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2023年11月19日 (日)

明治乳業争議に「産業別ユニオン」の旗を。

 11月17日(金)、午前中、雨の中を北千住駅東口駅前の「ピーくんカフェ 北千住店」(ここは昔風の喫茶店で150席を超える大型カフェ!なので、打ち合わせをするのに心地いい場所。20年以上前からここで人に会っている)でお二人の方に会ってきた。

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 二人は「日本一長い労働争議」をたたかう明治乳業争議を支援している、千葉県労連のMさん、食品一般ユニオンのSさん。
 私がブログやHPで「明治乳業のインフォーマル組織を操る資本とのたたかい」などを書いてきたので、意見を聞きたいということだった。
 ◇2012年10月 3日 (水):明治乳業のインフォーマル組織がフォーマル組織のTOPへ―インフォーマル組織物語Ⅶ
   http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-e225.html
 

 ▽「インフォーマル組織とは何か あたり前の労働組合を」のページに。

   http://e-union.sakura.ne.jp/union/informal.html#20180605meiji

 ◆〔5〕明治乳業争議を支援する会

   http://kotayan.seesaa.net/

   記事内検索「インフォーマル組織」

 明治乳業のインフォーマル組織を操る資本とのたたかい  (PDF)

 明治乳業争議団員リポート記 (PDF)

 〔5-2〕必見! 倉内節子弁護士講演「不当労働行為と闘った30年――明治乳業事件から最近の労働問題まで」

  ◇2016年2月28日 (日):明治乳業争議――戸塚章夫さんの【検証・都労委「明治乳業事件」】読み終えて
  http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/post-1b16.html


 お二人のテーマ・話題は「インフォーマル組織と旧統一協会」が一つだったが、こちらは『旬刊社会通信』を紹介して(本誌は岩井章さんと向坂逸郎さんの系譜で、「社会主義協会」なのか不明なのだが、最近の「旧統一教会、富士政治大学、連合・天野会長につながる諸問題」を論説している分析)から話した。

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 結論は、故ジャーナリスト・青木慧さんが『タカ派知識人』(汐文社、1983年11月)で書いているように、『サスコミ』を発行した部隊は、旧統一協会ではなく、民社研や富士政治大学などと同根のメンバー(著名なのは◆気賀健三・慶応大学、吉田忠雄・明治大学、加藤寛・慶応大学など。今、テレビなどにウクライナ戦争で出てくる女性研究者もその系譜)。

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 ◇「マインドコントロール(洗脳)の社会ーー自民党・旧統一教会・日本会議・松下政経塾・富士政治大学・連合」、山下俊幸(旬刊社会通信、社会通信社発行人=滝野忠、NO.1373、2022年12月1日号)
 http://shakaitsuushin.cool.coocan.jp/mokuji/mokuji.html

 

   二つ目のテーマは「明治乳業争議の解決に向けて」が中心だった。
 1980年代~90年代の状況を分析するために、いくつかの「国労や明るくする会・争議団の動向」を話した。

 ◆国労の破壊と総評の解散→連合の誕生
 ◆革新政党員の多くは、「思想信条差別」解決路線で終焉→東電、関電など。IHI(石川島造船)はその後「基幹労組」を立ち上げたが無力化。
   ◆ネッスル日本→ヨーロッパ社会憲章の流れの中で、全労連の枠組みで「解決」

         ◆欧州社会憲章

           https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E6%86%B2%E7%AB%A0

 ◆沖電気争議→団体交渉抜きで「解決」。→「電機情報ユニオン」埼玉に最近、「定年者」が参加。
 ◆日本航空→第2組合に存在した三桁の「M青」の自然喪失。

 ◆全逓→郵産労との統一についての私見――ユニオン長崎・中島義雄
 ◆全国金属→JMIUへ(テーマ化した組織はなし)

   
 明治乳業争議団は、1980年代に東京争議団運動に参加して、初めて労働組合運動のテーマとして直面して、前者のパターンにならなかった。
 ただし「レーニン主義者は新しい組合をつくらない」というインフォーマル組織の論理の枠内で運動していたので「袋小路」に入ったままなのではないか、「政党内ではタブー」であったし、いくつか運動内で取材した経験を話してみて、こちらは大胆に「明治乳業」で働く数万人と言われる「非正規労働者」のなかに「産業別ユニオンの旗を掲げて」、団体交渉にはいる事が解決の道ではないか、と自論を聞いてもらった。
 また「60数名の争議団メンバーの中で、すでに24名の方がお亡くなりになっている」状況で定年後の「厚生年金」でも差別をつけられ、日本国憲法13条の「幸福追求権」「個人の尊厳」まで犯され続けている。
 社会的に「遺族年金訴訟(各自1000万円に及ぶ賃金差別がある)で、亡くなった労働者家族の生活と基本的人権を擁護するたたかいをおこすことを考えてほしい」「明治乳業本社前で女性たちの声を発してほしい」など、要請した。
 ⅯさんもSさんも怪訝な顔をしていたが、地域社会における新しい変化には女性たちが中心になっている話を地元での体験を話した。
 さて実践部隊は、どんな方向に向かうのか。要は「争議解決」のためにも、過去の「一企業一組合論」ではないことが、時代の要請ではないか。
 【参考】「日本的労使関係と大企業の労働組合――1 戦後日本の労働組合運動と組織の概観、2 ある大企業での実践 石川島播磨とトヨタ自動車(関連企業)の事例、桜井善行稿」――『労働運動の新たな地平 労働者・労働組合の組織化』(中村浩爾・寺間誠治編、かもがわ出版 2015年08月)
  http://e-union.sakura.ne.jp/union/union-atarimae-2.html#231105zousen-toyota

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 ◆〔4〕アンドルー・ゴードン著、二村一夫訳 『日本労使関係史~1853-2010』(元法政大学大原社会問題研究所所長・法政大学名誉教授)の「第11章 日本型労使関係のヘゲモニー」(434p-437p・PDF版)の部分を読んでほしい。(PDF版)

 インフォーマル組織は、「裏返しのレーニン主義」の母国であった、と書いてある。
 「インフォーマル・グループ」とは、共産党の組合内派閥集団である「細胞」をお手本にしてつくられた組合内組織であった。ただし経営側と対立する存在ではなく、会社に支援され会社と協調する集団であった。レーニン主義が政治的に目覚めた前衛分子によって大衆をリードし社会主義革命へと導く戦略であるなら、戦後日本は「鏡の国のアリス」ならぬ「鏡の国のレーニン主義」、 「裏返しのレーニン主義」の母国であった。インフォーマル・グループは、革命とは反対方向へ大衆を導くことを目指した前衛組織である。組合潰しだけがこのお話のすべてではない。インフォーマル・グループに属する者は、採用、昇進、昇給、あるいは仕事の配分、さらには作業長といった監督者への選抜に際し有利な扱いを受けたのである。他方で、戦闘的な活動家は差別的に処遇された。だが日本鋼管だけでなく他社でも、労使関係を安定させ生産性を向上させるには、こうした強硬路線だけでは不十分であった。 1950年代から70年代まで、企業経営者とその同盟者である協調的な労働組合内「会社派」は、従業員の支持獲得の上で大きな成果をあげた。そのための諸方策こそ、ある意味で「日本的労使関係」の核心をなしている。

 ▽Mさんからのメール
 ★これからの闘争はインターネット作戦である。
 ★ 明治乳業はなぜ、労働組合を立ちあげなかったのか。
 ★ヨーロッパは、社会憲章が進んでいる。イジメ、差別など、EUをめざしたたかう必要がある
 ★ 明治乳業のたたかい、なぜ、非正規労働者の要求でたたかわないいのか、何人いるのか、何パーセントか、そこに依拠した運動に発展させる。賃金差別、年金差別、家族の被害を訴えないのか。今の明治乳業のたたかいには、要求闘争がない。
 ★ 産業別労働組合の視点がない。明治社前行動を見ると、男ばかりが演説している。男が出ると女が引っ込む、年配者が出ると若者が引っ込む、これを改善する必要がある。
 ★ 日本は、人脈社会で動いている。 
 ★ 勝利の方程式は、産業別労働組合の結成である。
 ★ 多くの資料、ありがとうございます。

 

 

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