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2024年6月 3日 (月)

「ワーカーズコープ・センター事業団の35年」(各論編)を読む。

『共につくりあげてきた 協同労働の世界』

 よい仕事・全組合員経営を掲げて
   労働者協同組合法時代を切り拓いた
  ワーカーズコープ・センター事業団の35年:各論編(2024年3月25日)

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   現在、40年前からの編集者の仕事として残った、「永戸祐三自伝」刊行を目指して、聞き取り取材をするためにワーカーズ本部に日参(名詞 編集 · 毎日寺社に参詣し、神仏を参拝ずること。ある目的を達成するため一定の場所に毎日行くこと)している。
 カッコ内の意味に近い心情なのかもしれない(毎日は行ってません)。
 労働組合運動内に企業・資本陣営によって産み落とされた「インフォーマル組織を克服できなかった」と思った1980年代。この「反社会党・反共産党を謳い」、 「自己実現論を基礎とし、企業社会の主人公づくりに」対抗していくために、民主的改革路線を主張した中西五洲さん(当時、建設一般全日自労委員長)に共鳴して、『労働組合のロマン――苦悩する労働組合運動からのレポート』(中西五洲著、労働旬報社、1986年2月)を刊行した。
 続いて民主主義的地域社会づくりを担う、新しい地域協同組合を再興するために「労働者協同組合について編集」し、チャレンジした。
  http://www.e-union.sakura.ne.jp/workes-law/index.html#210209tinginto

 その後、21世紀になっても実現しないであろうと思っていた労働者協同組合法が誕生した。

 その実現を勝ち取った原動力は、以前紹介した◆『みんなで歩んだよい仕事・協同労働への道、そしてその先へ ワーカーズコープ三五年の軌跡――日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会、2023年6月15日 A4判 286p)の出版物の世界があったからだと思う。
  http://www.e-union.sakura.ne.jp/workes-law/index.html#210818workers-nagato

 次に紹介したいのは、畏友の松澤常夫さん(前日本労協新聞編集長)が中心になって編集した以下の出版物だ。
 長文になるが、まず「あとがき」も読んでほしい。
  『共につくりあげてきた 協同労働の世界』
    よい仕事・全組合員経営を掲げて
   労働者協同組合法時代を切り拓いた
 「ワーカーズコープ・センター事業団の35年:各論編」(2024年3月25日)

 あとがき

 「労働者協同組合法時代を切り拓いたワーカーズコープ・センター事業団の35年」(35年史本編)を、23年6月に刊行した。労働者協同組合法(20年12月成立)がなぜ実現したのか、運動の原動力は何であったかと、田中羊子理事長が歴史を振り返った書で、全組合員に配布した。本書は「35年史各論編」である。
 「本編」で田中理事長は、「本書に記した歴史は、私自身の体験や実感によるところが大きく、限定的だ。仲間の実践を踏まえた『各論編』をチームを作ってまとめている」と述べたが、発刊は23年度末になってしまった。とくに、早く原稿を寄せていただいた方々、座談会に出席していただいた皆さんには、感謝するとともに、大幅な遅れをおわびしたい。              
 ただ、遅れたのは、調べれば調べるほど、あまりにも豊かで教訓に満ちた仲間たちの実践の数々を知り、それをできる限り紹介したいと願ったからでもあった。
 仕事を増やし、自分たちの「貸金」を上げ、委託の仕事を切られても、仕事おこしの歩みを続ける埼玉北部や東京東部第一。病院清掃中、患者さんから「売店はどこ」と聞かれ、「ないなら自分たちで」と、売店や移動売店を始めた東京健生病院、戸塚病院、宮崎生協病院現場などの仲間たち。さまざまな障害がある人、アルコール依存症、路上生活の人たちなども含めて、「共にはたらく」実践は枚挙にいとまがない。「所長になって初めて原価率が300%だと知った」(亘理事業所)、「累積赤字4000万を知らず、『経営改革モデル事業所』に指定されたと聞いて、『良いモデルと思った』仲間もいた」(宇都宮事業所)状態からの「経営を自分ごとにする」改革。生活介護などの事業休止を利用者に伝えるときの苦悩と、「自分たちも要望するばかりだった。もっと関わらなければいけなかった」という利用者の声(大隅ゆらおう事業所)など、事業・経営の主人公・主体者となり、協同労働を追求するが故の感動と苦闘の物語。まさに、「宝物」だ。
 私たちは「労働者が経営も担う」と主張してきたが、それでは法律がつくれず、「経営」を「意見反映」に変えることで法成立に道が開かれた。しかし、誰かに自分たちの意見を反映した運営をしてもらうのではなく、そこで働く自分たち自身が「経営」し、連帯を広げるからこそ切り拓き、創造してきた世界がここにある。
 本書では、個々の取り組みと組織全体の運動との関連がわかるようにと、労協新聞(当初は「じぎょうだん新聞」)の記事も多く紹介するようにした。
 労働者協同組合運動の歴史をまとめた本はこれまでにも何冊かある。2017年、運動を長く率いてきた永戸祐三さんの労協連理事長退任を機に、労協連が発行した、「みんなで歩んだよい仕事 協同労働への道 そしてその先へ-ワーカーズコープ三五年の軌跡」は、永戸さんの「ワーカーズコープの体験的歴史と思想」を軸とし、分野・課題別に「運動の歴史」と「政策提言集」などをまとめた。同年、センター事業団は「自ら花ひらいて」という「30年史」を発刊した。ここでは、年ごとの主な出来事について、当事者が振り返った。22年刊行の岩波ブックレット「<必要>から始める仕事おこし協同労働の可能性」(労協連編)では、コンパクトに歴史と仲間の実践を紹介した。

 「本編」「各論編」とともに、上記の本もぜひ多くの方々に読んでい共にただければと思う。

                  編纂委員 松沢常夫(労協新聞前編集長)

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