茫然自失の事態 西村一郎さん(元生協総合研究所研究員)が亡くなった
▽追記:2024年2月13日(火)
西村一郎さん(元生協総合研究所研究員)が急逝されたのは、昨年(2023年)12月6日。
先日、ご家族、同時代社、上田裕子さん(ルポ研)の会合が持たれ、ご本人の遺志どおり『増補改訂版 生協の道――西村一郎・最後のメッセージ』(同時代社刊、四六判、定価未定)を刊行することになりました。
本書は、亡くなる直前の「なぜ自分がルポを書いてきたか、1冊に編集してほしい」と言われたことを読み取って編集した。
刊行するときは、またお知らせをしたい。
▽「故西村一郎さん」(生協研究家)の本は、家族の支援で同時代社から3月に出版される。
2023年12月7日(木)午後、友人の連れ合いさんからのショートメール(SMS)での突然の訃報に茫然自失(ぼうぜんじしつ)した。
その友人からは、11月28日(火)の夕方、スマホに電話があり「自分が書いた本3冊とエッセイ(同人誌に書いた)1本」を読み込んで、「なぜ自分がルポを書いてきたか、1冊に編集してほしい」と言われた。
その前日に、同人誌の前代表のUさんから「余命1か月」とメールが入っていたので、こちらにこのような要請が来たのか、と覚悟した。
この時話したのは「食事はとれていますか」と聞くことで、精一杯だった。
翌日(29日)、神田神保町近くにある出版社に電話して、社長さんに面会して、本とテキストデータをいただきに向かった。
ご本人から、TELが入っていて用件はすぐに完了したが、「本から著者の意思を書き出して編集できますかね」とプロらしい考えを話してくれたが、「こちらも読みこんでどうなるか、やってみます」と帰宅。
私も初めての経験なので、3冊を2日間で読み込んでみながら、イメージ・レジュメをつくって、DTP作業を進めてみた。アンコ(テーマの)になる部分を引き出して、大きな見出しを大幅に変えて、全体の起承転結の流れを作って作業をした。
30日(木)に娘さんから「プロフィール」がメールで送られてきたが、ご本人からは病院にパソコンをもっていってないので、と電話があった。
さて1日から4日まで、編集・DTP作業をして、全4部構成の本文の内、3部までできたので、12月5日(火)に前代表と巣鴨駅ビルのタリーズコーヒーで会って、経過を報告して、A案・B案の説明をして、合意をして進めようと話し合った。
このとき「ふと、この数日間ショートメールにも返信がない」と話したので二人とも「心配だ」と思わず声を出していた。
6日(水)の午後に、自宅に「企画提案書」と「四六判・300p分の仮ゲラ」を宅急便で送ってみた。
こちらにとっては、怒涛のような1週間だったが、あまりにも早い。
しかし、私より若く、生協運動のなかで70代の今日まで40冊の単行本を書いている人なので、「よくがんばったぞ」とはなむけの言葉にしたい。
▽2023年12月6日(水)、彼に送ったレジュメ案(2案)。
❖西村一郎さんへ(元生協総合研究所研究員)
1 以下、ご判断を。
2 どちらにしても、
はしがき(吹き込んでもらって、上田さんへ送ってください)
3 本書の題名を決めてください。
→ご希望や意見などのために、封筒を入れておきます。
❖Aプラン
各地の生協の事業と実践をフォローしたいのなら、全文1冊にまとめる。
1 A5判・480ページぐらいか
2 300部、自主出版
3 タイトル案「私のルポ街道」(仮題)
「同行二人」『生協の道 現場からのメッセージ』『沖縄恩納村 サンゴまん中の協同』『広島・被爆ハマユウの祈』
❖Bプラン
西村さんの「依頼」について、私なりに考えてみました。
四六判 300p
予算内で部数を作る。
基本は自主出版。
「第一部 私がルポを書き続けられたわけ
――同行二人・これからも柳澤明朗さんと共に
・はじめに
一 母千枝さんに手を引かれ
千枝さんの教育
人生を短歌で綴り
二 妻節子さんとの歩み
二人の赤い糸
父親と家庭への憧れ
家族をつないだ「ぞうれっしゃがやってきた」
家族で歌った「ぞうれっしゃがやってきた」
・おわりに
「私の残日録」
第2部 生協で生きてルポを書き続けたこと
はじめに
一 生協とはなにもの
生協の事実
協同は人類の英知
協同組合の原点
これからもご一緒に
私が生協を働き書き込んできたこと
社会や生協の捉え方
コロナとの共存
生協のこれから
二 次の時代への手がかり
子どもや孫に同じ職場で働かせたいか?
働くことに関する問題意識は
働くとは
協同組合における働きがい
職員の働き方をより高める
協同を大切にする働き
三 種子法廃止とこれからの日本の農業を考える
生協の目的
種子法廃止とこれからの日本の農業を考える
種子法廃止の背景と影響
生協にも影響する農の変化
四 生協産直を考える
生協のとらえ方
産直のとらえ方
プラットフォームとは
五方よしの生協産直を
五 生協の産直と生産者への期待
私の問題意識
生協は今
生協産直は
生産者への期待
六 生協と地域づくり
――組合員リーダーの役割は
青森県生協連
被災地における地域づくり
生協法と地域づくり
地域の諸問題
健康な地域づくりのすすめ
生協の事例
医療福祉生協の地域づくり
地域づくりを進めるために
七 今一度、「生協と生協人のあり方」を考える
シンポジウムの開催
いずみ問題とは
生協における働き方は
問われた課題
八 ドラッカーとフランクルの思想も生協に
組織のマネジメントを通して人々の幸せを願ったドラッカー
心理面から個人の幸福を願ったフランクル
九 生協らしさを考える
生協らしさを考える
連帯組織のさらなる役割発揮
多様な意見交換
十 コロナと生協を考える1 中長期の見通しも
生協へのコロナの影響
コロナへの対応
中長期の見通しを
十一 コロナと生協を考える2 原点の再確認
広島県生協連
パルシステムグループ
日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会
おわりに
資料 「生協は今」の全リスト
第3部 「平和への希求」と未来を拓く「生協の産直」
一 被爆ハマユウの祈り
1 被爆ハマユウ
①ハマユウ
②原爆の下で
③ハマユウを比治山へ運んだ尾島良平さん
④被爆ハマユウ
2 被爆ハマユウの祈り
①戦争や被爆の事実を知る
②社会構造の理解
③各自にできることからの取り組み
④被爆ハマユウと共に
あとがき
二 恩納村(沖縄)のネットワークづくり
1 モズクでつながる
第四回恩納村コープサンゴの森連絡会総会
協同がよりよい社会を築く
恩納村漁協と井ゲタ竹内の協同
生協と恩納村漁協と井ゲタ竹内との協同
生協とは
生協しまねと恩納村のモズクの関わり
2 サンゴでつながる
サンゴとは
サンゴの再生
サンゴの父
恩納村漁協青年部
恩納村漁協の教訓と生協への期待
3 サンゴ再生の教訓を地域の活性化へ
恩納村と生協と恩納村漁協と井ゲタ竹内の協同
恩納村コープサンゴの森連絡会
4 おわりに
協同は人類の英知
モズクとサンゴによるいくつもの協同の素晴らしさ
協同の力で地域おこし
協同組合の原点
サンゴまん中の協同のさらなる発展に向けて
5 あとがき
第4部 生協人からの“伝言„
一 死んだはずの命を生協で燃やし 高橋忠信さん
敗戦後の海戦
東大農学部生協の職員になって
大学生協の共済をスタート
若い生協人への伝言
二 自らに内在する伸びゆく力を信じ 横関武さん
内在する伸びゆく力を信じよ
生協への目を開かせた賀川豊彦・涌井安太郎・能勢克男
刹那主義でなく自らの希望を持って
これからの生協や役職員への期待
三 ヒューマンケアを大切にする生協へ 野尻武敏さん
機雷除去
生協との関わり
賀川豊彦の教え
賀川理論をより発展させ
ヒューマンケアを大切にする生協へ
原爆の炎の下で
四 生協は国民の権利と平和を守るとりでに 岩佐幹三さん
原爆の炎の下で
生い立ち
生協への期待
五 食と農と平和にこだわって 宮村光重さん
力耕吾を欺かず
生活協同組合論の講座
原点にこだわる東都生協めざし
食糧運動をたおやかに
六 平和とよりよい生活のために 斎藤嘉璋さん、下山保さん
生協の歴史から戦争と平和を学ぶ
私の「戦争と平和」
七 楽しくなければ生協ではない 大藏律子さん
協同と自由の大切さを学び
地域の中で育む協同
政治の分野でも
町内福祉村
八 友愛にもとづく協同社会を 野原敏雄さん
笑みの生前葬(想)
貧困と病弱をのりこえ学問を
同思想の原理の友愛
研究者と同時に実践家
続く協同組合研究
九 平和と暮らしのために 高橋晴雄さん
仙台空襲をくぐり抜け
大学生協の改革へ
たすけあい共済
組合員と生協をつなぐ組合員の声(一言カード)活動
十 命・健康・平和を求め 謝花悦子さん
伊江島へ
「わびあいの里」を訪ねて
伊江島生協
謝花悦子さんの歩みと願い
十一 生協で大切にした生活者目線を地域社会にも 立川百恵さん
六〇年代の大学生活・七〇年代の子育て
えひめ生協の設立
一万人の組合員で迎えた一〇周年
組合員参加の適正規模
十二 生協における働き方を考え続け 兵藤釗さん
生い立ち
東大生協の理事長に
生協での働き方を研今究
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