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「現代と協同」研究会

2018年7月19日 (木)

中川先生から、『協同組合のコモン・センス』(日本経済評論社、2018年04月)をいただいてきた。

昨日、明治大学に中川雄一郎先生(明治大学名誉教授)を訪問し、下記の本をいただいてきましたので、紹介します。

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力を入れてきた「シチズンシップ」論につづいて、「協同組合と文化」が次のテーマだと語ってくれました。

 

先生は、同時代の研究者なのに、一世を風靡した硬直的な「正統史観」ではなく、「キリスト教協同組合の歴史」を踏まえて「協同組合論」、「協同の思想史」、「現代の社会的経済」を分析してきた研究者です。

またウエッブ夫妻の『産業民主主義』が果たした協同組合労働への評価(マイナスの)について話す姿には、圧倒されました。

 

『協同組合のコモン・センス』(日本経済評論社、201804月、A5版並製、定価:本体2800円+税)。

 

[内容]知っているつもりで実は分かっていない協同組合。その良識の何たるかを開陳。格差社会がますます広がりを見せるなかで、協同組合に何ができるのか。

 

1章 ロッチデール公正先駆者組合の遺産 

2章 協同組合は何を求められているか 

    ―協同組合の理念とアイデンティティ― 

3章 地域づくりと社会的企業 

     ―地域づくりと共生経済― 

4I レイドロー報告の想像力 

     ―協同組合運動の持続可能性を求めて― 

    II 協同組合は「未来の創造者」になれるか 

    ―新ビジョンは協同組合を「正気の島」にする― 

5章 シチズンシップと非営利・協同

 



 「中川雄一郎のページ」参照。

 http://e-kyodo.sakura.ne.jp/nakagawa/index.html

 

 本ページに転載している『いのちとくらし研究所報』(非営利・協同総合研究所いのちとくらし)の「理事長のページ」は、毎回、勉強させられ、誌上「社会人入学」したゼミ生のような思考をもたらしてくれます。是非ご一読を。

 

 http://e-kyodo.sakura.ne.jp/nakagawa/inotitokurashi3.html

   

 

 

2016年1月22日 (金)

紀ノ川から「産地直送」で週1回の朝市づくり――元紀ノ川農協・西浦正晴さん

 「柴田光郎のページ」にUPした記事(2016.01.20)だが、以下に再録したので広く読んでほしい。

 

 高齢者の買い物難民は社会的テーマだ。

 

 農林水産省のHPでも、以下のように報道している。

 

 食料品アクセス(買い物弱者・買い物難民等)問題ポータルサイト

  http://www.maff.go.jp/j/shokusan/eat/syoku_akusesu.html

 

 「我が国では、高齢化や単身世帯の増加、地元小売業の廃業、既存商店街の衰退等により、 過疎地域のみならず都市部においても、高齢者等を中心に食料品の購入や飲食に不便や苦労を感じる方(いわゆる「買い物難民」、「買い物弱者」、「買い物困難者」)が増えてきており、「食料品アクセス問題」として社会的な課題になっています。

食料品アクセス問題は、商店街や地域交通、介護・福祉など様々な分野が関係する問題であり、国の関係府省、地方公共団体の関係部局が横断的に連携し、民間企業やNPO、地域住民等の多様な関係者と連携・協力しながら継続的に取り組んでいくことが重要です。」

 

 

市民生協が何を目標として事業をしているのか、皆目見えない今、玄関前で新鮮で産地がわかり、生産者の顔が見える野菜を中心とした「朝市」事業が都会で広がれば、新しいコミュニケーションの場になることは間違いない。

 

大阪での実験が関東に広がることを期待して、紹介したい。

 

昔取材した、房総食料センター・多胡町旬の味産直センター・埼玉産直センターや関東の農民連などのどなたかが、気が付いてやりはじめたら、東京・埼玉でも「面白い産直運動」が再生してくるのではないか。

 

この日も紀ノ川産の新鮮な野菜・とれたての果物など40種類近く。

 

 2016118日(月)、朝7時すぎに「和歌山・紀ノ川産の新鮮な野菜」を運んで、柴田家(大阪府吹田市寿町1-14-17)に来た人がいる。
 1980年代に、関西圏・四国の市民生協と提携し、紀ノ川農協をつくりだした「西浦正晴」(68)さんだ。
 話を聞くと、大阪圏で当面「100軒」の民家の敷地で、「朝市」を開催できるシステムを構築しようと走り回っている、ということ。
 現在は、柴田光郎さんにも協力をしてもらい、始まったばかりだが、すでに5軒ほどの知り合いネットワークで始まっているとのこと。

 柴田佳代子(68)さん(主催者)は「家の周りで野菜を手に入るのは、スーパーしかない。毎週、身近で紀ノ川産の新鮮な野菜が買えるところがあれば、高齢者にはありがたいのよね」と話す。
 「産地直送だから安心だし、それに買いに来てもらうご近所さんとも、日ごろの何気ない会話ができて、話が弾み仲良くなれる」ともいう。

 西浦さんは、「買い物難民に対応して、小型トラックでスーパーの商品を運ぶ事業を見て、ワシがやれる仕事は、新鮮な野菜を直接、消費者に運ぶことだ」とハタと気が付いたと。
 仕入れは、産地にいっぱいあるとれたての野菜・みかんなどの果物と従弟がやっているスーパーから仕入れることができるし、嗜好品としての安全な卵(「ノニジュース」を飲ませた卵)など人気があることも発見した。
 
 この日は野菜など40種類ぐらいのアイテムを並べ始めた9時過ぎには、ご近所さんが5人ほど「これなに?」「どんなふうに食べるの?」という会話が始まった「商い」が、行われた。
 買う人と産地を明らかにして販売する人の「顔が見られる」事業が、始まっている。
 1970年代から1980年代にかけて市民生協が伸びた時代の「共同購入の班での分かち合いの場」の再現を見た。

 西浦さんが「近所のコミュニケーションが広がる場になり、“小さな産直の事業”が大阪中に広がっていったら、面白いのでは」とニコッと語ってくれたので、期待したい。

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  △地域のパソコン好きの人が作ってくれたチラシ。


2016年1月20日 (水)

「柴田光郎のページ」をオープン――生コン労働者で大阪の「市民生協」をつくった男

 ▽追記(2017.08.31

 

 柴田光郎さんは2017年初頭から闘病中でしたが、2017828日(月)、午前2時にお亡くなりになりました。謹んでお悔やみ申し上げます。

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 『しんぶん赤旗』(2017829日付)

 

 

 日本の市民生協の大半は「大学生協」で活動した人たちが、立ち上げたものがほとんどだ。大阪いずみ市民生協は、「大阪府立大学生協の協力を得て設立準備会を発足させた」(Wikipedia)と書かれている。

 

 しかし今回立ち上げた「柴田光郎のページ」の主人公は、故・今崎暁巳さんが書いた『めしと団結――たたかう関扇運輸労働者』(19706月刊)に登場する、生コン労働者だ。

 その人が、プロフィールにあるように関西勤労協(学習協)の活動に参加し、1974年のオイル・ショックによる狂乱物価・物不足の中で、城北生協や河内生協を作った先輩の蒲生さんや寺沢さんの指導もあり(この人たちの歴史も聞きかじりだけで、今現在インターネット上には、その足跡をたどるページがない)、労働者として事業を起こした歴史がある。

 

 鶴岡生協(後の共立社生協)の佐藤日出夫さんのことは、部分的に書いたが〔鶴岡生協、そしてまちづくり協同組合へ―20数年前の思いに遡って刺激的な「いのちとくらし」研究所のシンポジウム――2015624 () 〕 、柴田さんがたびたび話す「横浜生協の岩山 信さん」などからも生協づくりの教えをいただいたと聞く。

 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/20-333b.html

 

 生協運動史では素人の編集子としては、その歴史を書き残していただける、研究者の登場を待つ。

    

 今現在、おもしろいこと、としては、《毎週月曜日、玄関前の「野菜・朝市」を開く。900から1100――この日も紀ノ川産の新鮮な野菜・とれたての果物など40種類近く。》を先日、大阪を訪問して、記録してきたものをUPした。

 大阪で100300軒つくりたいと実際の事業を起こしたのは、旧知の「元紀ノ川農協・西浦正晴さん」だ。

 

 

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「柴田光郎のページ」

   (上記をクリックして下さい。ページに飛びます)

 

 ◇ホームページで書いた主な柱建て。

 毎週月曜日、玄関前の「野菜・朝市」を開く

 ◆毎週月曜日 900から1100、この日も紀ノ川産の新鮮な野菜・とれたての果物など40種類近く。

 

 【私の趣味】:大相撲・琴欧州の引退断髪式でハサミ入れ。

  20141004日(日)、両国国技館で「琴欧洲断髪式」(琴欧洲引退断髪披露大相撲)

 

 【OB会】:運輸一般OB会有志で「六川農園」(佐久市)訪問。  2015610日~11日。

 1960年代の生コン労働者のたたかい――『抵抗』 (全自運大阪地方本部全自運関扇運輸支部編、196612月)  (全ページのPDF版)

 若かりし頃の柴田光郎の登場:『めしと団結――たたかう関扇運輸労働者』(今崎暁巳著、労働旬報社、19706月刊)           (PDF復刻版)

 生コン労働者から市民生協をつくった男〔A5判、大阪よどがわ市民生協発行〕。『新よどがわ市民生協物語――1000班の組合員に聞きました』(山田達夫・矢吹紀人・柴田光郎著、A5判、シーアンドシー企画、19924月)

 『PROSUME』(プロシューム)、〔B5判、50ページ、大阪よどがわ市民生協発行・労働旬報社編、1988730日発行〕           (PDF復刻版)

 月刊誌『PROSUME』(プロシューム)〔A4判、48ページ、大阪よどがわ市民生協発行・労働旬報社編、1989430日発行から1997年末で終刊〕 

 6冊の産直・農業・平和:女性たちへの共鳴をプロデュース。

◇「ある編集者のブログ」に登場する「柴田光郎さん」             

     http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/

 国内産直を重視した『PROSUME』(プロシューム)の発刊――20151230 ()             

 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-0925.html

 鶴岡生協、そしてまちづくり協同組合へ―20数年前の思いに遡って刺激的な「いのちとくらし」研究所のシンポジウム――2015624 ()             

 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/20-333b.html

 琴欧洲断髪式を観てきた201410 5 ()             

 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-c9f3.html

 “かっぱのげんさん”に会ってきた――             

 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-e4ed.html

  『めしと団結』のPDF復刻版づくり―― 

 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-9679.html

 メルヘン街道ドライブの旅、その前に的埜さん宅訪問――20145 4 ()             

 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-298d.html

2015年12月30日 (水)

国内産直を重視した『PROSUME』(プロシューム)の発刊

編集子は、1980年代の末ごろ、縁あって2冊のカラーページ入りでムック形式のページものを編集したことがある。

 1冊目は『TALK東京』(1986年12月、 『TALK東京Ⅱ』が1987年3月)と題する「都職労」(当時は自治労東京都職員組合)編の「東京都知事選挙に向けて企画されたモノ」で「B5判」の50ページのもの。

 企画の狙いは、「若い人たちに都知事選に関心を持ってもらいたい」という組合側の要請を受けて、制作したもの。

 椎名誠さんに登場していただくようなものでいいのかと、担当者を通じて企画プランを出したら、「スーっと」と通ったのでこちらがびっくりしたことを思い出す。

 

 2冊目が『PROSUME』(プロシューム、1988730日発行)だった。当時、大阪・吹田市に組合員が5万人ほどの小さな生協があり、「産直を軸に国産の食」にこだわって「輸入食品にふりまわされない消費者づくり」を市民生協の根本に置いた商品政策を持っていたので。「それではやりましょう」と企画したものだ。

 個人的には、『いのち永遠に新し』(住井すゑ、櫛田ふき、矢島せい子、石井あや子他、198508月)の編集で作家の住井すゑさんと出会い、「土と水に根ざした人間(言い方がちょっと違うが)と出会わない編集者はダメだ」と言われたことが、頭にこびりついていたのだった(並行して『わたしの童話』[1988年12月、現在、新潮文庫になっている]の編集をしていた)。

 ちなみにこの2冊と『手記 じかたびの詩―失業と貧乏をのりこえて』(全日自労・建設一般/早船ちよ編、 19808月)、『おふくろたちの労働運動』(全日自労・建設一般/早船ちよ編、 1986年7月)などの本を一緒に作ったのは、松沢常夫さん(現「日本労協新聞」編集長)だ。


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 PROSUME 』では、まずレジュメの作り方からみなさんに相談しながらすすめないとテーマ・課題が十分見えていない状況で仕上がったものが、下記のような柱建てのものだ。

 B5判・50ページほどのモノ。

 

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 月刊の『PROSUME』(プロシューム)を編集したのは、1989年からだった。まさかそうなるとは思わなかった仕事である。

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 先日、神保町の農文協農業書センター(現在、農業関係書でこれほどの出版物があるのかと驚いた)を見てきたので、昔の仕事だが、WEB上にUPしたく、制作した。

東京都千代田区神保町2-15-2 第一富士ビル3階(神保町交差点脇サンドラッグCVS神保町店様3階)、TEL03-6261-4760

 

 

 海外モノを安易にCOOP商品として販売する生協の動向への批判を込めて、以下のページにUPした。

 

 「それぞれの労働組合運動史・論3」のページ

 

 『PROSUME』(プロシューム)〔B5判、50ページ、大阪よどがわ市民生協発行・労働旬報社編、1988730日発行〕

 

 

 

どうなる農業・どうする食糧 五眼で見た日本の農業と食糧 二宮厚美

「食」と「暮らし」と「農」にこだわる

嘩峻淑子/中林貞男/レオナルド熊/寿岳章子/山田達夫

ルポ・日本列島すみずみ産直ネットワーク

北の大地・離農の国にたしかな息吹●北海道十勝・折笠農場グループ 矢吹紀人

希望をつくりだす協同のネットワーク●和歌山県・紀ノ川農協の“顔の見える産直” 今崎暁巳

いとおしんで作って いとおしんで食べる●滋賀県・愛知中部農協の“農業好き”仲間づくり 小山乃里子

土づくり・人づくり・地域づくりの産直運動●大分県・下郷農協 二宮厚美

パイン自由化の大波のもとで●レポート沖縄から 池原秀明

どうする日本の農業・食・暮らし

増田れい子/渋谷定輔/亀田得治/村上昭子/宮村光重/田代洋一/河相一成/小林節夫

インタビュー:日本の伝統食からまなぶ 宮本智恵子

暮らしのなかから食生活をつくりかえる 私たちの食卓からみた「暮らし」つくりかえ 姫野恭子

共同購入配送車のふれあい

レポート消費者の立場から 輸入食品は安全で、安心か? 大嶋茂男

FOODS NOW 食文化のなかから食品と農業を考える 二宮厚美

いま生協の商品政策が問われている 産直の力をさらにひろげて 柴田光郎

 

 

 

「プロシューム」定価=500

1988730日発行 発行人/山田達夫

発行/大阪よどがわ市民生活協同組合

編集・発売/㈱労働旬報社

112東京都文京区目白台21413

STAFF 編集●飯島信吾/矢吹紀人/NEOPLAN

デザイン●河田純/阪本正義/古賀孝和

イラスト●しらはまみちよ/ときわまさゆき/藤巻央滋/皆川正次

写真●共同通信/連合通信/カメラ東京サービス

 

2015年6月24日 (水)

鶴岡生協、そしてまちづくり協同組合へ―20数年前の思いに遡って刺激的な「いのちとくらし」研究所のシンポジウム

 ▽追加(2015.01.01)以下の研究所報が発行されました。

 

  ●2015年度定期総会記念シンポジウム

 

  「地域のくらし連携について考える―鶴岡から学ぶ―」

  ・鶴岡から何を学ぶことができるか…杉本貴志

  ・事業協同組合方式による「住み続けられるまちづくり」…岩本鉄矢

  ・社会福祉法人からみた地域のくらし連携…井田 智

  ・生協共立社連邦運営の基本的考え方…松本政裕

 

  (『いのちとくらし研究所報』2015925日、No52、特定非営利活動法人 非営利・協同総合研究所いのちとくらし、頒価1000円)

  お申し込みは、inoci@inhcc.org へ。

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 先日(2015619日・〔土〕)、明治大学の研究棟4階で「特定非営利活動法人非営利・協同総合研究所いのちとくらし」主催のシンポジウムに非会員でも無料で傍聴できるので参加した。

  テーマは、「地域のくらし連携について考える―鶴岡から学ぶ―」として、「鶴岡における地域連携の全体を知る機会とするため、医療福祉、生活全体や地産地消など産業のつながりなどについてご報告いただきます」と案内状には書かれていた。

これは行って傍聴してみなければと思った。

報告者は、「庄内医療生活協同組合専務理事、研究所理事 岩本鉄矢」「生活協同組合共立社理事長 松本政裕」「社会福祉法人山形虹の会事務局長 井田智」で、「コメンテーター・関西大学商学部教授、研究所理事 杉本貴志」(敬称略)であった。

 

なぜそのように思ったのか書いておくが、1980年代から飛躍的に社会に登場した「市民生協」という言葉を積極的な意味で感じ、刺激的な影響を受けたのは、当時の鶴岡生協・佐藤日出夫さんが書いた本を読んだからだった。

それはまた「市民生協」を知る上で、数少ない実践を学ぶ書だった。

 

手元に残っていないので調べてみると、以下の4冊があった。

『鶴岡生協と住民運動』(佐藤日出夫美土路達雄編 現代企画社、1968年)

『生協奮戦記』(佐藤日出夫著、家の光協会、1970年)

『こ​こ​に​虹​の​旗​を――鶴岡生協と住民運動』(佐藤日出夫, 美土路達雄共編、民​衆​社、1981年)

『虹のロマン――共立社連邦の理念と運営』(佐藤日出夫, 武田末治 著 民衆社、19847 月)

3~4番目の本を民衆社が出版し、「生協ってなに!」という問題意識がわいてきて読み始めた(当時、珍しく「赤旗」広告に載った協同組合関係出版物)記憶がある。


 また総評などの労働組合が国民春闘から退歩していく姿を見て、「地域に生協と労働組合」(企業内組合ではなく)があるのが、これからの時代なのではないかと強烈に思ったからだった(美土路達雄先生の奮闘は農協労働者向けの論文・本があり読んでいたが)

 

のちに、今崎曉巳さんと二宮厚美さんの本づくりなどから紹介されて会った労働者出身の大阪よどがわ市民生協(吹田市)の柴田光郎専務理事さんと、共通する思いを話し合った本の著者だった。

大学生協出身者に聞いても、「小さな単協の幹部の本」、というイメージを持っている人が多かった印象だったので、「こんな人もいるのか」と共鳴した記憶がある。 

その縁で大阪よどがわ市民生協雑誌づくりを手伝い、彼の夢の一端――大阪にも産直中心だけでなく、鶴岡生協にならってホンモノの地域生協を実現したい――をよく聴かされた。

 

当時、共立社・鶴岡生協が打ち出していた諸事実――「班の原点(くらしのまじりあい、共に知恵を絞り運動・事業の核として位置づけた)を常に貫いた生協」、「灯油闘争をたたかった生協」「反ダイエーの店舗のたたかい」「中央集権ではなく地域を基礎とした生協・連邦制」「イタリアと交流している生協」――を発見するために、編集子は1990年代初頭、鶴岡地域への取材に5回ほど通ったことがあった。

 

大山店(当時からセンターといっていたのか、不明)という小さな店舗と「炬燵に入れる範囲の班会」の意味、冬場のブリザードに近い足元からの雪風とその中での暮らしと班会・店の大事さ、町中の住民が組合員ということ、閑散としたメイン商業プロムナードとダイエー店舗の違和感も教えられた。

地に張り付いた組合員さんの生協への信頼感は、都会の市民生協のスタイル・共同購入とも違ってつながりが大事という(編集子の聞き方が間違っていたかもしれないが)、店舗のもつ意味を強調していた。いちいちそうだろうなと感じた次第。

だからその後、多くの市民生協の側が店舗展開を実行して、その成果を得ないうちに撤退し、「個配」を事業のシステムの核にしている問題については、今でも不思議な思いはある。

 

この過程で生活クラブ生協の名物畜産企業である「平田牧場」の大版タブロイドカラー新聞形式のチラシ(班に1部と店舗組合員向け。大阪では市民生協で購入できた)を作り、新田社長さんとも面談して、佐藤日出夫さんの思い出を聞いたことがあった。

生活協同組合共立社のあゆみ

 http://www.yamagata.coop/about/page/detail/4/



 歴史は2回転半、回っているが、地域から内発的に事業と複合的な組織を作っている事実には、学ばされた。

 

メイン報告者は岩本さんで、「事業協同組合方式による『住み続けられるまちづくり』」が報告された。

「鶴岡地域の特徴・歴史」、「鶴岡における協同組合運動の歴史と特徴――団体主義と個人主義、目的の手段としての事業と運動・灯油裁判、ダイエー出店反対運動・水道料金値上げ反対、市長選挙」「まちづくり協同組合設立の経過と特徴――異業種の集まりではあるが、共通の住民(組合員)が中心にすわっている」「仕事づくりを目的の一つに位置付けた、労協運動の挫折」「まちづくり協同組合傘下の組織と事業の現況――取組み業種、利用数、事業高、職員数、世帯比組織率」。

各加盟組織の活動の特徴と課題――(1)社会福祉法人山形虹の会、(2)生活協同組合共立社、(3)庄内医療生活協同組合――「①地域全世帯の過半数を組合員として組織、②健康な人を含む組織としての健康づくり一介護予防活動、健診事業フィットネス事業・介護予防、③患者に寄り添う医療の必然としての介護・住宅事業への発展、④医師・看護師不足による医療事業の制限」

このあと、井田さん、松本さん、そしてコメンテーターの杉本さんのコメントがあるが、全文は、「いのちとくらし 研究所報」(特定非営利活動法人非営利・協同総合研究所いのちとくらし、20159月刊予定)に出るので、読んでほしい。

 

気が付いたことのメモ。

1 コメントをした大高研道先生より、鶴岡地域では「購買生協」と「医療生協」が両者あい混じって、地域で事業・運動・人材交流が行われている。ほかの地域から見るとめずらしいのではないか、と。

市民生協と医療生協がいい関係にある地域はあるのかどうか、私が関わってきた経験から言えば、ほとんどない(これは私見)。だから鶴岡地域は貴重なのだ。

2 庄内医療生活協同組合は、地域の48.2%の市民が組合員。

3 事業協同組合システムを活用した「庄内まちづくり協同組合 「虹」」の存在。

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 『庄内まちづくり協同組合「虹」――新たな協同の和でつくる いつまでも くらし続けられる まちづくり』(20148月)より。

△クリックして下さい。


 4 対行政といい関係ではないが、着実に「福祉行政の一端」をになっている姿(1000名を超える社会福祉協議会があるとのこと。これは民間活力、民間でできるものは民間へという保守系政府の言い分にも反しており、市民の活力をどのように引き出すかという改革すべきテーマ)

5 労協運動の挫折(レジュメに書いてある文章)

 労働者協同組合の挫折と高齢者協同組合の設立――全国的な労働者協同組合運動の動きを背景に、1984年鶴岡協立病院の新築開設時に、病院清掃業務や夜警業務の受託を前提に『直轄庄内事業団』として労働者協同組合が設立された。創設後、中央組織への指導料などの負担もあり、労働者自らが主人公とはいうものの、県の最低賃金以下の時給しか受け取れない状況が続き、数年で中央組織から独立した地域事業団に衣替えを行った。しかし、低い報酬から脱却できず、現地管理者による不正の続発もあり、労協の理念とは乖離した組織状態が続き、労協は解散し、高齢者部分が介護事業を主たる事業とする高齢者生活協同組合を設立することとなる。そのため、清掃や夜警業務は職を失うこととなるため、まちづくり協同組合がそれらの人々の雇用と業務を引き継ぐこととした。

 

そうだったのかという思いがわいてきたが、この『直轄庄内事業団』についても取材に行った経験がある。そのときのことは「出羽三山神社」の2446段にわたる上りに、「知っていれば来なかった」という記憶しか残っていない。


  最後に、これまでの経験をまとめ、新しい出版物として、若い世代に伝えていってほしいものだ。

2014年12月11日 (木)

3000人に一人のコミュニティづくり員がいるイタリア

 NHKで報道された「無縁社会」と対比して、イタリア社会におけるコミュニティづくりをこのページで紹介したことがあり、別の面からイタリアの協同組合の源泉も書いてきた。

イタリアのコミュニティづくり――その伝統・基盤を学ぶ、●「編集者のつぶて」(2010 年01 月26 日)、『違和感のイタリア――人文学的観察記』(八木宏美著、新曜社、 2008 年9月、2, 835円)。

   http://e-kyodo.sakura.ne.jp/kanno/140108community.pdf

 イタリア協同組合の源泉を教えられた――『しがらみ社会の人間力』 (2014年5月31日 (土))  

  http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-f2d3.html

 

 「ゆりかごから墓場まで」という言葉は、第2次世界大戦後の「労働党が先導したイギリス社会における社会保障・社会福祉」を伝える目標としてよく語られたことがあり、日本の福祉関係者には、その教訓を学んだ時期があった。

 その後は、スウェーデン社会における社会保障の実現などが注目されてきた。 『イタリアのコミュニティづくり』の著者・ 八木宏美さんは、スウェーデンと対比しながら、別の仕組みとして地域社会の実践がイタリアにはあることを伝えている。

 イタリアでは、地域社会におけるさまざまな人間の成長・発達を支える仕組みとその対応が、カトリック教会の「神父」が行っており、彼らは「住民の実質的・精神的生活クオリティ向上のために専任で働く専門職、地域住民生活の総合コーディネーターなのである」と書かれている。

  すぐれた社会問題対処システム  

 カトリック教会は、信者数世界一を誇る世界最大の宗教団体である。(中略)イタリア人のすべてが参加する地域コミュニティの社会システムなのである。  

 誕生から葬式に至るまでのすべてを地域コミュニティ住民全体で互助的に生きるこのシステムは、具体的には、婚前心得教室、出産心得教室、子育て教室、思春期の子を持つ親教室、性教育、青少年モラル教育、ボランティア活動、少年サッカーチーム、各種スポーツクラブ、読書クラブ、コーラス同好会、サマーキャンプ、海外旅行も含む各地への団体旅行、各種レクリエーション活動、養子縁組、里子制度、共働き支援学童保育、老人クラブ、高齢者互助サービス、各種祭りや仮装行列、コンサート、講演会、お食事会など実に多義多彩な社会活動の大部分を担っている。  (中略) 教会は平均三〇〇〇人ほどの規模のそれぞれの地域社会の文字通りの基盤であり、神父は住民の実質的・精神的生活クオリティ向上のために専任で働く専門職、地域住民生活の総合コーディネーターなのである。金持ちにはなれなくとも住居と一生の生活が保障される神父職は、実にやりがいのある仕事であり、脱サラ組のなり手なども結構いるのである。

 カトリック教会とその「神父」を日本に持ち込むことを提案しているのではなくて、その一つひとつの事例・取り組みをコーディネートする総合的な組織・人間が、日本でも多数、民衆のレベルで生まれることを願っている。

2014年9月15日 (月)

『仕事おこしのすすめ』(池上惇著)のPDF復刻版づくり

 20年ほど前に編集・制作した『仕事おこしのすすめ』(池上惇著、19953月)を若い世代にも読んでほしく、PDF復刻版として制作・UPした。

 

 『仕事おこしのすすめ』(池上惇著、PDF復刻版)

 

 

 この本は、労協(いまのワーカーズコープ)などの会議で講演したものをまとめた文章を中心に、永戸祐三さん(当時、センター事業団専務理事)が企画したもので、何回か京都の祇園の中の安い飲み屋(といっても味はよく、京都の土地柄、大学の先生を敬うもてなしをする店)で懇談しながら、その後は、編集子が大阪よどがわ市民生協に行く過程で、京都大学まで数回、通い、制作したものだ。

 

 池上先生の希望で、ウイリアム・モリスのラッピング・デザインを探し出し、カバーデザインに使った。

 

  一般書店などのルートに載せるために星雲社との取引も行い、7000部を、一般書店や労協内外で販売しきるなど、チャレンジした。

 

  本書の中でかならず目を通していただきたいのは、「組合をダメにする11のカギ」などの指摘だ。

 

 現在のNPOや非営利組織を、いまでもダメだめにすることが簡潔に書かれている。みんなで参加型の組織をつくためにも、読んでほしい。

 

  第2に、岡安喜三郎さん(協同総合研究所理事長)が、「ワーカーズ協同組合論研究史〜協同組合研究の成果と課題」(堀越芳昭/JC総研 編、家の光協会発行、2014.5)を書いているので紹介した。

 

 ご本人は、以下のようにその意図の一端を書いている。

 

 この小論は「協同組合研究の成果と課題」(堀越芳昭/JC総研 編、家の光協会発行、2014.5)に収録されている「ワーカーズ協同組合論研究史」の本文と文献一覧です。

 

冒頭、「日本の協同組合研究の主流は長らく協同組合の本質は流通過程にあるとし て、生産過程・労働過程に特徴があるワーカーズ協同組合を「無視する」誤りを犯した。」で始めていますが、「協同組合の本質は流通過程にあ」りとする論の被害は、実は農業協同組合が最も受けていると思われます。そして何よりも日本の協同組合運動にも大きな被害を及ぼしていると言えます。

 

 

 編集子の側から、1点、注文があるとすれが、“日本の労働組合陣営は、なぜワーカーズ協同組合を「攻撃した」誤りを犯した”のかだ。

 

さらなる追究をしてほしい。

 

 

  「学び・つながり・伝え合う」ページUP

 

 

『仕事おこしのすすめ』(池上惇著、シーアンドシー出版・協同総合研究所、A5判並製、19953月) (PDF完全復刻版)

『小さな起業で、楽しく生きるビジネス( ワーカーズ・コレクティブ )』 (本体価格 1,400+税、ほんの木 刊)

 富澤賢治、中川雄一郎、岡安喜三郎、石塚秀雄、柳沢敏勝、堀越芳昭各氏の「BOOK・論攷のご案内)。

 

 

  ▽追記

   越谷の「生活自立相談」にワーカーズコープが登場

   http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-a50c.html

 

   「仕事おこし懇談会inこしがやのページ」を立ち上げ

   http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/in-e6a5.html

 

 

 

 

 

 

2014年8月 7日 (木)

「モンドラゴンMCCのページ」が紹介されて困ったこと

 「ファゴール倒産」が日本の協同組合関係者や研究者の中で話題になり、編集子が編集している石塚秀雄さんの「モンドラゴンMCCのページ」を訪れてくれる方が増えている。

  海外からも、韓国、アメリカ、イギリス、フランス、スイスそしてスペインなどから訪問者がいる(Google Analyticsのページでアクセスが表示されるようにしている)。  

 「石塚秀雄のページ―モンドラゴンMCC

  さらに時代は進んで、HPが引用され、以下の論文のように「石塚秀雄のHPに掲示されたPDFファイル」では、という形で論文が登場しており、HPが「出所」となっている。

  ▽2014.07.28 スペイン・モンドラゴン協同組合グループの動向─「FAGORの破綻」の実態と対応─坂内 久〈一般財団法人農村金融研究会主席研究員〉、「農林金融』2014年07月号(第67巻第7号 通巻821号) 要旨――1980年のICAのレイドロウ報告「西暦2000年における協同組合」で,協同組合の成功例として日本の総合農協とともにスペインのモンドラゴン協同組合が紹介され,モンドラゴンは世界的な注目を集めてきた。ところが,13年11月に傘下のFAGORの破綻が報じられ,日本の協同組合関係者間にも驚きをもって伝えられたが,これについて必ずしも正確に伝わっていないようである。   

  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/ishizuka/mondoragon.htm

  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/ishizuka/140728sakauti.pdf




  このような論文のかたちは、身近では五十嵐仁さんの以下の論文も同じだ。

  第二次安倍内閣がめざす労働の規制緩和、『労働法律旬報』No.1799、2013年9月10日付

  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/igarashi/ronkou.htm

 

  

 前者の論文では、アドレスが明示されていないのが、残念だが。

  困ったこととは、私人として「WEB制作・管理」をしているものとしては、健康寿命があるので「半永久的にサイトを生き続けていくこと」は到底、無理な話だ。   

 とくにWEB上では、リンクが外れているものも少なくない。

 出版物や雑誌などは、国会図書館に寄贈され保存されているが、WEB上のものは、されていない。

 昔、協同総合研究所の事務局を手伝っていた時代の発想を、今やっと実現しているものとしては、各研究機関・大学はすべての関係者の論文・論攷を後世の人が読めるように、WEB保存をすすめることを期待したい。

2014年7月28日 (月)

「モンドラゴンの光と影」を一挙にUP

  「ファゴール倒産」(2013年10月)ニュースで関心が高まったスペイン・モンドラゴン。30回近いスペイン・バスク訪問を体験している著者が、その歴史、アリスメンディアリエタの協同組合哲学、「モンドラゴンの神話」などを分析し、今日の「市場競争と失敗」から協同組合論として何を学ぶかを提言する。

 

「石塚秀雄のページ―モンドラゴンMCC」

 

編集子としては、以下のような「アリスメンディアリエタの理論闘争」の一部を、昔、協同総合研究所づくりに参加したとき、味わった経験がある。

しかしアリスメンディアリエタのスケールの大きいたたかいは、見事なものだ。その問いの意味を著者は、「革命後にどのような労働生産形態を考えているのか、どのような社会システムを考えているのか」と解している。

 

徐々に拡大しつつあるモンドラゴン協同組合にたいして、政治的批判が旧左翼や新左翼、ETA(「バスクと祖国と自由」、民族自立政治組織。現在では一般的にはテロリスト組織と見なされている)などからの批判がなされ、アリスメンディアリエタはそれへの理論的な対応を迫られました。

旧左翼とは主としてマルクス・レーニン・スターリン主義者たちで、労働者協同組合にたいしていまでもなされるような批判をしてきました。すなわち、労働者協同組合は、階級闘争を否定するプチブルの運動であり、労働者を搾取し、私的所有を肯定しているという批判です。アリスメンディアリエタが政府から、協同組合運動による地域振興を理由に労働金メダルが授与されたことも批判されました。アリスメンディアリエタは神学や哲学の勉強の中で、ヘーゲル・マルクス的系譜の理論、マルクスの「経済哲学手稿」、マルクスの協同組合論とレーニンの協同組合論の違いなどをよく理解していました。しかし、一方、批判者たち自身は自らのよってたつべきそれらの理論をあまり知らなかったのは、アリスメンディアリエタにとっては不幸なことであったことでしょう。

 また労働組合主義者からもモンドラゴン協同組合に対して批判が行われました。アリスメンディアリエタは労働組合主義を認めていましたが、労働の問題は労働組合主義だけでは解決しないと考えていました。つまり社会での働き方は賃労働だけではないと考えていました。つまり、働く人々には農民・漁民・自営業者・協同組合労働者など多用な形態があると考えていました。また、バスク独立派といわれるETAは、1965年に武装闘争派(ETA6)とそうでない派と分裂しましたが、ETA6からはモンドラゴン協同組合は「労働者階級とバスク民族への二重の裏切り者」と批判されました。また新左翼とは、新マルクス・レーニン派、トロツキスト派(トロツキーはソビエト赤軍総司令官だった。亡命先のメキシコでスターリンにより暗殺される)、毛沢東派(文化大革命支持派)などですが、彼らからはモンドラゴン協同組合は「スペイン新植民地主義の手先」と批判されました。これらの批判はいずれも労働者協同組合の存在について否定的なものでありましたが、一方、彼らが彼らの革命後にどのような労働生産形態を考えているのか、どのような社会システムを考えているのかは、アリスメンディアリエタに対して明らかにはできませんでした。

 

モンドラゴンの光と影

《第1回》協同組合研究誌〔季刊にじ〕、石塚秀雄、JC総研、2013年夏号、No.642

 1 初めにバスクにありき

 2 モンドラゴンの概要

 3 スペインにおける協同組合の歴史

 4 スペインの協同組合の形成

 5 労働者協同組合としてのモンドラゴングループ

 6 バスク協同組合運動の思想的背景

《第2回》協同組合研究誌〔季刊にじ〕、石塚秀雄、JC総研、2013年秋号、No.643

 1 アリスメンディアリエタ小伝

 2 アリスメンディアリエタの協同組合哲学

《第3回》協同組合研究誌〔季刊にじ〕、石塚秀雄、JC総研、2013年冬号、No.644

 1 モンドラゴンの世界的影響力

 2 「モンドラゴンの神話」

 3 「協同組合とコミュニティ―モンドラゴンから世界へ」

 4 社会の持続的発展をめざして

《第4回》協同組合研究誌〔季刊にじ〕、石塚秀雄、JC総研、2014年春号、No.645

 1 モンドラゴンの大きな躓き

 2 家電部門での市場競争と失敗

 3 債権者会議のゆくえ

 おわりに―失敗に学ぶ

  モンドラゴンの評価、協同組合論の再検討事項

 

2014年5月31日 (土)

イタリア協同組合の源泉を教えられた――『しがらみ社会の人間力』

 私がイタリアのトリノ・ボローニャ調査(当時の大阪よどがわ市民生協主催)に今崎暁巳さん(故人、ドキュメント作家)、二宮厚美さん(現神戸大学名誉教授)、柴田光郎専務理事以下組合員、職員など総勢20名ほどで訪問したのは、1988年秋。

 当時は、日本のいくつかの市民生協(山形の共立社生協〔旧鶴岡生協〕、京都生協など)で、イタリアの協同組合について学ぶことがブームになっていた時期である。

 

 今回、紹介したい本は、『しがらみ社会の人間力――現代イタリアからの提言』(八木宏美 著、新曜社、201110月、四六判304頁、定価:本体2600+税)だ。

  140531ningenryoku

 八木さんの前著・『違和感のイタリア』(2008年刊)は、「イタリア協同組合のページ」で紹介してある。

 イタリアのコミュニティづくり――その伝統・基盤を学

 



 本書のタイトルは、多分、出版社側がベストセラー『老人力』(赤瀬川 原平著)にあやかって、意気込んで付けたのであろう。しかし本書の別な読者としては、『現代版ユートピア“協同組合” ――イタリア紀行』としても、マイナーな人たちに21世紀のエポックとしての本になっているはずだ。

 

 その事実は、「第7章 モラルとリーダーシップ―現代版ユートピア“協同組合”」というテーマで描かれている(柱立ては以下のとおり)。

 

1 戦後イタリア共産党の強さの秘密

2 国家はマラリヤ?

3 戦後共産党はなぜ協同組合を戦略としたのか

4 協同組合はどんな経済システムか

5 『ユートピア』と理想社会の条件

6 伝統的同業者組合と近代協同組合

7 基本的経済システムとしての協同組合の提唱

8 プロセスの社会主義―協同組合

9 社会実験―何が地域事業を成功させるのか

10 民主主義を機能させる条件とは

 

 この章に到達するまでに、“カトリック教会と並んで「二つの教会」と呼ばれるほど絶大な影響力を誇った共産党が戦後のイタリア地域社会で実際に担ってきた役割や、機能する社会に必須のリーダーシップとモラルについて”分析されている。

 別の角度からも、少数の読者には、「第5章 茶の間の共産党と元祖社会主義者キリスト」「第6章 地域リーダーのモラル学校」をお薦めしたい。

 

 さて、社会的協同組合の誕生で再注目されているイタリアの協同組合の源泉は、この共産党の戦後史にかかわって、「カトリック教共産主義派」(グラムシ研究所)を立ち上げ、「共産党学校」で学んだ地域リーダーを地域展開させ、「1947年以降、協同組合は革命を考える共産党の目指すものとは別物であり、センチメンタルな社会主義活動だ」という路線を転換させたことにあるという。

 その後、イタリアの「伝統的同業者組合」などを引き継ぎ、「モラルを徹底した共産党系協同組合」を発展させ、カトリック系協同組合としのぎを削ってきたと報告している。


 著者は、ノーベル賞経済学者のアマルティア・セン教授の言説の生きた例として、「コーオペレーション社会主義」の進展は「自由資本主義が高度に発展している国でこそ、実現できる」と力説している。

 イタリア版里山資本主義のような特筆すべき実例として、「アペニン山脈中央部地域協定プロジェクト」の興味深い社会的実験もレポートしている。

 

皮肉にもスターリンに指示されたトリアッティの政策(p221)―国内宥和政策と多数派戦略や冷戦下、支配層から排除された左翼人が、大学、ジャーナリズム、法曹界、地方自治などの場で影響力を持っていたことなど、グラムシの「文化を支配するものが国を支配する」(p243)という生きた事例も描かれている。

 

イタリアは、「1960年代構造改革論」の祖国として日本に紹介されてきたが、そのことによって左翼系の読者は毛嫌いするが(ただし「団塊の世代まで」だろうが)、イタリア協同組合の源泉・歴史、現代的社会的実験の場として現状を紹介している本書を読んでほしい。

 

  ▽追記(14.06.10

 

  イタリアの社会的協同組合を紹介――菅野正純のページを増補更新

 

  http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-1441.html

 

 

 

 

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