« 2021年5月 | トップページ | 2021年7月 »

2021年6月

2021年6月28日 (月)

公文昭夫さん(元総評社会保障局長)のご逝去を知って。

▽追記:230908:公文昭夫さんを偲ぶ会。

   230908kumon1

  230908kumon2

▽追記:230722:公文昭夫(1955年総評入局)がインタビューに答えています。

http://www.jca.apc.org/labornow/labornowtv/sohyo.html

230722kumon11 230722kumon1

   ◆31分ごろから:語り継ぐ総評40年 1950〜1989

  Video 語り継ぐ総評40年 1950〜1989

9. 生活闘争から国民春闘へ 31:24〜

BiographyBiography

労働組合のナショナルセンター

日本労働組合総評議会 (略称:総評)

1950年 7月11日 結成 

1989年11月21日 解散

ビデオ『語り継ぐ総評40年 1950〜1989』(企画・制作:公益財団法人総評会館、総評退職者の会)は、2012年3月から2013年4月にかけて、8人の組合リーダーにインタビューし、53分にまとめたものです。

映像提供:国鉄労働組合、日鋼室蘭労働組合、三池炭鉱労働組合、日本放送労働組合 

写真提供:日本労働組合総評議会 

協力:法政大学大原社会問題研究所

 

 ▽以下が本文。

 1970年代初頭から1980年代の「賃金と社会保障」の編集の時には、毎月のように原稿を書いてもらいました。その後はペンネームになったときもありました。
 高知生まれの「キップのいい人」で、葛飾の青砥・柴又界隈でお世話になりました。

 『学童保育物語―僕はかぎっ子じゃない』(労働旬報社、1966年)を書いていて、市民運動を理解していた「総評社会保障闘争・労働運動のコーディネーター」でした。また労福協を率先してすすめて、日本生協連・労働金庫・全労済などを進展した人です。
 総評の解散後は、「年金実務家」として奮闘しました。
 ▽1931年、台湾生まれ。戦後、高知へ引き揚げ。製パン工、製材工、船員などを経て、高知県教組勤務。1955年、総評本部。解散時(1989年)社会保障局長。1990年、年金実務センター創設。現在、同センター代表。元・中央社会保障推進協議会副会長。
「五十嵐仁のページ」の紹介のように、「総評時代」の体験を発信しています。
 ◆『日本社会党・総評の軌跡と内実 (20人のオーラル・ヒストリー)』、五十嵐 仁 、木下 真志、法政大学大原社会問題研究所 編(旬報社、2019年4月刊)
http://e-kyodo.sakura.ne.jp/igarashi/igarashi-index.html#201220syakaitou

 ▽以下参照してください。
 「私が歩んできた社会保障運動――総評・中央社保協体感の記録 公文昭夫氏に聞く」■(証言:戦後社会党・総評史、法政大学大原社会問題研究所、『大原社会問題研究所雑誌』、 №701/2017.3)

 https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/701_04.pdf

 

 【追記】22.01.19

 1960年代から1980年代の総評運動の中で、日本生協連や日本生協連医療部会、労済連などの関係をつくっていたのは、公文さんですね。
 1960年代末に『体系労働者福祉論』(中林貞男編、1968年、労働旬報社刊)をまとめるきっかけも公文さんでした(私はアルバイト中だった)。
 https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c811477560


 私が担当した『社会保障ハンドブック』や「社会保険料3:7闘争」「年金闘争」の編集なども公文さんからアイデアを出していただきました。

 総評や春闘共闘ががんばった1970年代初頭の生活闘争から国民春闘への発展などの指針も、旺盛に書いていた。その論文の一覧(部分)。

 https://ci.nii.ac.jp/search?q=%E5%85%AC%E6%96%87%E6%98%AD%E5%A4%AB&range=0&sortorder=1&count=20&start=201

 

 220118kumonn1

【追記:220119】facebookで以下のように発信されています。

名嘉圭太 22.01.18

 https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=3156683254655294&id=100009409516567

 【「社会保障」2022年新春号 公文昭夫さんを偲ぶ】
 昨年6月に亡くなられた、公文昭夫さんへの追悼の言葉
 執筆者は
 ・住江憲勇(全国保険医団体連合会会長・中央社保協代表委員)
 ・堀幾夫(中央社保協・元事務局長)
 ・井上英夫(金沢大学名誉教授。大学院時代に総評での研究会に参加)
 ・原富 悟(埼玉社保協副会長・埼労連議長)
 ・菅野勝祐(繊維労連 葛飾の中小繊維工場の労組専従)
 ・木村陽治(元都議会議員 保育運動で公文さんと一緒に)
  読んでいて、90年代に社保協運動を再建したことはもとより、1973年の年金闘争、団地の一戸で無認可共同保育を始めて、公立保育所、学童保育づくりなど地域運動に関わった、在りし日の公文さんの姿が垣間見える。
 しかし、一番、公文さんが情熱を燃やした総評事務局時代、特に黎明期の社会保障運動の時代を語る人がいなくて残念。その頃については、公文さん自身が語っているのもあるにはあるが(『日本社会党・総評の軌跡と内実 : 20人のオーラル・ヒストリー』)。
 その頃の公文さんを身近で見た人はいないのか、と何か寂しくなった・・・
参考までに、公文昭夫氏の略歴
 1931年 台湾嘉義市生まれ
 1952 年 高知県教職員組合教宣部書記
 1955 年 総評本部福祉対策部書記。その後、社会保障対策部長、局長
 以後,総評解散(1989 年)まで、ほぼ一貫して社会保障対策を担当
 その後,中央社会保障推進協議会副会長,年金実務センター代表。

  【追記:2023年3月16日】

「私が歩んできた社会保障運動― 総評・中央社保協体感の記録」(公文昭夫氏に聞く、■証言:戦後社会党・総評史、『大原社会問題研究所雑誌』、№701、2017年3月)

  https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/701_04.pdf

 

ここに塩谷信雄さん、天達忠雄先生(「明治学院大学教授」という肩書が入っていないのは変ですが)のことが紹介されていますね。私は、公文さんに大変お世話になった一人ですが。

>1953年に世界労連が、世界労働組合社会保障会議という国際会議を開くわけです。ウィーンでやったのですが、そこで社会保障綱領が採択される。そして労働組合の立場から見た社会保障の原則を7 つ立てて,その7つの原則が大きな社会保障闘争の指標になった。(略)

>その社会保障綱領は、日本の場合は朝日訴訟で活躍された天達忠雄さんといった学者の皆さん方が本でまとめて労働組合や一般の大衆団体で読まれたわけですが、(略)

 

「天達忠雄 労働旬報社 賃金と社会保障」について。

以下を読むと、私の編集長時代の前に大変な付き合いがあったようですが、1960年代末の「倒産状態」でその歴史が断絶しています。

 

「朝日訴訟を支えた人々」(渡邊かおり、愛知県立大学教育福祉学部論集 第67号(2018))

 https://core.ac.uk/download/pdf/228949381.pdf

 

 天達は、社会保障制度の問題点を『福祉対策資料』17)等で発表しながら、労働組合における調査活動を行ったり、明治学院で社会保障を教えたりしていた。天達は自らのことをほとんど語っていないため、朝日訴訟の支援にかかわるようになった具体的な経緯は明らかではない。しかし天達は、渡辺洋三、新井章、長宏と行った朝日訴訟を振り返る共同討議において、「正直にいって、それまで訴訟になるとは、ぼくらも考えていなかった。

17)『福祉対策資料』は1959年に『旬刊賃金と社会保障』へ、そして1972年に『賃金と社会保障』へと改題され、現在も発行されている。

18)天達忠雄・渡辺洋三・新井章・長宏(1967)「最高裁判決と朝日訴訟闘争」朝日訴訟中央対策委員会編『人間裁判10年』労働旬報社、1967年。

 

この著者:渡邊かおりさんは「文化活動から労働運動へ──天達忠雄の青年期の活動に焦点をあてて──」(愛知県立大学教育福祉学部論集 第66号(2017)を書いています。

 https://core.ac.uk/download/pdf/228949381.pdf

 

 

2021年6月17日 (木)

現代「労働問題・労働組合運動」に関する4冊の本。

 4冊の現代「労働問題・労働組合運動」に関する出版物の書評がある。この10年ほどの研究の一部だが、労働組合運動の報告について「百家争鳴」の事態が生じており、「結論が出ない」、いい方向だと思っている。
ぜひ、URLをクリックして、一読ください。
 
 ▽書評:桜井善行『労働組合をどうする――その強化への挑戦』
   http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/111224book-ronten.htm#sakurai210613
  基礎経済科学研究所東京支部編、本の泉社、四六判、定価 1,500円+税、2020年3月26日)――『経済科学通信』(PDF版、2020年12月、No.152)。

  210115union

 ▽書評:梁 英聖『闘わなければ社会は壊れる』
  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/111224book-ronten.htm#ryan210616-1
 ◆待望の新刊、藤田孝典・今野晴貴編著『闘わなければ社会は壊れる―〈対決と創造〉の労働・福祉運動論』(岩波書店、2019/6/26)について(1)――今野晴貴、藤田孝典、渡辺寛人、宮田惟史、後藤道夫、木下武男、佐々木隆治。

 210616tatakawanakerebabook

 「梁 英聖さんのnoteのページ」(2019/06/23 19:40)
はじめに(PDF版、『闘わなければ社会は壊れる―〈対決と創造〉の労働・福祉運動論』)
 ▽書評:『時代へのカウンターと陽気な夢 労働運動の昨日、今日、明日』(小野寺忠昭・小畑精武・平山昇共同編集 社会評論社 2019年5月、2500円+税)
「次世代へ 一時代を切り拓いた運動証言」(元東京都労働委員会労働者委員 水谷 研次、「現代の理論」20号)
  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/111224book-ronten.htm#hirayama200723

 200723re02_book01

 

 ▽2011年3月 5日 (土):『現代労働問題分析』(石井まこと他編著)を寄贈されて――「ある編集者のブログ」にUP。
  http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-da45.html
 『現代労働問題分析』(石井まこと・兵頭淳史・鬼丸朋子編著、2010年3月)
  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/111224book-ronten.htm#ishii
書評:1 石川源嗣(NPO法人労働相談センター/全国一般東京東部労働組合/全国一般労働組合全国協議会/ジャパンユニオン)/2 山垣真浩(大阪経済法科大学准教授)/3 井上 久(全労連事務局次長)/4 石井まこと(大分大学経済学部教授)

 110305gendairoudou_2

2021年6月10日 (木)

浅見和彦著:『労使関係論とはなにか イギリスにおける諸潮流と論争』(旬報社、2021年06月15日)を紹介。

 「浅見和彦のページ」(専修大学教授)を更新――インターネット事業団の仕事。
  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/asamikazuhiko/index.htm
 
 ▼最新刊 浅見和彦著:『労使関係論とはなにか イギリスにおける諸潮流と論争』[旬報社、2021年06月15日、46判、定価2200円(税込み)]
 ▼主な目次と「あとがき」をUPしておきたい。コラムも面白い話集。
  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/asamikazuhiko/index.htm#rousikankei210608

 210608covertop

 

 浅見さんは、中林賢二郎さん(法政大学)の大学院社会科学研究科の最後のお弟子さんだった。
 没後編集された『追悼 中林賢二郎』(田沼肇ほか編・中林倭子発行、制作協力・労働旬報社、1987年2月)では、先生の著作目録を担当している。
 

 190821nakakentuitousyuu070

 

 さて、このサイトは、3本の柱立てになっている。
 【1】「新しい時代の活動家像を考える」や「戦後日本の労働組合の組織化戦略と活動――その経過と論点」、「◇戦後日本の労働者と労働組合運動――その現段階と課題」など、今話題の木下武男さんとは違った視点で書かれた論文があります。
 http://e-kyodo.sakura.ne.jp/asamikazuhiko/atarashii-union.htm
 【2】イギリスの運輸・一般労組(TGWU)の研究
 http://e-kyodo.sakura.ne.jp/asamikazuhiko/unyuippan.htm
 【3】建設産業における労働組合運動
 http://e-kyodo.sakura.ne.jp/asamikazuhiko/index.htm#kenseturoudou


 ▼profile――1952年、埼玉県秩父市生まれ。早稲田大学法学部卒業。全国自動車運輸労働組合、全日本運翰一般労働組合の専従書記を経て、法政大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得退学、法政大学大原社会問題研究所兼任研究員。
現在、専修大学経済学部教授、特定非営利活動法人建設政策研究所理事長。
共著に、『社会運動研究入門』(文化書房博文社、2004年)、『労働組合の組織拡大戦略』(御茶の水書房、2006年)、『社会運動・組織・思想』(日本経済評論社、2010年)、『新自由主義と労働』(御茶の水書房、2010年)、『成長国家から成熟社会へ』(花伝社、2014年)、『労働組合をどうする』(本の泉社、2020年)など。
 
 ◆『労使関係論とはなにか イギリスにおける諸潮流と論争』
 イギリスにおける「労使関係論の起源」である「労働組合論」を出発点として、
「労使関係論とはなにか」をあらためて問う。
新自由主義的な労働政策や使用者の人事労務管理の個別化の進展により労働組合の組織率が低下しているなか、今後の労使のあり方に示唆を与える。

 210608atogaki11

 210608atogaki3

 

 

【主な目次】

 はじめに

 第1章 労使関係論の起源
     ――労働組合論としての出発(一九世紀末~一九五〇年代)

 第2章 労使関係論の形成
     ――プルーラリズムの黄金期(一九六〇年代)

 第3章 労使関係論の欠陥
     ――法的規制論と人的資源管理論の台頭(一九八〇年代)

 第4章 労使関係論の刷新 Ⅰ
     ――マルクス主義派の挑戦と分岐(一九七〇年代と九〇年代)

 第5章 労使関係論の刷新 Ⅱ
     ――ネオ・プルーラリズムとマテリアリズム(二〇〇〇年代以降)

 終 章 要約と含意

 あとがき

210608mokuji3   

 

2021年6月 6日 (日)

『生活と地域をつくりかえる―「願いわけ集団」づくり』 (現代社会を考えるシリーズ 4、1985年5月1日)を編集したこと

 私は、1970年代前半から『春闘読本』、「単産研究」などの編集をしてきたが、1975年の春闘の敗北を契機として、総評(当時のナショナルセンター)が掲げた国民春闘は後退局面を迎え、なぜ日本の労働組合運動は後退しているのかを考えていた。
 旧左翼の研究者(大月書店の『現代労働組合運動』[1969年~] )の多くは、その後も、「資本主義の危機」の側面から専門誌に書いていた。その危機は、労働陣営の危機の転嫁されているのではないかという問題意識が心の中に生まれていた。
 このような状況を「政府・財界の危機管理戦略と財政政策」の発動という面(こちらがそう読んだという意味)から書かれた本:『日本経済と危機管理戦略』、(二宮厚美著、新日本出版社、1982年10月)があった。こんなことを考えている人がいるのだと教えられた。
 メールがない時代なので手紙を出したと思う。先生が上京するときに合わせて、問題意識を話し合い、何本か原稿を書いてもらった。そのうちの1本が、「ニューメディア時代と国民生活」(「高度情報社会読本」、『賃金と社会保障』の特集号、1984年8月合併号、No.895.896)。

 続けて「いくつかのテーマを出し、そのなかから「1冊、まず書いてほしい」とお願いして、彼が選んだのが『生活と地域をつくりかえる―「願いわけ集団」づくり』 (現代社会を考えるシリーズ 4、1985年5月1日)だった。

  210605ninomiya007


 二宮さんは、経済学者として社内では誰も知らない若手研究者だったが、のちに加藤哲郎さん、渡辺治さんなどの登場の先鞭をつけた本づくりだった。
 タイトルは「地域づくりの主人公」であったが、「これでは売れない」という営業サイドから変更されたが、二宮さんの講演も増え、全国の民主書店でも歓迎され、数万部以上ほど売れ「社会科学書」は売れないという定説を大幅に変えた本だった。
 その後、聞くところによると、大学の公募にあたって「学術書ではない」(参考文献などの注がない)といわれてはねられた、ようだ。
 私の友人たちは普及してくれたが、「構造改革論」だと古き先輩たちが批判した。

 

 ▼以下をクリックしてください、本文が読めます。

【参考】特集 パラダイム変革期の「高度情報社会読本」(『賃金と社会保障』、No.895.6、1984年8月合併号

《巻 頭》
高度情報社会と先進国革新          山口正之
ニューメディア時代と国民生活        二宮厚美
「情報革命」と地方自治体行革の新段階    水沢 透
電電公社民営化と国民生活          儀我壮一郎
アーバン・ルネッサンスと人間主体の町づくり 佐々木一郎
ME化と労働組合運動            高木督夫
FA化と労働者の意識の変化         工藤光喜
メカトロニクス化と中小企業         森 靖雄
「ME革命」と新しい権利闘争        古川景一

《高度情報社会電基本資料》
飛躍する情報化――ニューメディアがひらく21世紀    産構審情報部会
ネットワーク社会をめざして――日本経済活性化の実現   総合データ通信ネットワーク化構想懇談会
情報ルネサンス時代の企業経営――1990年代の企業経営   経済同友会
ニューメディアで創る新しい暮らし――1990年、あなたは 実庭における情報化に関する調査研究会資料
ME化の進展と企業の対応                日 経 連
ME化と雇用問題への対応                労働 省
主要企業のOA化の現状                 日本オフィスオートメーション協会

 

 

« 2021年5月 | トップページ | 2021年7月 »

無料ブログはココログ