『生活と地域をつくりかえる―「願いわけ集団」づくり』 (現代社会を考えるシリーズ 4、1985年5月1日)を編集したこと
私は、1970年代前半から『春闘読本』、「単産研究」などの編集をしてきたが、1975年の春闘の敗北を契機として、総評(当時のナショナルセンター)が掲げた国民春闘は後退局面を迎え、なぜ日本の労働組合運動は後退しているのかを考えていた。
旧左翼の研究者(大月書店の『現代労働組合運動』[1969年~] )の多くは、その後も、「資本主義の危機」の側面から専門誌に書いていた。その危機は、労働陣営の危機の転嫁されているのではないかという問題意識が心の中に生まれていた。
このような状況を「政府・財界の危機管理戦略と財政政策」の発動という面(こちらがそう読んだという意味)から書かれた本:『日本経済と危機管理戦略』、(二宮厚美著、新日本出版社、1982年10月)があった。こんなことを考えている人がいるのだと教えられた。
メールがない時代なので手紙を出したと思う。先生が上京するときに合わせて、問題意識を話し合い、何本か原稿を書いてもらった。そのうちの1本が、「ニューメディア時代と国民生活」(「高度情報社会読本」、『賃金と社会保障』の特集号、1984年8月合併号、No.895.896)。
続けて「いくつかのテーマを出し、そのなかから「1冊、まず書いてほしい」とお願いして、彼が選んだのが『生活と地域をつくりかえる―「願いわけ集団」づくり』 (現代社会を考えるシリーズ 4、1985年5月1日)だった。
二宮さんは、経済学者として社内では誰も知らない若手研究者だったが、のちに加藤哲郎さん、渡辺治さんなどの登場の先鞭をつけた本づくりだった。
タイトルは「地域づくりの主人公」であったが、「これでは売れない」という営業サイドから変更されたが、二宮さんの講演も増え、全国の民主書店でも歓迎され、数万部以上ほど売れ「社会科学書」は売れないという定説を大幅に変えた本だった。
その後、聞くところによると、大学の公募にあたって「学術書ではない」(参考文献などの注がない)といわれてはねられた、ようだ。
私の友人たちは普及してくれたが、「構造改革論」だと古き先輩たちが批判した。
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【参考】特集 パラダイム変革期の「高度情報社会読本」(『賃金と社会保障』、No.895.6、1984年8月合併号
《巻 頭》
高度情報社会と先進国革新 山口正之
ニューメディア時代と国民生活 二宮厚美
「情報革命」と地方自治体行革の新段階 水沢 透
電電公社民営化と国民生活 儀我壮一郎
アーバン・ルネッサンスと人間主体の町づくり 佐々木一郎
ME化と労働組合運動 高木督夫
FA化と労働者の意識の変化 工藤光喜
メカトロニクス化と中小企業 森 靖雄
「ME革命」と新しい権利闘争 古川景一
《高度情報社会電基本資料》
飛躍する情報化――ニューメディアがひらく21世紀 産構審情報部会
ネットワーク社会をめざして――日本経済活性化の実現 総合データ通信ネットワーク化構想懇談会
情報ルネサンス時代の企業経営――1990年代の企業経営 経済同友会
ニューメディアで創る新しい暮らし――1990年、あなたは 実庭における情報化に関する調査研究会資料
ME化の進展と企業の対応 日 経 連
ME化と雇用問題への対応 労働 省
主要企業のOA化の現状 日本オフィスオートメーション協会
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