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市民にとっての経済

2017年1月25日 (水)

世界最強企業のウォルマートをなぜ朝日新聞は書かないのか―「トランプ現象の深部」

 

今話題の「トランプ化現象」への分析の仕方を、「朝日新聞」などのマスコミはわかっていないのではないかと思い、以下の論文を読み返した。

 

 「朝日新聞」はウォルマートについて、3回、記事に出ているが(トランプ大統領関連の記事)、その分析ができないままに、「自動車」で書いている。

 

 

これはなにか、根本的な「多国籍企業論」と「金融資本」(マネーゲーム社会)「小売り・流通社会」「ITビジネス社会」の動向が、わかっていないのではないかと、一人で怒っている状況だ。

 

佐々木洋先生(札幌学院大学名誉教授)が、「ウォルマート」を事例として、アメリカ多国籍企業とPOSシステムなどを活用した、「ジャスト・イン・タイム」(中国からアメリカ本国への移送)の製造システムを書かれている。

佐々木洋のページ

 



   アメリカ労働運動の最近の動向はわからないが、レオ・ヒューバーマンの本を勉強した者としては(
『回想の川﨑忠文』(PDF版、なんでアメリカ労働者は「トランプ」にだまされているのか。

 

自著紹介・佐々木洋 『ウォルマートはなぜ、世界最強企業になれたのか:グローバル企業になれたのか』(ネルソン・リクテンスタイン著、佐々木洋、金曜日、2014年)。

佐々木洋:「中米蜜月Chimerica時代と工会ウォルマート支部の創設」、「HeeRo REPORT」(20111月号、No.113)。

佐々木洋:ウォルマートは世界をどう変えたか――N・リクテンスタイン『小売革命』を手がかりに、「週刊金曜日」、2011121623日合併号、877号。
対談・佐々木洋×水野和夫
 司会北村肇:延命する資本主義――過剰資本大国 日本の進むべき道、「週刊金曜日」、20131223日号、972号。

 ▽追記(2017.01.26)

 『ウォルマートはなぜ、世界最強企業になれたのか (グローバル企業の前衛)』 、ネルソン・リクテンスタイン (著), 佐々木 洋 (翻訳) 、 金曜日 (2014年9月)

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 ▽参考(2017.01.28)(WEB上に以下の論評があった。下の図のように、対外赤字の最大は中国で、相手国別貿易赤字は対中5割と圧倒的であることが図表でわかる)

 《武者リサーチ》ストラテジーブレィン (176号) トランプ氏の「保護主義」における二つ類型~ トランプ氏のドル安願望は叶わない2017 1 29 日)

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2015年11月 4日 (水)

Twitterで発信されているアベノミクスの終焉

 

最近のゆうちょ株をめぐる報道しかしない、テレビ・マスコミのみなさんへ。


  気鋭の研究者だけではなく、自主的な市民運動の側からも、「さらばアベノミクス」とツイートされていることを少し自覚してほしい。

 (以下、クリックするとその団体・研究者のページに行く)



  自由最賃同盟 ‏@SaitinKyoto 11
4日 (2015年、以下同)

 
 アベノミクスの矢がいつまでも的外れな「本当の理由   http://diamond.jp/articles/-/81007 @dol_editorsさんから 日本の「賃金の上がらない」構造を変えるべきとのこと。その通り! みんな、もっと賃金もらおうぜ。


 AEQUITAS /エキタス ‏@aequitas1500 11月3


 アベノミクスは企業が設備投資しやすいように市場改革しようってな話。 つまり、低賃金で首切り自由で、労働者を使い放題にしようってこと。それなら大企業も積極的に設備投資するでしょ?って言ってるわけ。派遣法も残業代ゼロ法もそういう文脈で出てきてる。

 


 金子勝@masaru_kaneko  11月2日

 
 消費者物価上昇率も経済成長率もマイナスなのに、企業決算は最高益を続ける。上場企業の2015年9月中間決算は非製造業が45・4%の大幅増、製造業は伸び悩んでも9・3%増。だが、トリクルダウンはナシ。アベノミクスで、企業栄えて国滅ぶです。http://goo.gl/WUudhu


 金子勝@masaru_kaneko030


 【デフレ復活2】民間機関のマイナス成長予測も相次ぐ。実質GDP成長率は前期比年率1.1%減~0.1%増の見通し。9月の家計消費は再びマイナス0.4%になった。どうやって名目GDP600兆円を達成する?アベノミクスはネズミ講詐欺です。http://goo.gl/ZJpL0a


 金子勝@masaru_kaneko 1030


 【デフレ復活1】日銀の2%物価目標の達成時期がまた1年先送り。生鮮除く消費者物価目標は、15年度は0.7%から0.1%に、16年度は1.9%から1.4%に大幅に下方修正した。2年半たってますます目標は遠ざかる、アベノミクスは大失敗。

 

 金子勝@masaru_kaneko 1030

 

 
 9月の消費者物価指数は、総合指数がゼロ、コア指数はマイナス0.1%http://goo.gl/1oLZK 企業物価指数はマイナス3.9%で6ヶ月連続。 https://goo.gl/BHxlv7 アベノミクスは失敗でデフレに逆戻り。メディアは批判せず新3本の矢。

 

  高橋伸彰@EcoTakahashi  1030

 
 9月の実質消費支出0.4%減 2カ月ぶり前年下回る  :日経 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL27H81_X21C15A0000000/ →だからって、日銀がさらなる金融緩和をしても効果ないからね。株価は上がっても、国民生活は改善しない。効き目のない矢を何本も放つより、暮らし第一の矢を一本放つほうが有効だよ。

 

  高橋伸彰
@EcoTakahashi 1024 

 

 
 GPIF
がこの79月期に10兆円の運用損を出したそうだ。安倍首相が運用の指南を仰ぐアメリカの証券会社と投機家に、国民の老後資金を貢いだ結果だよ。横浜のマンションが傾いたのも問題だが、年金が傾く運用損はもっと問題だろう。日本のメディアは国民にとって重要な問題をきちんと報道しろ!

  

  石川康宏 @walumono0328  11月06日 

  

 「首相の『強い経済』 日本をどこに導く/GDP600兆円へ 財界『大胆な策を』/経済の軍事化で 『富国強兵』を狙う」。「利益は史上最高」「賃金上昇には回らず」「設備投資の伸びも低調」。 

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-11-06/2015110603_01_1.html

 

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2015年5月21日 (木)

アベノミクスは国民をどこにもっていくのか――その5・里山資本主義の提案

20089月のリ―マンショック後、アメリカ経済がダウンし、「日経平均株価も大暴落を起こし、912日(金)の終値は12214円だったが、1028日には一時は6000円台まで下落」(ウィキペディア)したのはつい最近だ。

 『里山資本主義――日本経済は「安心の原理」で動く』(藻谷浩介他著、角川書店 、20137月)を書いたNHK広島のプロデュ―サ―の井上恭介さんは、その「マネ―資本主義」の取材から「経済100年の常識」破りから始まり、里山に行きついたとしている。

 

 同行者は、『デフレの正体』(発売日:20100609日、角川書店)を書いた藻谷浩介さん。

藻谷さんは『デフレの正体』で「現役世代人口の減少、日本の問題はここにある!」として、反アベノミクス系研究者として著名。

WEB上で「日本紙幣をジャブジャブ刷り、国債を買い、株式市場に流し込む」野蛮な「リフレ派」の人たち(『アベノミクスとTPPが創る日本』、浜田 宏一著、講談社、201311月ほか)から攻撃されている。

 

 

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『里山資本主義』の導入部は、「岡山県真庭市」、標高1000メ―トルの中国山地、人口は5万人。製材業を営む従業員200人ほどの企業が大転換をすすめていた、というレポ―トから始まっている。

 それは「木質バイオマス発電」「石油に代わる燃料・ペレット」「1960年代まではエネルギ―はみんな山から来ていた」ことを再認識した。

つぎは「21世紀の新経済アイテム・エコスト―ブ」の紹介し、「過疎を逆手に取る」農業・人のつながりの発見者がいる。

 

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 続きは本書で。

 

藻谷さんは、「不安・不満・不信に決別を、日本の本当の危機・少子化への解決策」を展開して、市民への安心づくりを呼び掛けている。

 

最終総括

「里山資本主義」で不安・不満・不信に訣別を 日本の本当の危機・少子化への解決策

 

繁栄するほど「日本経済衰退」への不安が心の奥底に溜まる/マッチョな解決に走れば副作用が出る/「日本経済衰退説」への冷静な疑念/そう簡単には日本の経済的繁栄は終わらない/ゼロ成長と衰退との混同―「日本経済ダメダメ論」の誤り①/絶対数を見ていない「国際競争力低下」論者――「日本経済ダメダメ論」の誤り②/「近経のマル経化」を象徴する「デフレ脱却」論――「日本経済ダメダメ論」の誤り③/真の構造改革は「賃上げできるビジネスモデルを確立する」こと/不安・不満・不信を乗り越え未来を生む「里山資本主義」/天災は「マネ―資本主義」を機能停止させる/インフレになれば政府はさらなる借金の雪だるま状態となる/「マネ―資本主義」が生んだ「剃那的行動」蔓延の病理/里山資本主義は保険。安心を買う別原理である/剃那的な繁栄の希求と心の奥底の不安が生んだ著しい少子化/「里山資本主義こそ、少子化を食い止める解決策」「社会が高齢化するから日本は衰える」は誤っている/里山資本主義は「健康寿命」を延ばし、明るい高齢化社会を生み出す/里山資本主義は「金銭換算できない価値」を生み、明るい高齢化社会を生み出す

 

 

地域・地方・人づくりを大事にする「資本主義のすすめ」は、民主的改革の運動の一環だ。

編集子も、1980年代から1990年代に「地産地消」「生産者と消費者をむすぶ農業・畜産業」「田舎暮らしから都市の暮らしを見直す」というコンセプトで、ある市民生協の生活文化情報誌づくりや本づくりを体験したので、里山を基軸とする農業は人間回復のキーになる事業だと確信している。



 またバイオマス発電、小規模水流発電(マイクロ水力発電)、太陽光発電などは、若者が地域で働くことのできる大事なエネルギー産業。



 青年の働く場を国内でどのようにつくっていくのか、「株高・飽食のアベノミクス」に対抗する大事なテーマだ。

 

2015年4月24日 (金)

「アベノミクス」は国民をどこにもっていくのか――その4・『金融緩和の罠』

 ▼下記文章への追加(日本経済新聞、2015.05.20)

  14年度は5年ぶりマイナス成長 GDP前年比1.0%減 

 内閣府が20日発表した2014年度の実質国内総生産(GDP)は前年比1.0%減と、世界金融危機の余波が響いた09年度(2.0%減)以来5年ぶりのマイナスとなった。消費増税後の4~6月期、7~9月期と2期連続でマイナス成長だったことが響いた。年度後半からは持ち直しの動きも出たが、前半の大幅減を埋められなかった。

 

 ▽以下本文

ベストセラー・『デフレの正体』(角川書店(角川グループパブリッシング) (20106)で、「15-64歳の生産年齢人口が1996年を境に縮小しはじめ、好景気下でも内需縮小が避けられない」。「団塊の世代の労働市場から退出するのに合わせて、日本の企業は人件費の総額を減らすという方向で調整し、内需を縮小した」ことによって「デフレは加速した」としているが、ある選挙で、これを安倍首相が批判している演説がTVで流れていたことを記憶している。

安倍首相やリフレ派からの批判について、反批判している本があった。それが『金融緩和の罠』(集英社 2013年4月)だ。

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本書の宣伝文は次の通り。

 

アベノミクスでにわかに注目をあびる金融緩和政策。 

しかし、「日銀が大量にマネーを供給すれば、景気が回復する」というのは机上の空論だ。 

 むしろ「失われた二○年」をもたらした本当の理由を覆い隠し、かりそめのバブルを引き起こすだけではないか。 

しかも副作用の大きさは計り知れない。国債の信用喪失に始まる金融危機、制御困難なインフレなど、さまざまなリスクを第一線のエコノミスト・経済学者らが哲学者と徹底的に討論。 

金融緩和の落とし穴を見極め、真の日本経済再生への道筋を描き出す!

 
 本書の「第一章」がおもしろい。

 読んでいると、「貨幣供給量を増やせば経済が活性化する」と信じているリフレ派、昔のマルクス主義者が権力の奪取を目指し、中央銀行を操作してコントロールしていく政策と相似形だとしている。

 

また生産年齢人口(15歳から64歳)の減少によって、「小売販売額のピークは1996年の141兆円、10年後には13兆円のマイナス」で、「人口オーナス」(現役世代が減少し高齢者世代が増加する)に突入した社会が、小売販売額減(住宅や土地、自動車、家電など)の原因としている。

 

「本来なら団塊の世代の退職にともなって浮いた人件費を企業は、若い世代の雇用や給与増にまわすべきでした」と、この間の「賃上げナシ社会」の愚かさも衝いている。

 

高齢者多数社会で、「株が上がっても」消費に向かわない社会になっていることも語っている。



 「藻谷 個人投資家の多くは高齢富裕層なのです。彼らには、現役世代のようにモノを消費する理由も動機もないですからね。退職して給与所得がなくなった人であれば、なおのこと消費せずに「老後の不安に備える」とかいって貯蓄を増やす傾向が強まります。

リフレ論者たちは、日本人、とくに資産をもっている高齢者の貯蓄志向の強さを計算に入れていない。企業が人件費を削ってだした利益を配当するたびに、現役世代から彼ら高齢者に所得が移転します。年間五五兆円におよぶ年金も、現役世代から高齢者への資金還流です。」

「藻谷 ちなみに高齢富裕層は、この時期に増えた所得をいったいなににつかったのか。国債を買ったんでしょう。あるいは外貨預金。

――富裕層の所得が増えた部分が国債にまわされていることがまた問題のひとつの根ですね。そうなると、高齢富裕層、銀行、政府のなかでお金がぐるぐるまわっているだけということになる。」

 

 笑うに笑えない話が出ており、まだまだ面白い話があるので、以下に目次を掲げておく。

 

第一章 ミクロの現場を無視したリフレ政策

           藻谷浩介×萱野稔人

    

現実から乖離したリフレ政策/

働いてお金を稼ぐ世代が減りはじめた/

人口オーナスが値崩れを引き起こす/

人口オーナスを無視した結果の供給過剰/

平均値「物価」で見るから間違える/

人件費カットでよけいに需要が冷えこんだ/意味のない生産性向上/

付加価値の総額こそがGDP/株主資本主義を問い直す/

消費よりも貯蓄にむかう高齢者/

もはやインフレ期待は醸成しづらい/

高齢者にとっての円安/不動産価格も上がらない縮小社会/

止まらない国内経済縮小の流れ/人口構造とインフレ/

アメリカの後を追えばいいのか/

円安にすれば日本経済は救われるのか/

富裕層にのみおこったトリクルダウン/

消費への波及効果はほぼゼロだった/

政府、銀行、富裕層のトライアングル/

逃げ足の早いグローバル・マネー/インフレのコントロールは不可能/

人口オーナスをチャンスに変える

 

 

第一章 ミクロの現場を無視したリフレ政策

    藻谷浩介(もたにこうすけ)1964年生まれ。(株)日本総合研究所調査部主席研究員。主な著書に『デフレの正体』など

第二章 積極緩和の長期化がもたらす副作用 
        河野龍太郎(こうのりゅうたろう)1964年生まれ。BNPパリバ証券経済讃査本部長・チーフエコノミスト。

第三章 お金への欲望に金融緩和は勝てない

    小野寺廉(おのよしやす)1951年生まれ。大阪大学社会経済研究所教授。経済学博士。

 

▽インタビュー

    萱野稔人(かやのとしひと)1970年生まれ。津田塾大学国際関係学科准教授。博士(哲学)。

 

 

 

 

2015年4月 5日 (日)

「アベノミクス」は国民をどこにもっていくのか――その3・市民社会フォーラム 

関西を中心に交流している名物メーリング=「市民社会フォーラム・〈出発のとき〉(civilsociety-forum)」(岡林信一さんが運営責任者、1971年生まれ)を読んでいる。

その中で、日本経済・グローバル経済の現状をめぐる論点・解決方向をめぐって議論がつづいている。

「アベノミクス」も含めて議論しているメーリングだ。

議論をダウンロードしてまとめて読んだら、A4100ページほどになった。

  

   ◇市民社会フォーラム

   社会学習ネットワーク「市民社会フォーラム」のブログです。このサイトにUPされています。 

   http://civilesociety.jugem.jp/

 

 

2015/02/21付けで「MLでの議論の中で、本の紹介をしていましたものを整理して、市民社会フォーラムのブログに掲載しました」と主催者の岡林さんの案内が以下のようにある。

すべてを読んでいないが、「アベノミクス」をとらえる異論・異見を知るうえで、大変参考になる。

 http://www.freeml.com/civilsociety-forum/6268

 

友寄英隆『アベノミクスと日本資本主義 差し迫る「日本経済」の壁』

http://civilesociety.jugem.jp/?eid=29110

 

碓井敏正・大西広編『成長国家から成熟社会へ―福祉国家論を越えて―』

http://civilesociety.jugem.jp/?eid=29112

 

松尾匡『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼』

http://civilesociety.jugem.jp/?eid=29113

 

トマ・ピケティ『21世紀の資本』

http://civilesociety.jugem.jp/?eid=29111

 

「しかしまあ、マルクス派の中ですら見解が著しく異なっているのに、実りある理論論争なんてほとんど見ないですね。

それだけ左派の理論というものが相手にされなくなったってことでしょうかねえ。

だから、そんなに目新しくものないピケティなんかが「輸入学問」として着目されているんでしょうか?」と岡林さんは書いている。

 反論ある方も読んでみたらどうか。



  関東でこのような議論をしている「場」があるのだろうか。

 

 

「アベノミクス」は国民をどこにもっていくのか――その2・高橋伸彰さん

 

Twitterで(43日付け)、「残業代ゼロ法案」を働き過ぎ抑制と報じるマスコミ(特に日経!)は、労働者が残業代目当てに働いているとでも思っているのだろうか? 働かせ過ぎ抑制のために残業手当ての支給が義務づけられてきた歴史を一切省みずに、財界の言い分を受け入れ法を改悪する安倍政権を支持するのが公正な報道なのか?

318日付け)、安倍政権は労働者にとって倒す相手であり、協調する相手ではない。安倍政権が喜ぶような賃上げ回答で労組は幕を引くな。

 https://twitter.com/ecotakahashi

 

ご本人のTwitterの紹介文は、「日本経済論が専門です。上洛してから15年。もっとも私はへそ曲がりなので通説を信じる人には、戯言にしか聞こえないかもしれません。嫌いなのは権力、決して特定の政治家ではありません。最近読み直して感動した本は山本義隆『知性の叛乱』。社会には話し合いや討論だけでは解決できない問題がある。まずは声をあげよう。」と“過激”な発言をしている「高橋伸彰」さん。

数少なくなったマル経系の研究者かと思ったら元官僚さん。ケインズ派の人で、現在は立命館大学の教授。

 

 Twitter上で賃上げなどの労働問題を含めて現代日本社会を日常の視点から、的確に厳しく批判している。

 政府・経団連・連合・大マスコミのトライアングルを見抜いて、そのまやかしも喝破している。

 読むだけでもおすすめ。

 

その高橋さんが水野和夫さんとの対談本:『アベノミクスは何をもたらすか』(岩波書店、2013628日)を出しているので読んだ。

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今回もその本を紹介している、根井雅弘(京都大学大学院経済学研究科教授):『アベノミクスは何をもたらすか』(高橋伸彰 水野和夫 岩波書店、2013628日)のURLを書いておく。

http://booklog.kinokuniya.co.jp/nei/archives/2013/07/post_16.html

 

  

高橋さんの本には、『優しい経済学―ゼロ成長を豊かに生きる―』、高橋伸彰著・ちくま新書筑摩書房 、200304)もある。

「小泉構造改革」の時期に物申した本。 
 

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著者からのコメント:一つでも多くの「欲」を満たすために成長するより、一つでも「欲」を消すほうが幸せになれる

 成長によって得られた「豊かさ」がある一方で、成長のために失われた「豊かさ」もある。一円でも多くの所得を得るために、我々はこれまでどれほど大切な時間と、どれほど大切な友人を失ってきただろうか? 日本のGDPは「失われた10年」を経ても、なお世界のトップクラスだ。それでも、日々の生活や将来の老後に不安を抱く人が多くいるなら、それは成長力が不足しているからではなく、政策が貧困だからだ。どんなに平等に所得を分配しても一人当たり年間10万円にも満たない低所得国と同じ発想で、成長のためには改革が必要だと連呼しても人々は「豊か」にはなれない。経済学の原点は「より良い社会」を築くことにあり、一円でも多くの所得を稼ぐために人々を競争に駆り立てることではない。改めて、経済! 学の原点に立ち戻って、いまの日本経済を見つめなおして欲しい。そんな思いを本書に込めました。

 

「今行われている構造改革は経済的強者には「優しい」かもしれないが、経済的弱者には「冷酷」なものであって、成長が実現したとしても、その陰で日本社会における貧富の格差は一層拡大する」と、4割になろうとしている非正規労働者の増大による格差拡大を見通していた、といえる。

 ▽追加(2015.04.10

 

『朝日新聞』(20150409日付け)で以下のような記事が書かれていた。このような記事が掲載されることも珍しいのではないか。

 「株価2万円」に浮かれるマスコミ報道の中で、この署名記事を書いた記者さんと掲載したデスクさんは「エライ!」


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2015年3月28日 (土)

「アベノミクス」は国民をどこにもっていくのか―野口悠紀雄さん・伊東光晴さん

 

 先日、NHKラジオを聴いていたら「アベノミクスとトリクルダウン」(大企業や富裕層を減税により優遇することで、富裕層らの経済活動が活性化され、最終的に貧困層を含む社会全体に富が行き渡るという理論)の話をしている経済評論家(TVのコメンテーターに出てくるあるシンクタウンの研究者)によって、これからは地方もその他の国民にもお金が回ってくるという「希望的観測」を主張していた。

 NHKは会長の発言がたびたび批判の的になるが、現場のプロデューサーまで、ちょっとおかしくなってはいないか、心配だ。

 

 WEB上には「アベノミクス」の批判として、誰でも読める文章――「日本売り」で、とめどない円安になることが危惧されます――と発言をしている野口悠紀雄さんのインタビューがある。全文が「★阿修羅♪ 」にあったのですぐ読める。そのあとに反論もある。


 そのリード記事は次の通り。

 「アベノミクスの成功を確かなものにすることが最大の課題」――。昨年末の衆院選後も、安倍首相は引き続き「デフレからの脱却」を最優先に掲げた。だが、アベノミクスによって輸入物価は急上昇し、中小企業の「円安倒産」が相次いでいる。多くの国民に「成功」の実感はない。安倍首相の力説する「この道しかない」の先にどんな事態が待ち受けているのか。日銀の異次元緩和を「金融政策の死」と切り捨てる野口悠紀雄・早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問は、「日本は没落するかもしれない」と警告した。

 

 日刊ゲンダイ:野口悠紀雄氏がアベノミクスを批判 「異次元緩和は脱法行為」(201529日)

http://www.asyura2.com/15/senkyo179/msg/599.html

  元の出所は:『日刊ゲンダイ』((201529日)。

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/157035


   

  ▼追記 毎日新聞でも論評(2015.04.03

 

  ▽危ういアベノミクス バブル経済とは何だった
   http://mainichi.jp/m/?XDqLOr

 

  アベノミクス:バブル崩壊25年 「結局、日本人はバブルから何も学んでいない」

 

   20150326日  ◇野口悠紀雄さんインタビュー

 

  ▽バブル崩壊25年「結局、日本人はバブルから何も学んでいない」
   http://mainichi.jp/m/?pXDmgI

 

 

 そこで「アベノミクスにかかわって」関連した本を読んでみた。


  最初のは、『アベノミクスの終焉』(服部茂幸著、岩波新書 2014821日 )。

本書の宣伝文章は次の通り。編集者がその企画の思いを短い文章でまとめている。

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 政府と日銀によって紡がれる「アベノミクスによって日本経済は回復しつつある」という「物語」。しかし、それは真実なのか。異次元緩和の始まりから一年以上がたった今、いくつもの「つまずき」を抱えたアベノミクスの実態が明らかになっている。政治のレトリックに惑わされることなく、客観的なデータにもとづき、警鐘を鳴らす。

 

次に『アベノミクス批判――四本の矢を折る』(伊東 光晴著、岩波書店 、2014731日)を読んだ。


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 その中身の紹介は、以下の新聞インタビューが短く的確にまとめている。

日刊ゲンダイ:『アベノミクス批判――四本の矢を折る』(伊東 光晴著)――2014810 日)より。著作権を知らないわけではないが、これをUPしておく(新聞WEB記事はすぐになくなる可能性があるので)。

 

経済学者伊東光晴氏「聞きかじりだから安倍首相は嘘をつく」

 

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/152461

 

「アベノミクスはすべてを壊そうとしている」/(C)日刊ゲンダイ

 86歳の老学者はこう吠えた

 

「エコノミストは理論を知らない。経済学者は現場を知らない」

 

 かくて、世間はいまだにアベノミクスという幻想に浮かれるのである。京大名誉教授・伊東光春氏(86)の著書「アベノミクス批判 四本の矢を折る」(岩波書店)は、その幻想を徹底的にぶち壊し、現実をむき出しにするものだ。国民は目を覚まさなければならない。

――心筋梗塞で倒れられたのは2012年2月ですか? その後いかがですか?

 東京医科歯科大に担ぎ込まれたから助かったんです。東大なら1%、医科歯科なら2%の確率とかで、その1%の差にひっかかった。脳の破壊を低温療法で防ぎ、この年ですから2時間半しか持たない手術を、4時間半やりました。

――にもかかわらず、その後の言論活動は極めて精力的ですね。

 もう本は書けないと思ったんですよ。でも、あまりに経済学者が情けないんだ。だから、アベノミクスのごまかしを突けないんだよ。

――世間ではさまざまな専門家がアベノミクスを評価していますが。

 エコノミストは理論を知らない。経済学者は現実を知らない。そんなのが新聞社で御用を務めている。理論も現実も知っている日本人はいない。

――アベノミクスには異次元緩和という第1の矢、国土強靭化を大義にした財政出動という第2の矢、成長戦略という第3の矢があるわけですが、全部ダメ?

 これに戦後の政治体制の改変という第4の矢が隠されている。アベノミクスはすべてを壊そうとしています。

――まず、第1の矢ですが。

 本質的には日銀の国債引き受けです。それをやらないと、予算が組めない。これ以上国債を出すと、国債金利が上がってしまうからです。金利が1%上がれば、予算編成ができなくなる。財務省の役人のクビが飛んじゃう。そこで言うことを聞く人物を日銀総裁にしたのです。

――異次元緩和で投資や消費が増えるもくろみでしたが、うまくいっていませんね。

 根拠なき政策効果への期待です。日銀の岩田規久男副総裁は異次元緩和をすると、人々は物価が上がるだろうと考え、設備投資が増加し、景気浮揚の力が働くとしていますが、人々の期待は多様なのです。物価が上がれば、生活が困ると考え、生活を切り詰める人もいるかもしれない。金利が低くなったところで設備投資をするかというと、過去に経済企画庁の企業行動調査は否定的な調査結果を出しています。

――しかし、株価が上がったことで、人々は幻想に惑わされている。

 安倍首相は政権に就いた時に、「15年間の長期の不況からの脱却」と言ったでしょう。これにカチンときました。この前提からしてウソだからです。汚染水コントロール発言もそうでしたが、彼は平気でウソをつく。なぜだかわかりますか? すべてが聞きかじりだからですよ。学者の間では2002年からリーマン・ショックまでは好景気だったのは常識です。15年不況と言っていたのは岩田氏だけですよ。それに日本株が上がったのは政権交代やアベノミクスとは全く関係がないメカニズムが働いたからです。外国人投資家には分散投資に代表される投資原則があって、米国枠、EU枠が決まっている。米国株が上がり、その枠を超えれば、その分は第三国、つまり日本市場に流れてくる。分岐点は2012年6月で、日本株の上昇は野田政権が続いても起こりましたよ。

――著書では財政出動の第2の矢もできっこない空手形と書かれていますね。10年で200兆円、1年間で20兆円の国土強靭化政策ですが、国債の累積状況からみてもできる余地はないと。

 それなのに、人気取りで法人減税とか言い出すんだからね。税収の減少と支出の上昇の折れ線グラフを「ワニの口」と言いますが、財務省の役人も開いた口がふさがらないと言いたいでしょう。

 

原発売り込みは無責任の極み

 

――気になるのは、こうした場当たり政策を続けて、どうなるのか? 特に日銀引き受けですよね。いつまで続けるのか。異次元緩和に出口戦略はあるのか? この先どうなってしまうのか。

 出口戦略なんて、まったくありません。短期間はごまかしができても長期間はできません。バランスを崩し、大きなインフレーションを起こす。だから、大インフレを経験したドイツは決して、こういうことをやらないのです。

――成長戦略はどうですか? TPPも心配です。

 TPP交渉に参加している10カ国は、地域的にも拡散しており、産業特性、制度、伝統、発展の度合い、所得も異なっています。そんな中で、あらゆる規制をともにできますか。戦後、アメリカは世界経済体制のルールをつくる際、理想主義に燃えていました。それで発足したのが「GATT」ですが、あれは製造業のルールなんです。各国で自然条件の異なる農業、制度が異なるサービス分野は除外した。そこまで一律にしたら、世界は先進国は工業、後進国は農業だけになってしまうからです。そういう根本を押さえておかないといけません。

――安倍首相は原発をトルコに熱心に売り込んでいますね。

 無責任の極みですよ。原子力発電の最大の問題は廃棄物の処理ができないことです。福島の除染が行われていますが、汚染物を流して移動しているだけなんですよ。現在、放射性物質を除去する、分解する技術がない。どうにも処理ができないのです。それなのに安倍首相はトルコに原発を売り込む時、「廃棄物はモンゴル高原に埋める」と言ったそうですね。アメリカがIAEAを通じてそう言っていますから、その“口マネ”をしたのでしょうが、モンゴルの同意を得たわけではない。

――福島第1にも行かれたそうですね。

 電気事業審議会の委員を20年間やり、福島第1原発の現場の実態を歩いて調べたことがあります。原子力工学の専門家は原子炉の原理はわかっても現場のことはまったくわかりません。

――経済学者と同じ?

 電線が30キロメートル、パイプは10キロメートルもあるんですよ。原発を建設した日立、東芝、三菱の技術者以外はわかるはずがありません。資源エネルギー庁もそうです。安倍首相は「政府が責任を持って」と言いますが、できっこありません。

――そこにもってきて、「第4の矢」の危険性です。集団的自衛権の行使容認に踏み切り、戦後レジームの転換に乗り出している。

 私は日中国交回復に側面から関係したんです。その経緯をいささかでも知る者として、言っておきたいのは、尖閣列島の領有問題は「棚上げ以外にない」ということです。田中角栄、周恩来とともに、外務省の条約局長として日中国交正常化をやり、後に中国大使になった故中江要介さんがこう言っていました。「先人たちが日中双方で長い友好関係を持続してきた努力を無にしてはならない。政治のトップがナショナリズムに固執してそういうことをしてはならない」と。

――しかし、安倍政権はナショナリズムをあおり、抑止力の重大性を強調し、自衛隊の役割を拡大させ、それを積極的平和主義と言っていますよ。

 中国に侵略した時も日本は「東洋平和のため」と言ったのです。紛争の解決手段として武力を用いるという本質は変わらない。武力で紛争を解決できないのは、米国がイスラエル問題で手を焼いていることをはじめ、歴史の示すところなんです。イスラエルがある限り、アラブ諸国は米国と戦いますよ。そんな米国がやっている喧嘩に首を突っ込むのが集団的自衛権です。日本はアラブ諸国から憎まれていいんですか。日本は過去の戦争の反省から、「国際紛争解決の手段として武力を使わない」と憲法9条で定めた。その精神の先見性は普遍的で、いまこそそれが生かされるべきだと思います。

▽いとう・みつはる 1927年東京都生まれ。東京商科大(現一橋大)卒。京大名誉教授。旧経済企画庁の国民生活審議会委員などを長く務めた。「現代に生きるケインズ」「原子力発電の政治経済学」など著書多数。