81歳の認知症の女性が異国で暮らせるのか。周囲は不安がった。でも、ベトナムにはお年寄りを大切にする風土があり、近所の人々は温かく受け入れ、介護に協力してくれた。ヒロさんも「ここは雪が降らんでええな」と喜び、体調はむしろ上向いた。

 

 
 海外で明るく、「老老介護」へと突き進む母娘の物語は、「ラストライフをベトナムで」(仮題)という名で映画になることになった。松坂慶子さんの主演で、秋から撮影が始まる予定だ。

 

 

 ヒロさんは9日、老衰で亡くなった。94歳。穏やかな最期だったという。「ばあちゃん、天寿を全うしたね」。小松さんは涙を浮かべつつ、笑顔で言った。10日、ハノイでの葬儀。棺が火葬場に向かうとき、大粒の天気雨が降り出した。空も泣きながら、ほほえんでいるようだった。(佐々木学)