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2018年7月

2018年7月20日 (金)

今崎暁巳さんと私

柳澤明朗さんが亡くなり(柳澤明朗のページ)、“やなさん”の盟友・今崎さんに教わってきた編集子の思いを過日に書いた文章だがUPしたい。



[初出]
『今崎暁巳さんと私』(A5判、132ページ)は、140名の方から、それぞれの思いが寄せられました。

 


   職人的編集者のきっかけをつくっていただいた●飯島信吾

 

 

 私には、若い時に出会っていなかったら、「職人的編集者」(エディター)にはなれなかっただろうと思える人がいる。木檜哲夫さん(労働旬報社代表・当時)、川﨑忠文さん(同編集部・当時)、柳沢明朗さん(後の労働旬報社社長)、中林賢二郎先生(法政大学)、そして今崎暁巳さんです。

 今崎さんは、60年代後半から出版界で数多くうまれた「ルポルタージュ」という方法で、著作を始めた人でした。第一作の『コブだらけの勝利』で現場に連れて行っていただき、原稿運びをした経験が、最初です。

 しかし、編集者として、事実を発見して時代のテーマにマッチして、読者を見つけるには相当、時間がかかり、30代になって、やっと今崎さんに書いていただいたのは、沖電気の大量指名解雇事件(『なにをみつめて翔ぶのか―沖電気指名解雇をこえて』〈労働旬報社、1980年〉)と、大企業における人間らしい生き方を訴え、たたかいをすすめていた日本航空労組のみなさんと出版した『ドキュメント・日本航空―国民の翼をめざして』(労働旬報社、1982年)、そして薬害スモンとのたたかいを描いた『この人生に愛なくば―いのちと自立のうた』(労働旬報社、1981年)です。

 当時、労働関係編集者として、これらの素材と事実を学んだのは、東京の中心部で起こった千代田総行動(東京争議団を核とした東京総行動に発展)からです。この運動には、人間的で大衆的な統一をめざす労働組合づくりの胎動があり、その事実と読者を結びつけてくれたのは、今崎さんのルポでした。

 その後、おたがいの道を歩んできましたが、東京争議団を経験したリーダーが組織した、非正規労働者を中心とした首都圏青年ユニオンのたたかいを描いてほしいと話し合ったのが、最後でした。      (元労働旬報社編集部・シーアンドシー出版)

 

  本文は「今崎さんと私」に書いた文です。

  http://e-kyodo.sakura.ne.jp/imazaki/index.htm

 

『企業別組合は日本の「トロイの木馬」』(宮前忠夫著、本の泉社、2017年4月)を読んでみた。

     (敬称略)

 少し時間がたったが、本書を読んでみた。著者とは面識がないが、下山房雄のHPづくりで、青木慧の本の書評(『「日本的経営」の裏舞台を描く――【書評】『ニッポン丸はどこへ行く』、朝日新聞社、1983年、「朝日ジャーナル」、1983916日号)を送っていただいたことがある。

 

 http://e-kyodo.sakura.ne.jp/simoyama/120915aokibook.pdf

 

 

 著者は全編通じて、「戸木田嘉久批判」を「中林賢二郎」(労働運動史研究者)の論に依拠し展開しているが、ここにも後継者が生まれているのかと驚いたのが、第一。

 ちなみに『戸木田嘉久著作集』(198812月から全5巻)の編集・企画をになったのが、編集子(会社の企画で立ち上がったが、その当時、戸木田論文を読んでいる人がいなかったので)。

 

 第二に、宮本顕治(共産党議長)の論をはじめ、荒堀広(1970年代から1990年代までの共産党労働対策部)幹部の文章を、「企業別組合論」から切っている。

 編集子が目を通してきた過去論文・単行本等では、4人目。個人の役割が大きいという認識があるので、指摘したい。

 ●201712 3 ()「日本における『福祉国家』と労使関係」(猿田正機稿)を再紹介する

  http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2017/12/post-3dee.html

 

 ●2016710 ()『あたりまえの労働組合へ』・全造船石川島――議論は続く。

  http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-7f4c.html

 ●木下武男著『格差社会にいどむユニオン―21世紀労働運動原論』(花伝社、2007年09月) 

      http://e-kyodo.sakura.ne.jp/kinoshita/workers_union.html

 

 第三に、著者は“企業別組合(会社組合)と「団結体としての(個人加盟、職業別・産業別を原則とする)労働者組合」の本質的相違が明らかになれば、「日本における企業別組合体制の克服」が課題となるでしょう”(376p)と書かれているが、そうはいかないのが現状だ。



 企業別組合には、戦後からの長い経験値(「職場」を基礎に階級的・民主的強化論の流れ)や反合理化闘争の実践、倒産などの自主管理闘争の経験、地域闘争における「拠点論」などの経験など多数ある。

 東京レベルで見て、千代田総行動、東京総行動で1980年代に力を発揮した東京争議団の人たち(報知印刷、日本フィル、浜田精機、パラマウント製靴など)の成功例は「地域共闘」「統一行動」の思想だった。

 またマル生攻撃と闘い、「現場協議制」を獲得した国労など旧公共企業体労組は、「企業別組合」だったのが現実だ。

 

 総評内部には、高野実の影響で、全国金属(当時)や全港湾などには、プロ専従者による産業別指導部づくりが成功していた(今も)歴史がある。

 私鉄総連などでは、北海道地連出身の幹部が、総評議長になったこともある。

 現在でも著名な闘いを組んでいる私鉄広電支部は、私鉄中国地連を基礎に企業別組合として統一し、非正規労働者の正規化をみんなの合意で取り組んでいる。

 

 現段階で「中小企業労働運動の領域」で、組織拡大を進めているのは全国一般東京東部労組をはじめ「企業別組合の連合体」だ。

 

 本書は、階級的民主的労働運動を主張している人たち向けに書かれているが、1960年代以降、残念ながらその影響力は大きいとは言えない。

 その流れを引き続いている全労連傘下の医労連、生協労連、全労働(国公労連)、JMITUなどは、びくともしない「企業別組合」だ。

 

 編集子は今研究・実践が始まっている「業種別職種別ユニオン運動」がそれと併存する形で、推移していくと予測している。

 すべての担い手に、納得できる提起をするように著者に期待したい。

 

 本書に展開されている「戦前以来の政府・財界・官僚の取り組み、戦後直後の労働組合法制」などは、読んでいただきたい。(敬称略)

 

 《注》以下のような、著者のプレゼンが書かれている。

 企業別組合(会社組合)と「団結体としての(個人加盟、職業別・産業別を原則とする)労働者組合」の本質的相違が明らかになれば、「日本における企業別組合体制の克服」が課題となるでしょう。(中略)

 この原則・結論の適用・応用にあたっては、既存分野・領域――①企業別組合をめぐる取り組み(主として大企業企業別組合の内部・関係部署での取り組み)、②(主として個人加盟の)諸形態の「企業別組合」でない労働者組合(合同労組、一般労組、地域労組、専門職労組など)と、新規に組織化する分野・領域(従来、「未組織労働者」とよばれた、現時点で組織を持たない「無組織労働者」の組織化運動)の両者を、その区別と連関・統一においてしっかりと位置づける戦略・戦術が必要とされるでしょう。

 一般的対応論として言えば、当面は「共存的組織論」の範囲にとどまるのか、それとも、当初から個人加盟の職業別・産業別組合を前提条件として既存組織再編と新規組織化に取り組むのか、を明確にすることが大切です。「共存的組織論」を排して、職業別・産業別組合組織化に取り組む場合は、いずれの職業別・産業別組合も全国規模・レベルとなるので、適切な全国的センターの設置が必須となるでしょう。さらに、同センターが必要とされる権限や機能(組織力、財政力など)を持つことも要請されるでしょう。また、企業別組合とその支配的体制の法的根拠となっている現行労働組合法とその関連法制の根本的改定問題も浮上するでしょう。376p)

 

 

《別掲》企業業別組合は日本の『トロイの木馬』」(宮前忠夫著)をめぐって[20171118 ()

 

 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-e777.html

 

2018年7月19日 (木)

中川先生から、『協同組合のコモン・センス』(日本経済評論社、2018年04月)をいただいてきた。

昨日、明治大学に中川雄一郎先生(明治大学名誉教授)を訪問し、下記の本をいただいてきましたので、紹介します。

180604coopcomon

力を入れてきた「シチズンシップ」論につづいて、「協同組合と文化」が次のテーマだと語ってくれました。

 

先生は、同時代の研究者なのに、一世を風靡した硬直的な「正統史観」ではなく、「キリスト教協同組合の歴史」を踏まえて「協同組合論」、「協同の思想史」、「現代の社会的経済」を分析してきた研究者です。

またウエッブ夫妻の『産業民主主義』が果たした協同組合労働への評価(マイナスの)について話す姿には、圧倒されました。

 

『協同組合のコモン・センス』(日本経済評論社、201804月、A5版並製、定価:本体2800円+税)。

 

[内容]知っているつもりで実は分かっていない協同組合。その良識の何たるかを開陳。格差社会がますます広がりを見せるなかで、協同組合に何ができるのか。

 

1章 ロッチデール公正先駆者組合の遺産 

2章 協同組合は何を求められているか 

    ―協同組合の理念とアイデンティティ― 

3章 地域づくりと社会的企業 

     ―地域づくりと共生経済― 

4I レイドロー報告の想像力 

     ―協同組合運動の持続可能性を求めて― 

    II 協同組合は「未来の創造者」になれるか 

    ―新ビジョンは協同組合を「正気の島」にする― 

5章 シチズンシップと非営利・協同

 



 「中川雄一郎のページ」参照。

 http://e-kyodo.sakura.ne.jp/nakagawa/index.html

 

 本ページに転載している『いのちとくらし研究所報』(非営利・協同総合研究所いのちとくらし)の「理事長のページ」は、毎回、勉強させられ、誌上「社会人入学」したゼミ生のような思考をもたらしてくれます。是非ご一読を。

 

 http://e-kyodo.sakura.ne.jp/nakagawa/inotitokurashi3.html

   

 

 

2018年7月 5日 (木)

「関西生コンの研究のページ」をUPしました。

 日本で唯一、産業別地域別労働組合運動を展開し、業種別職種別ユニオンの典型を作り出し、連合系・全労連系・中立などとともに「産業別集団交渉」を実現している(現在:分断中。2018年7月)「全日本建設運輸連帯労働組合 関西地区生コン支部」について、「業種別職種別ユニオン運動」研究会の「生コン関連業種別ユニオン連続講座」が開かれる。

1回目は、825日(金)午後13時から17時まで、連合会館(御茶ノ水駅聖橋口下車5分)で武建一関西生コン支部委員長の講演と、若手などの労働組合運動家も参加した「クエスチョン・タイム」もあります。

http://www.gyousyubetu-syokusyubetu-union.com/#kansainamakon180825

 

180705kansainamakon


研究会として[◆「関西生コン関連ユニオン連続講座」に関する分析・研究文献のご案内ページ]を研究会運営委員長の木下武男さん(労働社会学者・元昭和女子大学教授)がこれまで「分析・研究」した論文を編集してUPした。

 

  http://www.gyousyubetu-syokusyubetu-union.com/180627kansainamakon.html

 

◇木下武男著:『日本人の賃金』(平凡社、199908月)における分析

◇木下武男著:『格差社会にいどむユニオン』(花伝社、200709月)における分析

 

◇さまざまな労働関係誌面で「関西生コン」を分析――木下武男 業種別職種別ユニオンの構想◆特集Ⅲ 労働運動の新展開―ユニオン運動の模索―、木下武男、315号、20167月発行、日本労働弁護団の機関誌。

関生労組の歴史と日本労働運動の未来(上)/木下武男(元昭和女子大教授)、『コモンズ』(2016417日)。◇全文はPDF版へ。     http://com21.jp/archives/12351
関生労組の歴史と日本労働運動の未来(下)/木下武男(元昭和女子大教授)、『コモンズ』(201659日)。

『関西地区生コン支部 労働運動50年――その闘いの軌跡 (共生・協同を求めて1965-2015)』、◆「関西地区生コン支部50年誌」編纂委員会、第2部 関生型労働運動の社会的意義

 「産業別労働運動」を日本で切り開いた連帯労組関西生コン支部、木下武男、20151017 日。  

 

 編集子は、1980年代初頭に今崎暁巳さん(故人。ドキュメンタリー作家)が『めしと団結』(労働旬報社、1971年)の続編を、関西生コンを舞台に描きたいと企画して、生コン本部に同行した。

 その単行本企画の一環として、武建一委員長のインタビューを行っている。

 

「関西生コン労働組合運動の歴史と到達点――業種別支部型労働組合運動が切り開いたもの  新しい労働組合運動の模索―2、他人の痛みはわが痛み」、武 建一 、『賃金と社会保障』 (847号、p8-2319820810日号)

 

同ページに、「関西生コン関連の単行本」と「武建一関西地区生コン支部委員長の主な著作・論文他」(Cinii調べより)を収録した。

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http://www.gyousyubetu-syokusyubetu-union.com/180627kansainamakon.html#kansainamakon180705

 

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