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2018年3月21日 (水)

少数派労働運動の歴史の御紹介

 ▽(追記:2018.03.21)
  たびたび以下のページに検索で入ってきている方がいるので、本ブログに再掲。

    http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/120225roudoukumiaiundousi.htm#syousuuha

 

▼12/12/22 new
 少数派労働運動の歴史の御紹介

 少数派労働運動に関する文章を紹介したい。

 下田平裕身さん(信州大学)の自分史・労働運動に関する大論文(自分史か)を読んだ。                           

   《下田平裕身「<書き散らかされたもの>が描く軌跡 : <個>と<社会>をつなぐ不確かな環を求めて : <調査>という営みにこだわって 」 「氏原教室」あるいは「東大社研グループ」からのはぐれもの下田平裕身氏の回顧録。いろいろな意味で大変に貴重な証言である。》
                  信州大学 学術情報オンラインシステム SOAR」より

   少数派労働運動(2006-02-28発表、PDFで読めます)

 

 1970年代初頭の少数派労働運動については、その後、あったという歴史しか知らなかった。
   下田平さんによると「1960年代後半から70年代前半の時期は、戦後日本労働運動にとっての大きな転換期であった。いや、むしろ、70年代後半以降の労働連動がどのように推移したかを考えれば、労働組合運動そのものが<解体>へと向かう転換期であったというべきだろう。この時期に先行する1950年代後半から60年代は、労働組合運動の拡大期であった(少なくとも、そのように見えた)」としている。  

   そして「1970~72年には、私が個人的に関わりあうことになる分裂少数派組合のほとんどが形成されている。70年には、ゼネラル石油、長崎造船第三組合、全造船・石川島、特殊製紙労組・岐阜、71年には、日本カーバイト、全金・本山、72年には、船舶通信士組合、全造船・浦賀、同玉島、東京都学校事務労働組合などである。これらの分裂少数派組合は、組合運動のなかで大きな流れを形成するほど、数多く生まれたわけではない。労働組合違動のく正史〉では完全に無視されている」として「少数派労働組合運動」へのオマージュを述べている。
   戦後直後をのぞき高度成長期における「労資対決」の姿を学ぶためにも、有意義な労働運動史の一端だと思う。 (この部分のみ以下に掲載)
  少数派労働運動(2006-02-28発表、PDFで読めます)

   ここで書かれている「本山闘争」についての本『労働組合の死と再生――全金本山闘争の記録』(拓殖書房、1974年)は、下田平裕身さんが実質的に執筆したと書かれている。
                  

https://tsugeshobo.com/modules/archives/index.php?lid=74

 

 本山闘争は、つい最近、解決していることが報告されている。

 「激闘34年に勝利! バルブメーカー本山製作所による一人の首切りから始まった工場移転・首切り合理化に向けた組合つぶし攻撃…組合分裂攻撃…暴力ガードマン導入…ロックアウト・別棟就労攻撃…、そして、警察権力の介入弾圧に屈せず闘いぬいて、私達は、解雇撤回・原職奪還を果たしました。争議開始から33年10ヶ月になります」
 

  【2021.08.25追記】▽「日刊動労千葉」(2005年3月17日、No.6041)に書かれている。
  全金本山労組、34年の闘い貫き見事な勝利
  不屈の団結で勝ちとった勝利!この道を進もう!               

  https://doro-chiba.org/nikkan_dc/n2005_01_06/n6041.htm

 

 一方で、下田平さんが紹介している『あたりまえの労働組合へ』(佐藤芳雄著、亜紀書房、1973年)や『労働問題研究』(藤田若雄さんほか東大系の執筆者が多い。亜紀書房、1970年代初頭)は神田・神保町のウニタ書房で購入して読んだ記憶がある。ただ私の周りには、これらの本を論評する人はいなかったが。                   

《追記》▽13/04/15
 下田平さんの上記のエッセイ・論文をTOPにした単行本が出ている。
   『少数派労働運動の軌跡――労働の現場に生き続ける人びと』(「少数派労働運動の軌跡」編集委員会編、金羊社、四六判、2007年9月、1990円)


                             

 

 

 

▽(追記:2018.03.21)

編集子は日本の労働問題・労働運動史は「潮流別にある」という前提で見てはならないという立場にあるので、以下のような事実も紹介してきた。

 「企業別組合は日本の『トロイの木馬』」(宮前忠夫著)をめぐって[20171118 ()

http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-e777.html

 

 大企業・総評型労働組合はどうなったのか[20178 7 ()

http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/post-5d5d.html

 

 『旬刊社会通信』の存在を知ってよかった[20161216 ()

http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-cb95.html

 

 『あたりまえの労働組合へ』・全造船石川島――議論は続く。2016710 ()

  http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/post-7f4c.html

 

 『あたりまえの労働組合へ』(全造船石川島分会・佐藤芳夫著)が書いていたこと2016531 ()

  http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-bc6f.html

 化学産業における労働組合の旗を守った人たち[20162 4 ()

 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/post-834d.html

 

長崎造船社研・左翼少数派労働運動の軌跡 [201510 9 () 

http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-3925.html 

 

 大企業組合としてフォーマル化したインフォーマル組織20131023 ()] 

 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-d631.html

 

 どこに消えた『サスコミ』グループ――インフォーマル組織物語Ⅸ20121017 ()] 

 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-d4b4.html

 

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