ふくし生協(高齢協)

2014年1月19日 (日)

朝日新聞、読売新聞が報じるお泊りデイ

 マスコミはお泊りデイの実態を以下のように描いて、社会に問題を提起している。

  〔以下の記事が削除されているようなので、PDF版を掲載した。(2014年02月05日)〕

(報われぬ国)行き場なく雑魚寝の老後、朝日新聞、2014年1月13日13時59分
お泊まりデイ、3年で26人死亡…誤飲・徘徊で
、読売新聞、1月19日(日)11時51分配信、PDF版
十人雑魚寝・口には…「無法状態」お泊まりデイ、読売新聞、1月19日(日)14時10分配信、PDF版

 

(報われぬ国)行き場なく雑魚寝の老後

朝日新聞、20141131359

http://www.asahi.com/articles/ASG1D5JJ3G1DULFA00B.html

 

お泊まりデイ、3年で26人死亡…誤飲・徘徊で

読売新聞、 119()1151分配信

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140119-OYT1T00197.htm

 

十人雑魚寝・口には…「無法状態」お泊まりデイ

読売新聞、119()1410分配信

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140119-OYT1T00205.htm

 

 

2014年早々、私はさいたま高齢協発行の『ふくし生協さいたまだより』(20141月号)で、以下の文章を書いた。

 

 ◇埼玉の医師が警告する医療・介護

  埼玉県の東武スカイツリー線の栃木よりにある埼玉県済生会栗橋病院院長補佐の本田宏医師が、ツイッター(@honda_hiroshi)でいま、「医療崩壊の真因は医療費抑制策による先進国最低の医療費と医師抑制等による医療スタッフ不足です。未曾有の超高齢化社会を迎え、このままでは大量の医療難民発生は間違いありません。正しい情報なしに正しい判断は不可能です。医療・日本崩壊阻止、あなたも力を貸してください。」と呼びかけている。

  そのキーワードはクレプトクラシー(収奪・盗賊政治)だとする。2025年に「団塊の世代」の多くは介護保険利用者になる。そのとき、埼玉は「医師も介護者もいませんよ」と警告している。

  いざ高齢協で、市民力を発揮する人を探さなければ。

  http://www.hukusiseikyousaitama.jp/

 

2025年問題」といわれる団塊の世代のケア超不足時代をどうするかというテーマだ。

「援助される高齢者ではなく、支援をする高齢者になろう」と各地の高齢協がかかげているが、さいたまの地域で克服する展望を作り出すことがいかにむずかしいことかを実感しながら、最近のマスコミ報道を読んでいる。

一方で巨大なツアー(旅行)の広告・宣伝ページで消費者としてあおりながら、書き手たちは、「アリとキリギリス世代」として、団塊の世代を見ているようだ。

 

追記 以下も読んで!

改訂・「3031日」という「お泊まりつきデイ」の無念さ――ケアマネさんへ

http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/3031-02f5.html

お泊まりデイと宅老所――ふくし生協(福岡高齢協)

http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-9154.html

 

2012年6月 6日 (水)

お泊まりデイと宅老所――ふくし生協(福岡高齢協)

 62日(土)に「ふくし生協(福岡高齢協)」の認知症対応デイサービスを見学に行ってきた。場所は博多の繁華街・天神から車で30分ほどの住宅地。

「宅老所 たのしか荘 (通所介護)〒814-0171 福岡市城南区梅林5-52-10


 10年前に地域住民11人の人が発起人となり、ふくし生協(福岡)に申し入れがあり、協同してつくった宅老所。

 敷地500坪もあり、庭には桜の大きな木があり、春の花見は出かけないでも済む。

 

旧料亭の平屋建てを改修して、玄関から座敷に上がる元土間がバリアフリーに改修されで、車椅子も楽々、通れるほどの廊下になっている。部屋は舞台つきの12畳プラス10畳(増築で現在はその倍)、広い食堂、風呂場は2カ所だった。

 

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現在は「12人対応が増築して、24人対応」になっている。スタッフは11人。宅老所なので「お泊まり」もやっている。毎月、数日を除いて家族の希望で5人ほど泊まるという。

泊まるところは玄関近くに部屋があり、ベッドの部屋と畳の部屋があった。

全体として、バリアフリーの廊下と畳、そしてソファーと、小ざっぱりとした上に掃除の行き届いた暮らしを提供していた。

 

ご案内をしていただいた管理者・介護福祉士の梅野信子さんは、「4月にご利用者様が施設に入ったり、お亡くなりなった人もいて経営が大変」とこぼしながら、「通常のデイから移ってきたご利用者さんが、“食事をよくしていますね”、とケアマネさんから言われたり、暴言をはいた人がやさしくなったり、変わっていくのを目の当たりにして、良かったね、とみんなで言えるのがいいんです」と話す。

 

「自慢ではないのですが職員の仲間も止める人がいないんです。食事づくりをしている仲間は、開設当時からなんです」とにっこり語る。

梅野さんの関わり方もユニーク。

「この職場に私は7年もいるんです。夫の定年で数ヵ月旅行などもしていたんですが、このままでは嫌だと、ここに送迎と事務に入ったんですが、責任者が移動することになり、ヘルパー2級、そして介護福祉士の資格をとり、いまでは責任者なんです。帰りも定時のはずが、遅くまで残っていて、家族の希望に反しているんです」と。 

 夢は「小さな施設をつくってすべてを看るところをつくりたいんです」と、地域の組合員さんや家族とも話し合いをしているとのこと。

 


 翌日、創設以来21年で、全国的に有名な「宅老所よりあいの下村恵美子さん」の話を聞いた。

 このブログに関わるので一言書いておく。

  
 

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 「私たちのところは、簡単に泊ってもらわない宅老所なんです。泊まるときは家族との十分なコミュニケーションをとった上で、お互いの覚悟を決めて、泊まってもらう。それも食事付き5000円です」

 「看とりが終わって、家族から“よりあいのみなさんが家族・娘です”、と言わせてはいけないんです。必ず家族に体を触ってもらう、その介護を行ってもらうために自宅に帰すのです」と。

 「福岡でも泊まり800円という青年ビジネスマンの泊まり付きデイサービスがいっぱいできてきました。ホームページを見ると、当事者が庭の花植えをして、スタッフの青年がニコっとしている。それと私たちの宅老所はどうちがうのか。事実で納得してもらわないといけないでしょう」と。

 

 「宅老所 たのしか荘」のふくし生協(福岡高齢協)は「宅老所ケア」を打ち出し、下記のようなシンポジウムを63日(日)に「9電協創館」で開いた。その問題提起を書いておく。

 

 高齢者フェスタふくおか(基調提案)

 福祉の定義は「しあわせ」や「ゆたかさ」といわれます。私たち(福岡県高齢者ふくし生協)は、その福祉への願いや想いをスローガン…『好きなまちでいきいきと暮らし、住み慣れたまちで安心して老いたい』 …に込め、私たちが生活する地域をよりよくするために『宅老所ケア』と位置付けて実践活動を展開してきました。

 『宅老所ケア』は、地域運動として全国に広がった宅老所(私たちの福祉拠点や同様の願いや想いで立ち上がった事業拠点を含む)を、協同組合という枠組みで「働くもの」・「地域で生活するもの」・「介護サービス等を利用するもの」、そして「地域」にとって欠かせない社会資源として永続発展させよう(させたい)という「方針の総称」です。各地に誕生した宅老所が、世代を超えて地域に根付くために、私たちは協同組合という枠組みでその願いや想いをつないでいく構えです。

 具体的には、『宅老所ケア』は「24時間365日の支え合い」を基本方針とし、3つの実践方針…

 ①福祉拠点の「ケアの質」向上や相談窓口としての役割などの充実

 ②看取りまでを視野にいれた医療などとの連携

 ③介護だけではない日常生活の困りごとを支えあう取り組み

 …を掲げ、宅老所運動の実践者や在宅医療の専門家を招くなど、私たちの『宅老所ケア』の方向性を確認しあいながら、「学習や交流の機会」と「実践経験」を積み重ねてきました。

 今回、「福祉の生協」を母体とする全国の仲間を迎えるにあたり、「24時間365日の支え合い」をテーマに、「3つの実践方針」に沿った分科会(パネルディスカッション)を企画しました。

 

 ふくし生協(福岡高齢協)の問題提起と「3031日のお泊まりつきデイ」を売り込む青年ビジネスマンたちの商法(介護を品質という目で見る時代錯誤のリーダー)は、かならず違うものだという「青年たち、ケアマネさん、家族」が現れてくると確信する。

  ▽参考になりましたか。一度、TOPページもご覧ください。


  ある編集者のブログ

2012年4月22日 (日)

改訂・「30泊31日」という「お泊まりつきデイ」の無念さ――ケアマネさんへ

  以下の数字は、あるサイトに掲載されていた「3031日」の料金表だ。

 「夜間ケアサービス 24.000」とある。これが「1800円」と謳われている合計額だ。

 (注記)表を掲載してきたが、著作権の問題で削除した。(201272日)

 尼崎市(兵庫県)の医師が自らのブログで以下のように、警告している。

 http://www.nagaoclinic.or.jp/doctorblog/nagao/2012/03/post-2284.html

 Dr 和の町医者日記

 お泊りデイにメス 20120319日(月)

 

 読売新聞の一面にて、「お泊りデイの諸問題がやっと大きく報道された。30泊31日のデイケア=要するに住んでいる、という、奇妙なデイが増えている。

 たった1泊300~1000円で預ってくれるので、介護者は大変喜んでいるのだが・・・

 犬や猫でも1晩預ってもらうと、1万円以上かかるのに人間さまが、800円でお預かりしてもらえるカラクリとは?

  それは、要介護の枠いっぱいを、デイサービスに使うことにあった!

  要介護3なら月に25万円、要介護4なら30万円が補償される。

  家賃7万円の古い民家を使って、定員10人で30日ごろ寝させる。

  お泊りは、それに対する「サービス」なのだ。

  売り上げは、月に200~300万円になる。

  設備投資や家賃は、せいぜい、月に10~15万円。

 老人の労働者を使う、私は彼らが死なないかのほうが心配。

少し調べてみると、その実態把握について、千葉県や東京都の議会で、質問や対策が出されている。

 

3031日」という話は、このような施設にあずける家族のむなしさを表現しているようだが、ケアマネさんたちはその専門性からみて、どのような立場・スタンスでいるのであろうか。

 

「ショートステイが満杯だから」、「特別養護老人ホームが足りないから」、というレベルを超えて、「団塊の世代」の人たちの未来ではないか。

追記:120702

このページをよく読んでいる人たちがいることがわかった。

当事者・家族のための「デイサービス・宅老所」になることを願う。 

 

アメリカの映画:「コクーン」で描かれたような「保養地型シニアハウス」が日本のテレビで紹介されているが、それは「勝者」のみの老後の姿だ。

 

  ▽追記(2014.01.19

 

  朝日新聞、読売新聞が報じるお泊りデイ

 

  http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-e2e7.html

 

 

2012年4月19日 (木)

横浜でも9件事故・お泊まりデイサービス

心配していたことが起こった。青年のビジネス・パワーで「30泊31日」というデイサービス付きの事業展開が、いくつかのグループで展開されている。

本ブログに「検索キーワード」で登場したのが、「横浜でも9件事故 お泊まりデイサービス」だ。

追っかけてみると、出所は、2012年3月8日の記事のようだが、既に削除されているので確認できない。

 

朝日新聞デジタル:横浜でも9件事故 お泊まりデイサービス-マイタウン神奈川

 URLmytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000001203080005

 登録日時:2012-03-08 23:21 

 

 デイサービスのリクルートに「5人から8人の利用者の介護、夜9時から翌朝まで、1万2000円」という情報が出ている。

 

 「宅老所づくり」の歴史を知っているものとして、泊まり付きをうたっているが、専門家として「高齢者・当事者の生きる願いを実現する場としてのデイサービスとして」頑張ってほしいと願うばかりだ。

 

2012年1月 8日 (日)

三好春樹さんグループが紹介する「街の中の小さなデイサービス」

 生活介護を打ち出して、介護ワーカーのファンが多い三好春樹さんがかかわる「日本生活介護ホームページ」(株式会社日本生活介護)。役員に三好春樹さん(取締役、1950年広島県生まれ。PTとして特別養護老人ホームに勤務後「生活とリハビリ研究所」開設。生活とリハビリ研究所代表)や黒岩卓夫さん(顧問、医療法人社団萌気会理事長)などが紹介されている。

 このサイトには「街の中の小さなデイサービスが続々と生まれています」ということで、東京、神奈川、千葉、埼玉その他で50カ所以上を写真付きで紹介しています(日本生活介護がプロデュースしています、と)。

 

 

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 TOPページにイタリア・ボローニャの「バルカ老人センター」(リタイアした元気な労働者であった年金生活者たち〈メンバー1500人〉の自主管理・運営のデイサービスセンター)の写真が載っています。

 日本での紹介は珍しい。

2011年11月18日 (金)

茶話本舗グループは本物か?

 日本高齢者生協連のなかで、福岡の「ふくし生協」は、宅老所ケアを事業コンセプトとして打ち出し、20カ所をこえる「事業所」を創造し、先進的に歩をすすめている。

新潟は高齢協を名乗らず、「コミュニティささえあい生協」として、介護保険下の「小規模多機能介護事業」を活用して、その基盤を作っている。

 ひるがえって、若手ビジネスマンを中心に「茶話本舗グループ」が急速に有名になっている。

ここは、介護保険のデイサービスに泊まりつきで全国展開し、フランチャイズ経営で、500カ所近くつくりだしている。なんと一泊800円だ。

そこで「ふくし生協さいたま」のみなさんに資料提供した文書(インターネット上に発表になっているモノ)と越谷における実情に一端をここに紹介したい。

「茶話本舗」について―株式会社日本介護福祉グループ(PDFファイル)

越谷における「茶話本舗」開設者―株式会社ウェルオフ(PDFファイル)  (2012.05.18追加)

介護保険制度改正に向けて「お泊まりデイサービス」の現在の論点(PDFファイル)

 

 

 追記:12.05.19

「30泊31日」という「お泊まりつきデイ」の無念さ――ケアマネさんへ

 

  横浜でも9件事故・お泊まりデイサービス

 

民家改修型・「宅老所付きデイサービス」をつくりませんか

「ふくし生協さいたま」で、「宅老所付きデイサービス」づくりがやっと進み始めた。

場所は「さいたま市岩槻区」。

ここには「ふれあい岩槻」が平成13年からヘルパーを中心とした訪問介護事業所がある。

 以下のページに、討議メモをUPしておいた。

 あなたも参加しませんか。

  

 さいたま市岩槻区における「宅老所つきデイサービス」づくり

 

 なぜ“宅老所付きデイサービス”を開設するのか(PDFファイル)

岩槻における「宅老所つきデイサービス」(計画概要)(PDFファイル)

看護師さんやスタッフを募集チラシ(案)(PDFファイル)

ふれあい岩槻の御案内チラシ(案)(PDFファイル)

 

以下の文章は、その部分。

 

1 「寝たきりにならない・しない」「一人ぼっちの高齢者をなくそう」と始まった高齢協。つくられて10年を経て、「ふくし」を主たる事業とする協同組合として、新生することをめざしています。

ネーミング(愛称)も、高齢者だけではなく、実業世代も参加できる「ふくし生協さいたま」としました。

 そのために“市民の協同の力”を積み重ねて、歳をとっても、障がいがあっても、住み慣れた町で、だれでもが「主体的に、その人らしく生き、自分のくらしを送れること」をめざします。

そのパワーで自治体行政と協働する――新しい「協同の福祉」を実現しましょう。

 

2 全国の高齢協は創立して、10年経ち、幹部・リーダーの高齢化が顕著になり、新しい次の世代へのバトンタッチが大きな課題となっています。

 そのためにも「事業・活動の幅を広げ、質を高め」、次の時代に取り残されないために、安定的な経営をつくりだし、大胆な世代交代を開始するために、いま新たな事業が求められています。 

 

3 設立の理念であった「仕事おこし」をして、不安定な高齢者の暮らしを一緒に改善するために、「ふくし」の事業を街々におこし、そこで青年や女性たちと力を合わせる「仕事の場」をつくりだし、「絆とワーク(仕事)のあるまちづくり」をすすめましょう。

2011年10月21日 (金)

「ふくし生協」へのネーミング変更

 「ふくし生協さいたまだより」(2011年10月号)の《連載2:変わる高齢協・進むふくし生協》で、なぜいま「福祉を主たる事業とする協同組合」なのかを提案した。

 

▽“かけがえのない役割”を実現する

 

 1990年代後半に国連の「国際高齢者年」開催もあり、当時、高齢者協同組合(高齢者生協)を提唱し、つくる活動の中心を担ったのは、日本労働者協同組合連合会でした。

 日本が高齢社会へ向かうという状況の中で、「寝たきりにならない、しない」「元気な高齢者がもっと元気に」をスローガンに、自分たち自身の手で、豊かな高齢期を創り出そうと、互いに支えあい励ましあう組織として高齢者協同組合を構想し、呼びかけ、全国に設立してきました(日本高齢者生協連には23組織が参加)。

 ふくし生協さいたま(さいたま高齢協)もその一環として、生まれています。

 亡くなった菅野正純さん(日本労協連理事長)は、『これからの高齢協運動を考える』(2003年6月発行、日本高齢者生協連のHPで読めます)で、高齢協の提唱が社会的に受け入れられた要因を次のように語っています。

 “▼人と人のつながりの再生――第一には、孤立から解放されて、人と人とのつながりを取り戻したい、という人びとの願いの強まりでした。▼人がいきいきと生きるケア、地域福祉――第二には、「寝たきりにならない・させない」「元気な高齢者をもっと元気に」という、新しい介護と地城福祉のあり方への願いでした。▼かけがえのない「役割としての仕事」――第三に、人と人とのつながりの中での、かけがえのない「役割」としての「仕事」という、新しい働き方への願いです”

 

 ▽ふくし生協さいたまでの経験

 

 私たちの経験でも、第二の「新しい介護と地域福祉のあり方」を実践してきた女性たちを中心にこの間、組織を維持してきました。

 増田アツミ理事長は、当時を振り返っています(「さいたま高齢協だより」2010年10月号)。

 ――事業を始められたいきさつを聞かせてください。

 [増田] 労働者協同組合という組織があり、「高齢期を豊かに生きたい」という集まりを作ろうという呼びかけに応じたのがきっかけです。それは10年ほど前の話ですが、すでに高齢社会の到来が話題になっていました。高齢者にとって何が必要か考えたときに「仲間」・「仕事」・「生きがい」を作ることが必要ではないかということになりました。呼びかけに応えた当時定年退職した男性たちを中心に、任意団体としてスタートしました。

 集まってから何をやるのか考えました。何か退職後の仕事があるのではという考えで参加した人もいたようですが、なかなかそうはならなかった。おじさん達は組織(=会社)の中で生きてきた人たちなので議論し、決めることは得意ですが、仕事を作ることはできなかったのです。

 

 ▽ふくし(福祉)をとらえなおす

 

 ささえあい新潟の高見専務さんは、“ふくし(福祉)とは、「(ふ)ふつうに(く)暮らせる(し)幸せ」”とニュースの中で書かれています。

 現在、介護保険体制下のもとでの高齢者介護だけでなく、障がい者、子ども、女性(青年)など地域に普通に暮らしている人たちの幸せをつくりだすこと――そのために市民の協同の力を集め、「ふくし生協」が各地につくられることが求められています。

 そのとき、全日制市民となった高齢者は「支えられる存在から、社会を支える存在に」なって、自分の生きがい・仕事が欲しい・役割を持ちたいという願い(自己充足型)と、「生活と福祉で地域をつくりかえる」(協同・連帯型)“かけがえのない役割”として、新たな参加が求められているのではないでしょうか。

 その「共生・連帯の社会づくり」に挑戦することが、「ふくし生協」へのネーミング変更に込められています。     (広報・飯島信吾)

2011年8月30日 (火)

変わる高齢協・進むふくし生協――ふくし生協(福岡) 

 

 以下の文は、HP:「編集者の飛礫」(「福祉生協さいたまだより」(2011年7月号、生協 さいたま高齢協)にも掲載したが、ブログの反響が大きいのでここに再掲載します。                  

 

 全国の高齢協ができて10数年。日本高齢者生協連合会第10回総会(6月5日)が東京のラパスホール(大塚)で開かれた。今総会から、福祉生協さいたま(生協 さいたま高齢協)も正式に参加した。全国の胎動している事実を学びながら、“協同のうねりの情報”を組合員・市民のみなさんと共有して、埼玉でも生み出していこうという思いを伝えていきたい。 

                                                             

 

▽高齢協のイメージが変わり

  始めている

 

 全国の高齢協総会報告書にある各地の取り組みは、これまでの「高齢者への訪問介護の取り組み」中心という高齢協の組織イメージを、大幅に変えて見ざるを得ない事実の発見があった。

 

 目次風に書き込むと――「コミュニティケアの推進」「小規模・多機能なデイサービスプラス宅老所を」「ケアホーム(共同生活介護)をつくりだす」「入居しやすい高齢者専用住宅づくり」「就労支援のための事業」「高齢者と障がい者を支えるモデル地域にしよう」「子育て安心サポートづくり」などである。

 

 これらは私が協同総合研究所の主任研究員・菅野正純さんと一緒に編集した『仕事の発見』(隔月刊誌・日本労協連発行)の大テーマ――人間再生・地域再生・地域コミュニティーの再生・福祉社会の創造・協同労働論というテーマの実践版だ。

 

 菅野さんは夭折してしまったが、「高齢者が元気に生きられるまちは、障害者も生きられるまちだ」とネットワーク型・複合型の問題をいつも提起していた。やっと彼の問題提起が、甦ってきたと実感している。

 これら子ども、若者、障がい者支援などは、どの地域(都会であろうとローカルなところであろうと)の高齢者でも頑張れるテーマだ。

 

 さらに総会に参加している構成員は、10年前に見られなかった、若い女性から青年も含む中堅男性陣の新鮮な顔ぶれがあった。

 

 ▽民家改造型デイサービスを

  基軸に「ふくし生協」を

 

 私たちは、メディアワーカーズ・ジャパン(伊藤宏一代表)が制作した、ふくし生協(福岡)の紹介ビデオ((「心と心のつながりで ふくし生協と生きる」、1330秒)からいくつかの事実を学んだ。

 

 福岡では、7~8年ほど前から、それまでの高齢者向けの弁当の宅配事業・訪問介護中心型事業から現在15カ所の「民家を改造して、小規模・多機能なデイサービスプラス宅老所」があり、6カ所の事業所が短期宿泊を行っている。

 

 すべてが民家活用型の事業所で、その多くは組合員が提供したものである。

 

 日本高齢者生協連合会の坂林哲雄専務は「在宅での暮らしを支援するために、単なるデイサービスに留まらず、家族や本人の状況に応じて泊まりを実施しています。制度の不十分な点を補う活動が定着し

 

、利用が増え、ニーズに応えるために、通所や宿泊スペースの拡大を余儀なくされているという状況です」と日本高齢者生協連合会のHP上にレポートしている。その1カ所・けいちく事業所/ほのぼの村。

 

 レポートをそのまま紹介する。

 “福岡高齢協の中で、宅老所という形を積極的に取り入れた最初の事業所です。通所・居宅介護・訪問の事業を行っています。通所事業は、利用者の増加に伴い、「第3ほのぼの」を昨年開所し、合計の通所定員は51名となっています。しかし、利用契約者は65名(内予防給付は8名)です。毎日のように利用する人が多数を占めているということです。どんな状況の利用者も断らないで取り組んだ結果です。毎日24人から30名の方が宿泊しています。

 

 「第1ほのぼの」は普通の民家を改修したものです。その利用が急増し、隣接地を買収して造ったのが「第2ほのぼの」です。木をふんだんに使った建築で、温かみを感じる建物です。

 この建設に必要な1・2億円の投資をめぐって、相当白熱した議論が理事会でもあったそうです。結果は「第3ほのぼの」の建設からも明確で、利用は今後も増え続けるでしょう。

 職員層は30代~40代が主力で、子育て中の職員も多く、子どもたちも利用する場所になっています。中には、デイの仕事にボランティアとして関わっている子もいるようです。 保育園の送迎車もやってくるということでした。職員の子育ても一緒にできる仕事ぶりは、地域に密着した高齢協の介護福祉に相応しいという感じでした”

 

 

 

 ▽障がい者のケアホーム

  (共同生活介護)づくりも

 

 注目したいのは、障がい者の生活支援も並行して行っていることである。坂林さんのレポートにある「ひまわり福祉サービス」の事例紹介をここで引用したい。

 

 「居宅介護と訪問の事務所があり、同時に障害者の方が利用するケアホームがありました。ケアホーム(共同生活介護)は主として夜間の生活を援助する自立支援法にある仕組みで、この2月1日にオープンしたばかりです。

 

 現在お試しを含めて5、6人が共同生活を行っているということでした。部屋を見せてもらいましたが、それぞれ自分の好きなものを持ち込み、個性のある部屋になっていました。このケアホームの建設に5600万円が投資されました。その多くを、障害者を抱える家族が拠出(出資)しています。子どもたちの将来のケアを含めた安心を高齢協に託したということです」

 

 “まじりあいの福祉”を実行している事実は、まったくすごい。

 

 ▽日本最大のふくし生協(福岡)

 

 “ふくし生協(福岡県高齢者福祉生協)”は、組合員数6000名余、ワーカーズ600名超、出資金は1億6000万円(もう少し増えているはず)、年間事業高・供給高が約12億円と大躍進している。

 

 福岡は、1995年に設立され、1999年に生協法人の認可を受け、全国とは歴史的には変わらない。

 現在、粕屋老人給食センターを含めて地域福祉事業所が16カ所あり、ケアプラン、訪問介護、訪問看護、障がい者支援センター、デイサービス、小規模多機能ホーム、短期宿泊、弁当配食、ふくし相談、生協サービスの事業を行っている。

 

 以下の点も、勉強したい。

 1 全日自労の歴史、そして生協陣営との関係から、なぜワーカーズ主体の「ふくし生協」になったのか。

 2 これまで高齢者の「福祉」「いきがい」「仕事おこし」をめざしていた組織が、どのような議論と実践の中から「ふくし生協」へと複合的に発展したのか。

 3 ヘルパー養成講座を開始し訪問介護という仕事おこしの場面から「民家改造型、デイサービスプラス泊まりもできる宅老所づくり」に変換した要因は何か。

 4 15カ所も(これからもっと広げるため)の「地域コミュニティづくり」の具体的な実践。組合員提供の住宅をはじめ資金作りの方法など。

 5 「地域共同体」の残るローカルだからできたのか? 東京や埼玉など都市部における“ふくし戦略”はどう形成したらいいのか。

 このような事業がなぜ福岡ではできたのか――人材と地域の社会的ニーズの発掘、そして臨機応変なリーダーづくり、それを生みだす風土とサブカルチャー(たとえば宅老所で著名な“よりあい”などの文化)など盛りだくさんのことを知りたくなった。

 

2011年6月27日 (月)

ふくし生協さいたまに略称を変更

 6月26日(日)にコーププラザ浦和で「生活協同組合 さいたま高齢協第6回総代会」が開かれた。
 開会の冒頭、増田アツミ理事長より「東日本大震災と福島原発事故」の被災への激励をこめた挨拶があった。

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 総会の前に、日本高齢者生協連合会会長・鹿教湯病院名誉院長の市川英彦さんから「高齢期を生きいき―生き方と逝き方」をテーマにお話を伺った。
 本通常総代会で、これまでの「高齢協」の前に「ふくし生協さいたま」というネーミングを打ち出していくことが決まった。

 その理由は、
 1 定款で謳われている「高齢者・障害者等の福祉に関する事業であって組合員に利用させるもの。主たる事業として福祉事業を推進する」という、自らの事業の目的とその目標を明確にして、市民とともに歩む姿を明確にすること。

 2 「高齢協」という名前への忌避感が、40代~50代の女性のなかに多く生まれていて、自らが参加していくという共感を醸し出すネーミングではなくなっていること。

 3 「一人ぼっちの高齢者をなくそう」「社会を担う高齢者になろう」、「障がい者や子どもたちが安心して生きられる地域をつくろう」――そして地域から福祉社会をつくりだす主体になろう、という運動目標を担うこと。

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 全国の高齢協ができて10数年。
 日本高齢者生協連合会第10回総会(6月5日)の報告書にある各地の取り組み――「コミュニティケアの推進」「小規模・多機能な宅老所を」「ケアホーム(共同生活介護)をつくりだす」「入居しやすい高齢者専用住宅づくり」「就労支援のための事業」「高齢者と障がい者を支えるモデル地域にしよう」「安心サポートづくり」――は、地域社会に高齢者も頑張れるテーマがあふれるように紹介されている。

 ここでやっと、日本で生まれた高齢協の役割が明確になってきた。

 

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