「現代と協同」研究会

2021年2月13日 (土)

 暫くぶりに『協同組合で働くこと』(芝田進午編著、1987年)を読み直した。

(労働旬報社、1987年5月30日、現代社会を考えるシリーズ:10、芝田進午編 西村一郎・永戸祐三・富沢賢治他)
  http://e-union.sakura.ne.jp/workes-law/index.html#210209sibata

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 芝田進午先生(1930年3月26日 - 2001年3月14日)との出会いは、1970年~80年代において先生が「社会科学セミナー」を開いて、下記のような出版物を編集していた時期だ。
 水道橋駅近くの神田三崎町にあった「労音会館」で開かれたセミナーに行った記憶があり、その時のテーマが何かは覚えていないが、本多勝一さんが紹介され、このような人も参加しているのだ、と思った。誰と行ったのか。
 私の友人では松澤常夫さんが2本の原稿を執筆しているし、ルポ研などで会っていたので誘われたのだと思う。
 http://e-kyodo.sakura.ne.jp/matuzawa/index.html


 「売血」、松沢常夫、「生命(いのち)ひしめける、マルクス主義研究セミナー、第2期Aコース記念文集」、文集発行友の会、1976年7月14日(古在由重 序文)
 「全日自労の「民主的改革闘争」の意義」(松沢常夫、「マルクス主義研究研究年報」、1980年版、NO.4、マルクス主義研究セミナー、芝田進午責任編集、合同出版、1981年1月25日)

 芝田進午編『マルクス主義研究年報』1-4 合同出版 1977年-1980年。
 芝田進午編『社会科学研究年報』と改題、5-9 1981年-1986年

 このセミナーの歴史は長いし、いい意味での「芝田」さんを理論の師とした「団塊の世代」前後10年の人は多かったのではないだろうか。

 芝田さんは30代の早い時期に『人間性と人格の理論』(青木書店 1961年)、『現代の精神的労働』(三一書房 1962年 増補版 1966年)を書き、私たちは学生になったときに読まなければいけない本を書いていた先人だった。

 本書の企画者は西村一郎さん(「ルポ研の仲間)だ。当時の肩書きは「全国大学生協連合会食堂部長」(のちに生協総合研究所研究員)という名前になっている。
  https://www.facebook.com/nishimuraichirou

    
 本書あとがきで、芝田さんは「本書の主題について、問題を提起したのは、二六年前のことであり、また著者の一人である西村一郎と共同研究をはじめたのは、七年前のことであった」と書いている。先行して書いた二著に続けて企画プランがあったようだ。
 序章の参考文献に、私が初めて取り組んだ(ドキュメンタリー作家・今崎暁巳さんと一緒に日本生協連を訪問し)、「市民生協の興隆に驚いた」取材後に書いてもらった西村修一「飛躍的に成長する“秘密”」(『賃金と社会保障』1984年4月下旬号)がとりあげられ、1986年に出版した大島茂男さんの『生協の挑戦』(労働旬報社)も参照している。
 加えて、私たちがすすめていた「文化協同研究会」のリードオフマンの是永幹夫さん(月刊「わらび」編集長)も書いてもらっている。

 一番困難だったのが、当時の「事業団運動の総括的論文」を書いた人の論文が「水準に行ってなく」、芝田さんから「このテーマは歴史的に残るものだから、これではだめだ。本書は出せない」、ときつい注文が付いた。
 「現在の運動リーダーは誰ですか」と聞かれたのでは、「永戸祐三さんです」と答えたら、「その人に書いてもらってください。あとは私が責任を取りますから」と自宅(早稲田付近)を訪問した時に、注文をいただいた。
 さてことの経過を知らない「永戸さんがウン」と言うか、疑問だったが、すぐにアタックして(お酒を飲んで)、「よし、やる」と決断をしてもらって1か月後に「初稿」の原稿がUPした。早速、自宅に持って行き、目を通していただき、数日後、赤字が入った原稿をいただいた。「運動家だから“てにおは“も、初歩的だけど、運動の水準を描いているので、ゲラでもう1回手を入れるのでゲラにしてよい」といただき、印刷屋さんに回した。
 初校が出て、著者の永戸さん以上に気を使わざる得なかった、芝田さんの手直しの流れを見て判断していかないといけないが、中身を変えることはほとんどなかった。永戸さん特有のいいまわしと他者(歴史)への配慮、未来展望における現在の位置をきちっとする判断をしてまとめていた。
 永戸さんには「他の本でも、編者が書き加えていくのが、出版物のやり方で、ほかの本でもあるので、ご容赦を」と話したことを覚えている。今読み返しても、芝田さんの発意のとおりだと、30数年後の現在から、思っている。
 
 芝田さんを理論の師と自任している方々からみると、なんで「協同組合・労働」なのかと思っている人が現在もいるかと思うが、再読してほしい。

 芝田さんに編集者として申し訳のないことをしたなー、と思っていたのでこのような文章を書けなかったのは、先生が期待した「労働者職業訓練の現代的意義」と「私たちの平和の教育」という本の原稿(前者は総評や単産の雑誌に書いたもの)があったのだが、出版できなかったことだ。後者は『戦争と平和の理論』勁草書房 1992年で実現したのか。
 「第6章 協同組合労働の現実と展望」、芝田進午――これは別の機会に。

  ▽▽ルポ研:「たたかいのルポルタージュ 16号」の案内
  
http://e-kyodo.sakura.ne.jp/yanagisawa/yanagisawa-index.htm

 

 

2021年2月 9日 (火)

「労働者協同組合の研究」のページを作成・UPした。

 1980年代からの哲学・社会政策・協同組合研究と実践をふまえて、「日本における労働者協同組合研究の先駆者たち」を紹介してみた。

   http://e-union.sakura.ne.jp/workes-law/index.html

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 ◇全政党の共同提案で、2020年末の国会で「労働者協同組合法」が成立した。編集子が1980年代から追いかけてきたテーマの一つだが、当初は「それは無理かも」知れないと思っていたのも事実だ。
 しかし「労働者協同組合の実現」に奔走しながら泉下に入った著者の方々の思いも込めて、私がかかわった範囲で以下のようにまとめてみた。
 ▽労働者協同組合法
第一条 この法律は、各人が生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就労する機会が必ずしも十分に確保されていない現状等を踏まえ、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、及び組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織に関し、設立、管理その他必要な事項を定めること等により、多様な就労の機会を創出することを促進するとともに、当該組織を通じて地域における多様な需要に応じた事業が行われることを促進し、もって持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とする。

 日本における労働者協同組合研究の先駆者たち
◆1980年代に再登場した「労働者協同組合」研究
◆レイドロー報告の衝撃――「西暦2000年における協同組合」、1980年のICA第27回モスクワ大会報告。◇『協同の發見』(協同総合研究所、2000年9月号、 No.100)◇[レイドロー報告]をめぐっての論評
◆『いまなぜ労働者協同組合なのか』(黒川俊雄 著、大月書店、1993年04月)。
◆『労働組合のロマン――苦悩する労働組合運動からのレポート』(中西五洲著、労働旬報社、1986年2月)。
◆労働者協同組合と現代、「賃金と社会保障」特集号、No.934(1986年3月下旬号)――中西五洲/黒川俊雄/富沢賢治/菅野正純/都筑健ほか。
◆協同組合労働の現実と展望、芝田進午――『協同組合で働くこと』(労働旬報社、1987年5月30日)、現代社会を考えるシリーズ:10、芝田進午編 西村一郎・永戸祐三・富沢賢治他。
1990年代における「労働者協同組合」情報の国際的視野を持った旺盛な発信
◆全日自労・事業団から労働者協同組合へ――菅野正純さんの活動軌跡(協同総合研究所主任研究員・日本労協連理事長)。
◆1990年代の協同総合研究所関係の出版物。
◆1990年代の労働者協同組合研究の出版(抄) 。
●学び・つながり・伝え合う――●『仕事おこしのすすめ』(池上惇著、シーアンドシー出版・協同総合研究所、1995年3月)(PDF完全復刻版)。
◆労働者協同組合研究者のみなさん ――●富澤賢治のページ、●角瀬保雄のページ、●中川雄一郎のページ、●岡安喜三郎のページ、●木下武男のページ、●石塚秀雄のページ、 ●田中夏子のページ、●柳沢敏勝のページ、●堀越芳昭のページ、●津田直則のページ。

2020年7月12日 (日)

いま話題の「SDGs」とはなにかを紹介!

 「富澤賢治のページ」と「中川 雄一郎のページ」に以下の座談会をUPした、
   「座談会:持続可能な開発目標(SDGs)をどうとらえるか」、【特集:持続可能な開発目標SDGs と非営利・協同セクター】、中川 雄一郎(司会)、野田 浩夫、富沢 賢治、岩本 鉄矢(『いのちとくらし 研究所報』、「非営利・協同総合研究所いのちとくらし」、第65号  2018年12月)

  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/tomizawa/tomizawa-index.htm

  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/nakagawa/index.html

 

 

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 同誌には柳沢先生の文章が一緒に掲載されており、わかりやすく担い手と背景を理解することができるのではないかと思い、先生のご了承を得て以下のサイトに並行して紹介させてもらいました(2020.07.12日付)。

 http://e-kyodo.sakura.ne.jp/index-6#200701-rogo

 

  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/200712yanagisawa-sdgs1.pdf

 

 

 参考:「SDGs の担い手に関する考察」――柳沢  敏勝(明治大学商学部教授) 
◇はじめに
SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、社会的責任(CSR)として取り組み始めている企業が多いことは大いに歓迎すべきところであるが、協同組合陣営が比較的静かなのはおかしいのではないかという疑問が本稿のテーマである。

 ◇SSE:社会的連帯経済(Social and Solidarity Economy)とは何か。
 ◇SDGs ①貧困の撲滅、②食料の安全保障と持続可能な農業、③健康的な生活の保障、④教育の保障、⑤ジェンダー平等と女性の能力強化、⑥水と衛生の持続可能性、⑦持続可能な近代的エネルギー、⑧持続可能な経済成長と人間らしい労働、⑨包摂的で持続可能な産業化、⑩不平等の是正、⑪持続可能な都市生活、⑫持続可能な生産消費、⑬気候変動対策、⑭海洋ならびに海洋資源の持続可能性、⑮陸域生態系と生物多様性の持続可能性、⑯平和で包摂的な社会の促進、⑰グローバル・パートナーシップの活性化、である。これらが、いわゆるSDGs である。
 ◇人間らしい労働、環境問題、地域開発、都市と人間生活、女性、食料安全保障、健康、金融である。SDGs はこれら8 つの領域において設定された目標であることは明らかである。したがって21世紀初頭においてSDGs を実現するうえでSSEは不可欠の存在となるのである。
 ◇SDGs の主たる担い手がSSE であり、その典型が「多様な形態の協同組合」である。
 ◇SDGs の議論をみても決して営利企業が排除されているわけではない。他方、GSEFの議論は公的セクターとSSE との連携・パートナーシップの形成である。であるとするならば、市場セクターと公的セクターのみを前提とする従来の二元論的発想から脱して、ここにSSEを加え、3 セクター間の最良の連携、ベスト・ミックスを創り出すことがSDGs 実現の鍵となる。

2019年7月15日 (月)

「富澤賢治のページ」の更新。

  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/tomizawa/tomizawa-index.htm

 

 大昔、労働組合運動と協同組合運動は、「車の両輪」と教わった世代なので、わりかし実践的にもフォローした仕事を行ってきたが、残念ながら、両者の関係は「V型」構造だった歴史を体験してきた。

 しかしあきらめないで、この10年ほど「WEB上」で、両者の論文等を読める作業をしてきた。

 

 富澤賢治先生には、「労働組合運動の新しい理念――「高賃金」から「人づくり」へ」(PDF版)、富沢賢治、(黒川俊雄編、現代労働の支配と変革、シリーズ現代の労働と生活Ⅰ、労働旬報社、198411月。「人づくりと労働組合運動」などを書いてもらっているが、富澤さんは、その後、「レイドロー報告」「モンドラゴンの経験」「労働者協同組合研究」を率先垂範してきた研究者(一橋大学名誉教授、元聖学院大学教授)だ。

http://sengoshi.sakura.ne.jp/tomizawakenji-2.html

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 今回、アップした中に、「社会的連帯経済」の歴史について、ロバアト・オウエを出発点にした論文もあり、学ぶ上で大変、参考になる。

http://e-kyodo.sakura.ne.jp/tomizawa/tomizawa-ronkou1.htm

 

 「社会的・連帯経済の思想的基盤としてのポランニーとオウエン」『ロバアト・オウエン協会年報』43号、20193月、pp.21-36.

 「コミュニティ政策学科とNPO」聖学院大学創立30周年記念事業実行委員会[]『創立30周年記念誌――扉をひらいて』20193月、pp.65-69.

 「書評: 中川雄一郎『協同組合のコモン・センス――歴史と理念とアイデンティティ』(日本経済評論社、2018年)、『協同組合研究』3912019 6月、pp.66-69

2019年7月 2日 (火)

『西暦2030年における協同組合』の出版企画への共鳴。

 最近、Facebookで知り合った平山昇さんが『西暦2030年における協同組合』の出版を企画すると発信していて、久しぶりに「協同組合運動」のニュースで新機軸だな、と喜んでいる。

  それは、レイドロー報告『西暦2000年における協同組合』を、今日的につなぐ企画として。

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=2242956142446653&set=a.460538627355089&type=3&theater

 歴史的事実なので発信しておきたいが、1980年代のある日、『月刊わらび』(わらび座)編集長の是永幹夫さんが企画した「日本生協連会長の中林貞男×全日自労委員長の中西五洲」対談の折に、「君ら(中西さんへ)の運動は、労働者協同組合で、この本で描いているレイドロー報告の日本版ではないか」とサジェスチョン(プレゼント)があったこと。それを受けて菅野正純さん(その後、協同総合研究所主任研究員になる)が感動して、協同総合研究所づくりに邁進した事実。

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  私は中西五洲さんの『労働組合のロマン』(19862月)編集企画のために一緒に同席した編集者だった。

  日本における労働者協同組合づくりは、このような出会いからも、始まっている事実は大事なことだと思う。

 

 https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=724075318047201&id=100013342181734

 

▽追記(2020年06月10日):刊行されました。『西暦二〇三〇年における協同組合――コロナ時代と社会的連帯経済への道』(柏井 宏之、 樋口 兼次、 平山 昇編集、ダルマ舎叢書Ⅲ、2750円)

 

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    https://shahyo.sakura.ne.jp/wp/?cat=615

 

 

 

2018年7月19日 (木)

中川先生から、『協同組合のコモン・センス』(日本経済評論社、2018年04月)をいただいてきた。

昨日、明治大学に中川雄一郎先生(明治大学名誉教授)を訪問し、下記の本をいただいてきましたので、紹介します。

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力を入れてきた「シチズンシップ」論につづいて、「協同組合と文化」が次のテーマだと語ってくれました。

 

先生は、同時代の研究者なのに、一世を風靡した硬直的な「正統史観」ではなく、「キリスト教協同組合の歴史」を踏まえて「協同組合論」、「協同の思想史」、「現代の社会的経済」を分析してきた研究者です。

またウエッブ夫妻の『産業民主主義』が果たした協同組合労働への評価(マイナスの)について話す姿には、圧倒されました。

 

『協同組合のコモン・センス』(日本経済評論社、201804月、A5版並製、定価:本体2800円+税)。

 

[内容]知っているつもりで実は分かっていない協同組合。その良識の何たるかを開陳。格差社会がますます広がりを見せるなかで、協同組合に何ができるのか。

 

1章 ロッチデール公正先駆者組合の遺産 

2章 協同組合は何を求められているか 

    ―協同組合の理念とアイデンティティ― 

3章 地域づくりと社会的企業 

     ―地域づくりと共生経済― 

4I レイドロー報告の想像力 

     ―協同組合運動の持続可能性を求めて― 

    II 協同組合は「未来の創造者」になれるか 

    ―新ビジョンは協同組合を「正気の島」にする― 

5章 シチズンシップと非営利・協同

 



 「中川雄一郎のページ」参照。

 http://e-kyodo.sakura.ne.jp/nakagawa/index.html

 

 本ページに転載している『いのちとくらし研究所報』(非営利・協同総合研究所いのちとくらし)の「理事長のページ」は、毎回、勉強させられ、誌上「社会人入学」したゼミ生のような思考をもたらしてくれます。是非ご一読を。

 

 http://e-kyodo.sakura.ne.jp/nakagawa/inotitokurashi3.html

   

 

 

2016年1月22日 (金)

紀ノ川から「産地直送」で週1回の朝市づくり――元紀ノ川農協・西浦正晴さん

 「柴田光郎のページ」にUPした記事(2016.01.20)だが、以下に再録したので広く読んでほしい。

 

 高齢者の買い物難民は社会的テーマだ。

 農林水産省のHPでも、以下のように報道している。

 食料品アクセス(買い物弱者・買い物難民等)問題ポータルサイト

  http://www.maff.go.jp/j/shokusan/eat/syoku_akusesu.html

 「我が国では、高齢化や単身世帯の増加、地元小売業の廃業、既存商店街の衰退等により、
過疎地域のみならず都市部においても、高齢者等を中心に食料品の購入や飲食に不便や苦労を感じる方(いわゆる「買い物難民」、「買い物弱者」、「買い物困難者」)が増えてきており、「食料品アクセス問題」として社会的な課題になっています。

食料品アクセス問題は、商店街や地域交通、介護・福祉など様々な分野が関係する問題であり、国の関係府省、地方公共団体の関係部局が横断的に連携し、民間企業やNPO、地域住民等の多様な関係者と連携・協力しながら継続的に取り組んでいくことが重要です。」

 

市民生協が何を目標として事業をしているのか、皆目見えない今、玄関前で新鮮で産地がわかり、生産者の顔が見える野菜を中心とした「朝市」事業が都会で広がれば、新しいコミュニケーションの場になることは間違いない。

大阪での実験が関東に広がることを期待して、紹介したい。

 

昔取材した、房総食料センター・多古町旬の味産直センター・埼玉産直センターや関東の農民連などのどなたかが、気が付いてやりはじめたら、東京・埼玉でも「面白い産直運動」が再生してくるのではないか。

 

この日も紀ノ川産の新鮮な野菜・とれたての果物など40種類近く。

 2016118日(月)、朝7時すぎに「和歌山・紀ノ川産の新鮮な野菜」を運んで、柴田家(大阪府吹田市寿町1-14-17)に来た人がいる。
 1980年代に、関西圏・四国の市民生協と提携し、紀ノ川農協をつくりだした「西浦正晴」(68)さんだ。
 話を聞くと、大阪圏で当面「100軒」の民家の敷地で、「朝市」を開催できるシステムを構築しようと走り回っている、ということ。
 現在は、柴田光郎さんにも協力をしてもらい、始まったばかりだが、すでに5軒ほどの知り合いネットワークで始まっているとのこと。

 柴田佳代子(68)さん(主催者)は「家の周りで野菜を手に入るのは、スーパーしかない。毎週、身近で紀ノ川産の新鮮な野菜が買えるところがあれば、高齢者にはありがたいのよね」と話す。
 「産地直送だから安心だし、それに買いに来てもらうご近所さんとも、日ごろの何気ない会話ができて、話が弾み仲良くなれる」ともいう。

 西浦さんは、「買い物難民に対応して、小型トラックでスーパーの商品を運ぶ事業を見て、ワシがやれる仕事は、新鮮な野菜を直接、消費者に運ぶことだ」とハタと気が付いたと。
 仕入れは、産地にいっぱいあるとれたての野菜・みかんなどの果物と従弟がやっているスーパーから仕入れることができるし、嗜好品としての安全な卵(「ノニジュース」を飲ませた卵)など人気があることも発見した。
 
 この日は野菜など40種類ぐらいのアイテムを並べ始めた9時過ぎには、ご近所さんが5人ほど「これなに?」「どんなふうに食べるの?」という会話が始まった「商い」が、行われた。
 買う人と産地を明らかにして販売する人の「顔が見られる」事業が、始まっている。
 1970年代から1980年代にかけて市民生協が伸びた時代の「共同購入の班での分かち合いの場」の再現を見た。

 西浦さんが「近所のコミュニケーションが広がる場になり、“小さな産直の事業”が大阪中に広がっていったら、面白いのでは」とニコッと語ってくれたので、期待したい。

 

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  △地域のパソコン好きの人が作ってくれたチラシ。 

2014年12月11日 (木)

3000人に一人のコミュニティづくり員がいるイタリア

 NHKで報道された「無縁社会」と対比して、イタリア社会におけるコミュニティづくりをこのページで紹介したことがあり、別の面からイタリアの協同組合の源泉も書いてきた。


イタリアのコミュニティづくり――その伝統・基盤を学ぶ、●「編集者のつぶて」(2010 年01 月26 日)、『違和感のイタリア――人文学的観察記』(八木宏美著、新曜社、 2008 年9月、2, 835円)。 
 http://e-kyodo.sakura.ne.jp/kanno/140108community.pdf

 

 イタリア協同組合の源泉を教えられた――『しがらみ社会の人間力』 (2014年5月31日 (土)

  http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-f2d3.html


 「ゆりかごから墓場まで」という言葉は、第2次世界大戦後の「労働党が先導したイギリス社会における社会保障・社会福祉」を伝える目標としてよく語られたことがあり、日本の福祉関係者には、その教訓を学んだ時期があった。

 その後は、スウェーデン社会における社会保障の実現などが注目されてきた。

『イタリアのコミュニティづくり』の著者・ 八木宏美さんは、スウェーデンと対比しながら、別の仕組みとして地域社会の実践がイタリアにはあることを伝えている。

 イタリアでは、地域社会におけるさまざまな人間の成長・発達を支える仕組みとその対応が、カトリック教会の「神父」が行っており、彼らは「住民の実質的・精神的生活クオリティ向上のために専任で働く専門職、地域住民生活の総合コーディネーターなのである」と書かれている。

  すぐれた社会問題対処システム  
 カトリック教会は、信者数世界一を誇る世界最大の宗教団体である。(中略)イタリア人のすべてが参加する地域コミュニティの社会システムなのである。
 誕生から葬式に至るまでのすべてを地域コミュニティ住民全体で互助的に生きるこのシステムは、具体的には、婚前心得教室、出産心得教室、子育て教室、思春期の子を持つ親教室、性教育、青少年モラル教育、ボランティア活動、少年サッカーチーム、各種スポーツクラブ、読書クラブ、コーラス同好会、サマーキャンプ、海外旅行も含む各地への団体旅行、各種レクリエーション活動、養子縁組、里子制度、共働き支援学童保育、老人クラブ、高齢者互助サービス、各種祭りや仮装行列、コンサート、講演会、お食事会など実に多義多彩な社会活動の大部分を担っている。
 (中略)
教会は平均三〇〇〇人ほどの規模のそれぞれの地域社会の文字通りの基盤であり、神父は住民の実質的・精神的生活クオリティ向上のために専任で働く専門職、地域住民生活の総合コーディネーターなのである。金持ちにはなれなくとも住居と一生の生活が保障される神父職は、実にやりがいのある仕事であり、脱サラ組のなり手なども結構いるのである。

 カトリック教会とその「神父」を日本に持ち込むことを提案しているのではなくて、その一つひとつの事例・取り組みをコーディネートする総合的な組織・人間が、日本でも多数、民衆のレベルで生まれることを願っている。

2014年9月15日 (月)

『仕事おこしのすすめ』(池上惇著)のPDF復刻版づくり

 20年ほど前に編集・制作した『仕事おこしのすすめ』(池上惇著、19953月)を若い世代にも読んでほしく、PDF復刻版として制作・UPした。

 

 『仕事おこしのすすめ』(池上惇著、PDF復刻版)

 

 

 この本は、労協(いまのワーカーズコープ)などの会議で講演したものをまとめた文章を中心に、永戸祐三さん(当時、センター事業団専務理事)が企画したもので、何回か京都の祇園の中の安い飲み屋(といっても味はよく、京都の土地柄、大学の先生を敬うもてなしをする店)で懇談しながら、その後は、編集子が大阪よどがわ市民生協に行く過程で、京都大学まで数回、通い、制作したものだ。

 

 池上先生の希望で、ウイリアム・モリスのラッピング・デザインを探し出し、カバーデザインに使った。

 

  一般書店などのルートに載せるために星雲社との取引も行い、7000部を、一般書店や労協内外で販売しきるなど、チャレンジした。

 

  本書の中でかならず目を通していただきたいのは、「組合をダメにする11のカギ」などの指摘だ。

 

 現在のNPOや非営利組織を、いまでもダメだめにすることが簡潔に書かれている。みんなで参加型の組織をつくためにも、読んでほしい。

 

  第2に、岡安喜三郎さん(協同総合研究所理事長)が、「ワーカーズ協同組合論研究史〜協同組合研究の成果と課題」(堀越芳昭/JC総研 編、家の光協会発行、2014.5)を書いているので紹介した。

 

 ご本人は、以下のようにその意図の一端を書いている。

 

 この小論は「協同組合研究の成果と課題」(堀越芳昭/JC総研 編、家の光協会発行、2014.5)に収録されている「ワーカーズ協同組合論研究史」の本文と文献一覧です。

 

冒頭、「日本の協同組合研究の主流は長らく協同組合の本質は流通過程にあるとし て、生産過程・労働過程に特徴があるワーカーズ協同組合を「無視する」誤りを犯した。」で始めていますが、「協同組合の本質は流通過程にあ」りとする論の被害は、実は農業協同組合が最も受けていると思われます。そして何よりも日本の協同組合運動にも大きな被害を及ぼしていると言えます。

 

 

 編集子の側から、1点、注文があるとすれが、“日本の労働組合陣営は、なぜワーカーズ協同組合を「攻撃した」誤りを犯した”のかだ。

 

さらなる追究をしてほしい。

 

 

  「学び・つながり・伝え合う」ページUP

 

 

『仕事おこしのすすめ』(池上惇著、シーアンドシー出版・協同総合研究所、A5判並製、19953月) (PDF完全復刻版)

『小さな起業で、楽しく生きるビジネス( ワーカーズ・コレクティブ )』 (本体価格 1,400+税、ほんの木 刊)

 富澤賢治、中川雄一郎、岡安喜三郎、石塚秀雄、柳沢敏勝、堀越芳昭各氏の「BOOK・論攷のご案内)。

 

 

  ▽追記

   越谷の「生活自立相談」にワーカーズコープが登場

   http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-a50c.html

 

   「仕事おこし懇談会inこしがやのページ」を立ち上げ

   http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/in-e6a5.html

 

 

 

 

 

 

2014年8月 7日 (木)

「モンドラゴンMCCのページ」が紹介されて困ったこと

 「ファゴール倒産」が日本の協同組合関係者や研究者の中で話題になり、編集子が編集している石塚秀雄さんの「モンドラゴンMCCのページ」を訪れてくれる方が増えている。

  海外からも、韓国、アメリカ、イギリス、フランス、スイスそしてスペインなどから訪問者がいる(Google Analyticsのページでアクセスが表示されるようにしている)。  

 「石塚秀雄のページ―モンドラゴンMCC

  さらに時代は進んで、HPが引用され、以下の論文のように「石塚秀雄のHPに掲示されたPDFファイル」では、という形で論文が登場しており、HPが「出所」となっている。

  ▽2014.07.28 スペイン・モンドラゴン協同組合グループの動向─「FAGORの破綻」の実態と対応─坂内 久〈一般財団法人農村金融研究会主席研究員〉、「農林金融』2014年07月号(第67巻第7号 通巻821号) 要旨――1980年のICAのレイドロウ報告「西暦2000年における協同組合」で,協同組合の成功例として日本の総合農協とともにスペインのモンドラゴン協同組合が紹介され,モンドラゴンは世界的な注目を集めてきた。ところが,13年11月に傘下のFAGORの破綻が報じられ,日本の協同組合関係者間にも驚きをもって伝えられたが,これについて必ずしも正確に伝わっていないようである。   

  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/ishizuka/mondoragon.htm

  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/ishizuka/140728sakauti.pdf




  このような論文のかたちは、身近では五十嵐仁さんの以下の論文も同じだ。

  第二次安倍内閣がめざす労働の規制緩和、『労働法律旬報』No.1799、2013年9月10日付

  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/igarashi/ronkou.htm

 

  

 前者の論文では、アドレスが明示されていないのが、残念だが。

  困ったこととは、私人として「WEB制作・管理」をしているものとしては、健康寿命があるので「半永久的にサイトを生き続けていくこと」は到底、無理な話だ。   

 とくにWEB上では、リンクが外れているものも少なくない。

 出版物や雑誌などは、国会図書館に寄贈され保存されているが、WEB上のものは、されていない。

 昔、協同総合研究所の事務局を手伝っていた時代の発想を、今やっと実現しているものとしては、各研究機関・大学はすべての関係者の論文・論攷を後世の人が読めるように、WEB保存をすすめることを期待したい。

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