長・当時)はキップのいい労働組合指導者で、1970年代の春闘高揚期に渋谷の駅から歩いて取材にいき、インタビューをしたり、原稿をいただきました。

戦後の総同盟左派・高野実さんの指導方針について、歴史的に教わった思いがあります。

 

また、単産研究会聞き取り『全国金属の研究――平沢栄一氏、山下芳男氏より』(『賃金と社会保障』19791月上旬号、No.761)で、高木郁朗・早川征一郎・永山利和さんたちの協力でつくりました。

 

以下にご連絡を。手配できると思います.

 

共同映画株式会社

所在地 〒150-0002東京都渋谷区渋谷2丁目5番12号青山アジアマンション505号

03-5466-2311 Fax03-5466-2312

 info@kyodo-eiga.co.jp

 

 ▽追記:(2017.09.30):映画「ドレイ工場」とは
 労働旬報社の原作「東京争議団物語」を、「にっぽん泥棒物語」の武田敦と、PR映画畑の小島義史、それに監督新人協会砧支部が協力してシナリオ化し、「座頭市牢破り」の山本薩夫が総監督となり、武田敦が監督した実話。撮影は劇映画初の義江道夫と、「証人の椅子」の上村竜一。この映画の製作費は資金カンパにより労働組合、民主団体、個人で構成されたドレイ工場製作上映委員会によって作られた。

 

 ◆野原さんへ(2017.11.16)

 ここは紹介のブログです。すいませんが、共同映画へ、ご連絡を。

  noharafamily@icom.home.ne.jp

 上にメールしましたが、リターンしてきました。

 

 

 

2017年9月21日 (木)

ある青年からの激励のメール――ありがとうございます

先日、「現代労働組合研究会のページ」の読者の方から、温かい励ましのメールをいただいた。

 大昔、書籍編集をしていた時代、口伝えのように「1冊の本づくりで大切なことは、人目の読者をつかむことだ」と大先輩から教えられたことがある。著者にとっての一人目の読者は「妻」(「恋人」)、二人目の読者は編集者、そして市場の中で三人目の読者をつかまないと「商品」とならない、ということだ。

 

 単行本企画でもっとも議論されることは「売れるか・売れる本になるか」、「読者は誰だ」という議論だった。企画したものの側からいうと「わからない」とひとこと言いたかったが、人文・社会科学書の当時の現状の中で、「なんとか」「その」などと、もぐもぐ言っていたらけられてしまう。

 とにかく人目の読者の発見がだいじなことだし、「読者の声」は一番ありがたいことだった。

 

さて、連日ある話ではないので、以下のような激励メールは、ビジネスではないが、本当にありがたい。

 

「はじめまして。私は○○の私立学校で組合の役員をしている○○○○と申します。私たちの学校も非常にブラックな職場です。2年前から組合活動を本格的に行い、現在、組合員は6倍化しました。その際に、こちらで紹介されている本のいくつかを参考にさせていただきました。本当にありがとうございます。

○○さんがやっている仕事は私にとってとても価値がある仕事です。

これからも頑張ってください。」

 

 さっそく「紹介した本」などについて、メールでお尋ねしたら、すぐに「父が持っていた『労働組合のロマン』(中西五洲著、19862月、私が編集した)」ともう1つは河西さんの、「路面電車を守った労働組合」、そして「組合がダメになっているのは職場活動の弱体化によるものだと思い」、「私鉄の内山光雄さんの本を勉強している」、という。

 

 「私は今、35ですが、エステ・ユニオンの青木さんは私と同じくらいの方でしょうか。こういう方がいると、励まされます」と返信が来た。

 

 ますます青年・女性の力で「労働組合運動のルネッサンス」をというよびかけを、「現代労働組合研究会の諸ページ」や「業種別職種別ユニオン運動」研究会のページなどで一つずつ発信していかなければならないと思った。

 

 

 ▽参考ページ

  ●中西五洲さんに関して

  20170816君は知っていますか「全日自労」という労働組合――中西五洲の思い出+「機関紙じかたび」(PDF版)――現代労働組合研究会・飯島信吾編

  ●河西宏祐さんに関して

  150720日: 河西宏祐著『路面電車を守った労働組合――私鉄広電支部・小原保行と労働者群像』(平原社、定価:2000円+税、20095月)

  ●「内山光雄さんを偲ぶ」を寄贈されて(2013年8月 7日 (水))

http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-8a3c.html

  130807日:『追悼文集 内山光雄さんを偲ぶ』20121119日、「内山光雄さんを偲ぶ」編集委員会、総評退職者会気付、03-3251-0311)(PDF版) 

  ●[事例]エステ・ユニオンによる労使関係の展開、報告:総合サポートユニオン執行委員:青木耕太郎

  http://www.gyousyubetu-syokusyubetu-union.com/170902dai1kaireikai.html

 

2017年4月30日 (日)

君は知っていますか「全日自労」という労働組合

 総評が奮闘していた時代(1960年から1980年代)、全日自労は反主流派として太田-岩井ラインに物申す労働組合として、失業者を組織し、20万を超えたユニークな存在だった。


 日本の労働組合運動では、ここまで“自力で組織した労働者の運動”はない。

 

 失業・貧困・労働者の生活を調査・研究した「江口英一」(中央大学教授)さんが書き残した《下段参照:江口英一、じかたびの旗のもとに、「全日自労」『朝日ジャーナル』、19656月号のちに『日本の巨大組織』(1966年)、勁草書房》を是非一読してほしい。

 そのリードに「首切り100万におよぶというレッドパージは、二重構造の底辺に停滞する失業者に組織の核を与えた。かれらは“じかたび”をその統一の象徴として、弱いもの同士の結びつきをつくり、やがて世界に類を見ないアミーバのような柔軟な組織に育ったのだが……。」と記す。

 

 戦後の大量に首切られた人びと――レッドパージを受けた人たち、大企業・中小企業工場からの労働者子弟、農業から排除された人や地場の商店主・都市現業労働者の人たち、そして子どもを抱えた数多くの女性労働者――が参加したのだ。


 不熟練日雇労働者がさまざまなリーダー(永戸祐三さん[日本労協(ワーカーズコープ)連理事長]が現在から振り返って書き続けている「ワーカーズコープの体験的歴史と思想」『日本労協新聞』では、その幹部はヤクザから社会党、共産党、自民党の人たちだと書いている)にオルグされながら、この組合をつくったのだ。

 全日自労のたたかいの経験は、「労働組合は企業の外にある運動」で、失対賃金を引き上げ、さらに地域を基軸に組織化して、政府・労働省(当時)・地方自治体へ要求闘争を行い、地域の労働者の組織化(地区労づくり)をして、自らの子育てのために保育所づくりや失業をなくす運動、高齢者の要求闘争の基礎をつくっていたことが貴重だ。

編集子の編集者時代は、「高度成長経済」の時代であったため「日本的企業社会」に包摂されて生きられる労働者諸氏が多く、自ら組織化をする人たちは少なかった。


 また労働者や青年たちのエネルギーは、社会党・共産党、そしてニューレフトという「先党思想」(ある種の前衛イデオロギー)にとらわれ、労働組合運動に目をむく面が弱かった。

 

 大企業のマスコミ人に忘れ去られているのはやむを得ないが、生きることに呻吟している青年・女性たち、4割に及ぶ非正規労働者がつくられている現代日本の状況をつくりかえるために、自らを組織した労働者・庶民のエネルギーを、ぜひ「全日自労」の運動から学んでほしい。


 そのために、これまでフォローしてきた文献・論文・評論などを、「松澤常夫のページ」内に、以下のようにUPしてある。(クリックしてください)

 


 「じかたび」・全日自労の研究

 


 雇用保険制度を現実に役立つものに、松沢 常夫、「月刊福祉」 60(1), p4―7, 1977―01        

 人間は変わるんだ 労働者はたたかうんだ――全日自労の中央委員会から、松沢常夫、「たたかいのルポルタージュ」創刊号、19795月号、現代ルポルタージュ研究会

 全日自労の「民主的改革闘争」の意義、「マルクス主義研究年報」、1980年版、NO.4、マルクス主義研究セミナー、芝田進午責任編集、合同出版

 建設一般全日自労 雇用・失業保障確立へ新たな"三年闘争" (総評臨時大会と同盟路線<特集>) ―(労組大会からの報告) 、松沢 常夫 、「労働運動 」(192), p109―112, 1981―12     

 失対労働者の闘いから学ぶこと――働き闘い生きる、松沢 常夫、「労働法律旬報」 (1151), p48―51, 1986―09―10  

 

 

 「じかたび 1500号さらに輝け」◆主な目次

  目で見る〝じかたび″1500号のあゆみ

 発言でつづる.じかたび″の教訓

  機関紙中心の組合活動

   読みあい話しあい/個人有料購読制/独立採算制/配達・集金活動/拡大運動/通信員制度/組合員の心が通う新聞を/闘いと〝じかたび〟/地方機関紙・職場新聞

 

〝じかたび″君ありがとう 中西五洲

 座散会 開くのが怖くなるような新聞を、中央大学教授・江口 英一さん、日本機関紙協会事務局長・福谷 保夫さん、『全建総連』編集部・千葉景四郎さん、司会 〝じかたび〟編集部

 

 「じかたび・全日自労」の研究

 映画『どっこい生きてる』、(1951年/監督:今井正/出演:河原崎長十郎 河原崎しづ江 他)――戦後ニコヨンと呼ばれた日雇い労働者の苦闘を描く今井正の代表作。傑作『自転車泥棒』を手本とした社会派のエポック的作品。[新日本映画社]

   https://motion-gallery.net/projects/DOKURITSU

 

 都市下層における反差別のかたち一一日雇労働における「部落」と「在日」、山本崇記、「立命館言語文化研究 」19(2), 165-182, 2007-1、立命館大学国際言語文化研究所

 

 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/lcs/kiyou/19-2/RitsIILCS_19.2pp.165-182Yamamoto.pdf

 

 ▼上の論文で紹介されている、江口英一さんの論文ほか。 

 江口英一、1961、「未組織労働者」、大河内一男編『日本経営と労働(2)一講座現代日本の分析 第4巻』、有斐閣

 江口英一、1966じかたびの旗のもとに、「全日自労」、朝日ジャーナルのちに『日本の巨大組織』、勁草書房

 江口英一[]編、1979a、『山谷一失業の現代的意味』、未来社

 江口英一、1979b、『現代の「低所得層」「貧困」研究の方法(上)』、未来社

 江口英一、1983、「自由労働組合=全日自労の生成をめぐって」、黒川俊雄[他]編『労働組合運動の現代的課題』、未来社

 ▼参考

 全日自労における団体交渉の構造、江口 英一、月刊労働問題、196309

 江口英一編『団結よひろがれにこよん詩集の人々 増補改訂版』、ぱるん舎、1981

 

 全日自労の"じかたび"中心の労習活動の進展 、明神 勲、労働運動・労働組合における教育・学習活動(特集・労働者教育の展望) 1970-12-00 日本の社会教育 / 日本社会教育学会年報編集委員会 編   (2017.04.15

 

 『全日自労の歴史』、全日本自由労働組合編、労働旬報社、197710

 

 1950年代における全日本自由労働者組合婦人部関係史料について史料紹介『婦人部ニュース』・『全国婦人代表者会議議事録』・『全国婦人部長会議議事録』杉本 弘幸、「ジェンダー研究」、第15号、2013年2月28日発行、編集・発行、公益財団法人 東海ジェンダー研究所

 ヨイトマケの唄,ニコヨンの歌 : 戦後失対労働者の存在形態と社会意識、杉本弘幸、同志社大学人文科学研究所紀要「社会科学」、同志社大学人文科学研究所、20141128

 

 ●20150224日:それぞれの労働組合運動史・論4――現代労働組合研究会のページ

 ◇中西五洲さんの思い出――主な論文・エッセイ抄 インターネット事業団・飯島信吾編(PDF版) 

 ●20150215日:全日自労三重県本部の歴史をまとめるにあたって、手島繁一、協同の発見、199510月、43

 『皆でたたかった50全日 自労三重県本部の歴史』の刊行に当たって、手島繁一、協同の発見、19966月、51

 ●『皆でたたかった50全日 自労三重県本部の歴史』、全日自労建設一般三重県本部 、協同総合研究所 編、1996年、 シーアンドシー出版

 ●20140730日:労働組合運動の民主的改革路線、中西五洲・永山利和、労働組合の民主的改革、19853月、「黒川俊雄のページ」参照

「書評:建設一般の50年」(全日自労建設農林一般労働組合50年史編纂委員会編、大須他と共著、旬報社)、上畑恵宣(同朋大学教授)、「賃金と社会保障、No12341999年3月下旬号  

2016年12月24日 (土)

「首都東京における地域労働組合運動:新宿区労連と全労連・新宿一般労組の組織、運動」を紹介する。

「新宿一般労働組合@最低賃金を1500円に」(@ShinjukuUnion)とアピールして、新宿界隈をパレードしているユニオンをtwitterでフォローしている。

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かまやん ‏@kama_yam  1115 #最低賃金が1500円になったら 、いまよりも確実に景気がよくなります。個人消費は経済の6割を占めます。庶民のモノを買う力が奪われています。最低賃金を大幅に上げることはそれをやめる近道です。しかも経済活力の源である「人」がもつ力を引き出し、長期の持続的な成長の基盤もつくります。



 などtwitterで共鳴しあっている声を出している。

 

 この運動を担っている「新宿区労連と全労連・新宿一般労組の組織、運動」(法政大学大原社会問題研究所編 ワーキングペーパーNo36 20102月刊)を「芹澤壽良のページ」にUPした。

 

  芹澤壽良のページ

  

 

 芹澤先生から少部数のプリント版なので、若い世代にも読んで欲しいと前々から言われていたので、今回、PDF化した。

 

 本書の柱建ては、以下の通り。

 はじめに―本調査の目的と意義             

Ⅰ 首都東京の戦後労働組合運動における地域組織の歴史的変遷

                 (菅頭康夫 高橋博 屋代 眞)

Ⅱ 新宿区労働組合総連合(新宿区労連)の組織と運動 (芹澤壽良)

Ⅲ 新宿一般労働組合(新宿一般)の組織と運動 (浅見和彦)

Ⅳ 新宿区労連の基本的運動課題の展開 (長谷川義和)(芹澤壽良)(東 洋志)

Ⅴ 新宿区労連加盟の幾つかの労働組合の組織と特徴的運動(田中紘一)(芹澤壽良)(小澤晴美)(長谷川義和)(赤堀正成)

Ⅵ 調査結果からの提言

<資料編> 

(岡村 稔)

 

  新宿区労働組合総連合 全労連・新宿一般労働組合

 

    http://shinjuku-union.org/

 

 

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 ▽追記(2016.12.25)

  2009-12-21

 12月21日(月)  新宿区労連調査聞き取りへの感想 

    五十嵐仁(大原社会問題研究所)

                           http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2009-12-21

 

 

▽現代労働組合宣言づくりのために―現代労働組合研究会のページ

http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/union-top.html

 

2016年11月19日 (土)

中野晃一さんが語る“市民の側からみた「連合って何?」”

 新潟県知事選以降、ナショナルセンター「連合」の会長が、マスコミにたびたび登場して、参議院選挙の萌芽的・部分的勝利を勝ち取った「野党共闘」にくさびを打ち込もうとしている。そのど真ん中のテーマが「民共」間の引きはがしがテーマだ。

 しかし、市民レベルの政策合意をすすめ、民主主義の力を発揮し始めた人たちの代表的な政治学者が、きっちり発言し始めていることに敬意を表したい。

 日本的企業社会に負けてしまった労働問題研究者より、的確な発言だ。

 

 中野さんの「連合って何?」をUPしたサイトは、以下のように「”SEALDs POST”を譲り受けたもの」と書かれている。一部には「2015年安保闘争」と称された「安保法制反対」運動のエネルギが持続していることがわかる。

 

POST” は、政治と私たちの距離を近づけるためのウェブサイトです。 “POST”は、「リテラシー・サイト」として政治や社会の考え方の一つの参照点となるとともに、読者の皆さまと共に学び合う場であることを目指していきます。

ところで “POST” は、”SEALDs POST”を譲り受けたものです。ウェブサイトの譲渡にあたり、元々はドメインを変更する予定でしたが、時間や予算の都合上難しいため、当面はsealdspost というドメインのまま運営していくこととなりました。サイト名は、“POST” となります。今後は幅広いイシューを取り扱い、様々な方・団体とのコラボを企画していきます。

http://sealdspost.com/

http://sealdspost.com/about

 

COLUMN  November.18.2016

連合って何?(上智大学教授:中野晃一)

 

文: 中野晃一/編集:POST編集部

http://sealdspost.com/archives/5046

 

民進党の支持母体、連合。でも、この前の新潟県知事選では、その連合は与党候補を推してました。うーん、よくわからない・・・。

左派やリベラルのあいだでは、連合に対する不信が高まっています。でも、それでいいのかしら。ここでは、日本の政治にとってものすごく重要なはずなのに不思議な存在、連合について、上智大学の中野晃一先生に解説していただきます。

まずは、その連合の基礎となっている労働運動についてのお話から。

 

 

 

中野さんは、以下のような柱建てで書かれている。

 連合のなりたち

連合内部の多様性

総がかり行動の意義

 私たちにできること

 

 連合幹部の突出的背景として、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」などが形成された危機感から、数々の発言があることを示唆している。

 Sougakari


 

「総がかり」の結成と、それに危機感をもつ連合右派を中心に考えていきたいと思います。

 安倍政権のもたらした平和憲法の危機に際して、その確執を乗り越えるようになってきました。こうして201412月に発足されたのが、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」なのです。

これは画期的なことです。というのも、自治労や日教組など連合左派が下支えする「1000人委員会」と、全労連(自治労連や全教を含む)など共産系の諸団体が構成する「憲法共同センター」。この二つが、無党派市民の平和運動である「解釈で憲法9条壊すな!実行委員会」と、文字通り「総がかり」で憲法破壊阻止へと力を合わせるようになったのですから。そしてこの総がかり体制は、立憲野党(民進党、共産党、自由党、社民党)による、野党共闘体制の社会的基盤を準備することにもなりました。

しかし、だからこそ「総がかり」の動きは、連合右派の反発と警戒を招いています。右派出身の連合会長をはじめ、「連合」が野党共闘に反対し、横やりを入れるような言動を繰り返すのはこのためでもあります。

 

 

そして「私たちにできること」の中で、“私たちにできることは、連合や民進党の右派が改憲勢力に合流することをくいとめつつ、連合左派を応援し、連合内外における発言権の強化を後押しすることです。そのためには、労働運動全体にもっともっと女性や若者ら非正規雇用の人びとや、「サービス残業」の蔓延や過労に追い込まれている働き手すべての声を届けて、働きかけ、変えていくことが必要条件となります。”としている。

 

話は飛ぶが、地元の民進党系を支える市民運動の人たちと話をしていて、「自らの運動の成果としての比例区1175万票余の得票で一番利益を受けたのが、連合系の組合幹部の参議院議員選出だ」という事実を知らなかったことだ。

http://www.asahi.com/senkyo/senkyo2016/kaihyo/C01.html

 

連合系の企業内組合集団だけで、1175万票余の得票はあり得ない。市民が知らないだけだ。

連合に物申す、民進党を支持する市民グループができてもおかしくない。 

 

読みやすいように「PDF」ファイル化したいが、どうか。

2016年11月 7日 (月)

「新しい労働組合運動を」読んでいただいた方へ――ありがとうございます。

20161107、本プログで以下のように読んでいただいた方がいました。ありがとうございます。まだまだ発信します。

 現代流の「労働組合憲章」と「日本労働組合期成会」づくりのために。

 

19:20:40 14ページ目 (0) 「総がかり行動」の労働運動版を――「労運研」からの呼びかけ: ある編集者のブログ

okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post... 

19:12:42 13ページ目 (758) 「総がかり行動」の労働運動版を――「労運研」からの呼びかけ: ある編集者のブログ

okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post... 

19:12:08 12ページ目 (34) 「総がかり行動」の労働運動版を――「労運研」からの呼びかけ: ある編集者のブログ

okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post... 

19:11:11 11ページ目 (57) 『貧困世代』(藤田孝典著)が投げかけていること: ある編集者のブログ

okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post... 

19:04:17 10ページ目 (654) ある編集者のブログ: 新しい労働組合運動を

okina1.cocolog-nifty.com/blog/cat24016761/ 201610 8 ()

業種別職種別ユニオンの提案――木下武男さんの論攷

19:04:05 9ページ目 (12) ある編集者のブログ

okina1.cocolog-nifty.com/blog/ 

18:52:44 8ページ目 (1121) ある編集者のブログ: 労働問題・労働組合

okina1.cocolog-nifty.com/blog/cat22820964/ 

18:50:41 7ページ目 (23) ある編集者のブログ: 労働問題・労働組合

okina1.cocolog-nifty.com/blog/cat22820964/ 

18:50:39 6ページ目 (2) ユニオン・ショップ、労働組合の選択の自由、連合内「閉じこもり論」、連合内「階級的民主的強化の担い手論」をめぐって: ある編集者のブログ

okina1.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post... 

18:50:34 5ページ目 (5) ある編集者のブログ: 労働問題・労働組合

okina1.cocolog-nifty.com/blog/cat22820964/ 

18:48:24 4ページ目 (210) ユニオン・ショップ、労働組合の選択の自由、連合内「閉じこもり論」、連合内「階級的民主的強化の担い手論」をめぐって: ある編集者のブログ

okina1.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post... 

18:41:42 3ページ目 (642) ある編集者のブログ: 労働問題・労働組合

okina1.cocolog-nifty.com/blog/cat22820964/ 

18:41:05 2ページ目 (37) ある編集者のブログ

okina1.cocolog-nifty.com/blog/ 

18:41:02 1ページ目 (3) 日本は「協調組合主義」と決別を=ノーベル経済学賞受賞者・フェルプス氏(アメリカ): ある編集者のブログ

okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post... 

2016年9月 8日 (木)

『貧困世代』(藤田孝典著)が投げかけていること

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 『下流老人――1億総老後崩壊の衝撃』(朝日新書、20156月)で衝撃的な問題提起した社会福祉士の著者が、『貧困世代』に陥っている青年・女性の側から、現代社会を切っている本が本書だ(『貧困世代――社会の監獄に閉じ込められた若者たち』、藤田孝典著、講談社現代新書、20163月)。

 

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 主な柱立ては、以下の通り。

 はじめに

 第1章 社会から傷つけられている若者=弱者

 第2章 大人が貧困をわからない悲劇

 第3章 学べない悲劇――ブラックバイトと奨学金問題

 第4章 住めない悲劇――貧困世代の抱える住宅問題

 第5章 社会構造を変えなければ、貧困世代は決して救われない

 

 著者は、「はじめに」で次のように書いている。

わたしは2015年、『下流老人――1億総老後崩壊の衝撃』(朝日新書)を刊行した。「生活保護基準相当で暮らす高齢者及びその恐れがある高齢者」を下流老人と定義し、高齢者の貧困の実像に迫ったのである。「下流老人」はおかげさまで、2015年の新語・流行語大賞にノミネートされ、その問題意識はひとつの視点として確立され、現在でも大変な反響を得ている。(中略)実際に『下流老人』を読まれた方々からは、「俺たちの老後はもっと悲惨になるだろう」「今の高齢者でこんな状態なら、私たちはどうしたらいいのか…」という意見が多く寄せられている。『下流老人』の読者層の中には、現在働いている若い年代の人々も多く含まれていたのである。

 (中略)「普通」に定年まで働き続けられない。

 持続可能な形態の雇用は減少しているにもかかわらず、離職をする若者や働くことに困難を抱えた若者は「努力しない社員」とレッテル貼りされ、場合によっては生活に困窮することが増えている。悪いことに、日本社会は、それを善しとさえしているのだ。

 つまり、社会構造や雇用環境が変わらない限り、若者たちは以前のように働いても報われないし、容易に生活困窮する存在となった。彼らはすでに「社会的弱者」としての地位を確立している。だから貧困世代なのである。


 「はじめに」の最後に“ 日本社会に新たに登場した大問題「貧困世代約3600万人の悲劇」について、多くの人たちに「下流老人」問題以上に考えていただきたい”と結んでいる。

 

 本書で展開している、「ブラックバイト」や「奨学金問題」、「住宅問題」など青年・女性をとりまく労働・生活の貧困化は、高度経済成長期以降には表面化させなかった事態が、バブル崩壊以後、顕在化したわけだ。

 その問題発見から解決への「解」として、編集子としては、全くおどろきの共鳴をしたいのが、「提言1・新しい労働組合への参加と労働組合活動の復権」を提起していることだ。



 なんと政党主導型ではない超党派の労働組合運動づくりを問題提起している事実には、まったく敬服したい。

 また連合や全労連、全労協という旧来の枠組みではない形で、青年たちへの呼びかけをしていることも、驚きだ。「旧システム」においても民主主義的変革の担い手として、統合化した労働組合運動を願っている青年・女性にはぜひ読んでほしい本だ。

 「総がかり労働組合運動」を模索している人士にも、この訴えを身体化できる度量を示して、受け入れてほしい。

  

 ▽追記 本書では、以下のような提言を行っている。

 

 提言2・スカラシップの導入と富裕層への課税――財源は「取らないから、ない」 

 提言3・子どもの貧困対策とも連携を 

 提言4・家賃補助制度の導入と住宅政策の充実が貧困を止める 

 提言5・貧困世代は闘技的民主主義を参考に声を上げよう 

 結論・貧困世代をなくすために求められること

 

 

 

2016年8月 5日 (金)

「総がかり行動」の労働運動版を――「労運研」からの呼びかけ

 戦争法案反対時における「SEALDs、ママの会」の登場、参議院選挙での「市民連合」と「4野党共闘」などが、新しい時代転換の動きになってきていると認識している。

 

しかし労働組合陣営はどうなっているのかと思っていたが、社会科学研究者の五十嵐仁さんが書かかれた下記の文章――「現代の多様な社会運動の意味」(『学習の友』2016年7月号、五十嵐仁のページ参照)では、戦争法案反対・反原発運動の統一を進める「3つの潮流の共同」が生まれてきていることを示唆していることは注目したい。

http://e-kyodo.sakura.ne.jp/igarashi/igarashi-index.htm

 

 3つの潮流の共同

 第1に、市民団体、全労連系、連合系という3つの潮流の共同によって担われたということです。その一つの到達点が、2016年5月3日に東京臨海広域防災公園で開かれ5万人が参加した集会でした。この集会では市民団体が結集した「解釈で憲法9条壊すな!実行委員会」の高田健さんが開会あいさつ、「戦争する国づくりストップ!憲法を守り生かす共同センター」の小田川義和さんがカンパのお願い、「戦争をさせない1000人委員会」の福山真劫さんが行動提起をしました。

 この3つの団体は、2014年12月5日に結成された「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の構成団体です。市民団体とともに異なる潮流の労働組合が戦争法反対闘争を支えていたわけで、とりわけ全労連は大きな役割を果たしました。このような実績を背景に、「連合系」と「全労連系」との初歩的な「共同」が実現するなど労働運動にも一定の前進的な影響が生じています。

 

 

 労働組合運動家の伊藤彰信(労運研共同代表)さんからも、その方向を前に進める声が出ていることも大事だ。

 労運研とは、「労働運動研究討論集会実行委員会」の略だが、総評系の系譜を持った組合リーダーの集まりのようだ。伊藤さんは「全港湾出身の幹部」(どこかの発言で記憶しているが「連合のお誘い」を断った単産で有名)で、その他多様な発言者が登場している。

 http://www.rounken.org/


  160805rouunken

  「最低賃金大幅引き上げを労働運動としてたたかおう」(伊藤彰信・労運研共同代表、「月刊労運研レポート」第24号、20166月)の中で、下記のように、“「総がかり行動」の労働運動版を”を呼び掛けている。

 

 1 「総がかり行動」の労働運動版を

安倍首相は、参議院議員選挙で改憲勢力が3 分の2 の議席を確保し、憲法改正に踏み出そうとしている。集団的自衛権行使を容認する閣議決定を期に、安保法制に反対し、憲法改悪を阻止するために労働組合、市民団体により「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動」が結成され、1 5 年安保闘争がたたかわれた。いまや、安保法制廃止の4野党共闘が形成 され、9条改正阻止を旗印に参議院議員選挙がたたかわれようとしている。

安倍政権を打倒するためには、安保法制の課題だけでは無理であろう。安倍内閣は高い支持率を維持している。それは、労働者を含む多くの国民が、安倍に景気回復を期待しているからであり、アベノミクスを信じているからである。安倍を打倒するには、新自由主義が貧困と格差が拡大してきたことを暴露すること、アベノミクスがさらに拡大を加速させていること、「一億総活躍プラン」はその破たんを隠す実効性の無いプランであること、そして、この状況を打破するには、労働運動がしっかりと新自由主義、アベノミクスとたたかい、貧困と格差をなくす社会づくりをめざすことである。

「総がかり行動」は、「戦争・原発・貧困・差別を許さない! 」をスローガンにしている。労働運動として「戦争・原発を許さない」たたかいをすることはもちろんであるが、労働分野の課題である「貧困・差別を許さない」ことこそしっかりとたたかわなければならない。    

平和フォーラムは「フォーラム平和・環境・人権」が正式名称である。総評から連合に継承できない課題である「平和・環境・人権」のたたかいを担う組織である、総がかり行動の「戦争・原発・差別」の課題に符号する。残された「貧困」問題は労働問題であり、労働組合が担わなければならない課題である。

労働運動研究討論集会実行委員会( 労運研)が提起している「非正規労働者のためのユニオンキャンペーン」は、日本の労働人口の4 割を占める非正規労働者が労働組合( ユニオン)に結集し、企業別労働組合を克服する運動をつくりあげていくことが、日本の労働運動を新しく創造していくための課題であるとの認識から出発している。企業別労働組合の克服は、思想的に、組織的に克服していかなければならないだろうが、それは、頭の中で考えることや組織いじりで解決できるものではなく、運動を展開しながら克服していくものであろう。

「非正規労働者のためのユニオンキャンペーン」は「貧困・差別」を課題としている。非正規労働者が受けている差別、例えば労働契約法2 0 条問題、賃金差別なども取り上げている。最も克服しなければならない労働分野における差別の課題は「非正規労働者は雇用の調整弁であり、非正規労働者が存在するから、自らの雇用と労働条件が確保されている」と思う「本工主義」ともいわれる正社員の差別意識であろう。

 

・東京都大田区蒲田5-10-2 日港福会館4F 全日本港湾労働組合中央本部気付

・月刊・労運研レポート

 発行責任者・伊藤 彰信 

http://rounken .org/

・郵便振替 00130-7-360171  労働運動研究討論集会実行委員会

・電話・FAX 03-3894-6620  

mail roukenj2014@yahoo.co.jp

 

 若い世代のために、地道な共同行動から「1500円最賃実現、非正規労働者と正規労働者の同一労働同一賃金の実現」をすすめる労働組合組織化などの統一行動へ発展することを願っているのは、編集子だけではないだろう。