『ルポ 低賃金』(東海林智著、地平社、2024年4月23日発売)を読んでみた。
『ルポ 低賃金』(東海林智著、地平社、2024年4月23日発売)を読んでみた。
私が関心をもったのは、一貫して底が抜けた日本社会のリアル:「現代に現れた非正規労働者の姿」を、労働記者として、事実として私たちの眼前に、提起していること。
本の扉には、以下のように表記されている。
>本書は、1995年の「新時代の『日本的経常』」を起点に急増した非正規労働者、そして結果として増大した低賃金で働く人々の現場を歩いたルポルタージュだ。
昔ながらの工場労働者もいれば、漂泊を余儀なくされる若者たちもいる。
そして、シングルマザーや農民、個人請負の宅配ドライバー……。働く人々の現場から、この安い国ニッポンのありように迫っていく。(本書「序章」より)
発足時(1989年)の連合、全労連、全労協の組織加盟人員の減少だけが問題ではなく、新しい労働者の誕生を祝いあう関係が、現在では成立していない時代なのだ。
1960年代末に労働現場に歩みを入れ日本型組合活動家と呼ばれた各地のメンバーは、企業別組合であっても、日常的に接した日教組・自治労、全日自労、地区労・県評などの地域の組合や国労・全逓・全電通などの3公社5現業、全国金属・全国一般・全自運・全自交などの闘う労働組合、新聞労連・民放労連・出版労連(当時は出版労協)、全印総連などのマスコミ関連労組を含めて、春闘を一緒にたたかった総評・中立労連があり、1970年代の国民春闘、スト権ストの時代に向かっていた時代とは違う。
それを前提に考えて、今、何から「塊(かい)を進めるか」をルポルタージュから提起している。
本書の目次を先にに添付したが、よくわかる提起で、共鳴する。
「闇バイト」→「漂流」→「61年ぶりのストライキ」→「非正規春闘」→「声を上げ、時給アップを獲得」→「非正規公務員」など。
さて、非正規労働者2000万人の中からどう出てくるか。さらに正規労働者から社会連帯労働者が生まれてこないのか。
本書を読んで、若い世代が、まず自ら考えて、共鳴できるか、ご判断を。
◆著者:1964年、山形県生まれ。現在、毎日新聞社編集局社会部記者。一貫して労働と貧困・格差の現場を取材している。元新聞労連委員長、元MIC(日本マスコミ情報文化労組会議)議長。2008年12月31日から2009年1月5日まで開設された年越し派遣村の実行委貞を務めた。
著書に『15歳からの労働組合入門』(毎日新聞社、2013年)、『貧困の現場』同、2008年)など。新聞報道で反貧困ャーナリズム賞、著作で日本労働ペンクラブ賞などを受賞。
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