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2018年2月

2018年2月22日 (木)

若者の労働運動の世界で、追いつきつつある男性労働者群――ある若手研究者・ユニオンリーダーの分析

 

 最近、私から複数の研究メーリングや地元、越谷市のNPO関係者に宣伝していることの一つは、“POSSE首都圏青年ユニオンの若い世代が参加している「業種別職種別ユニオン運動」研究会のページをどうぞ! ご一覧ください”、というメッセージだ。

 

 「業種別職種別ユニオン運動」研究会のページ 

 

 この研究会で出会った「青木耕太郎さんtwitter」に以下のような文書が出ていた。

 https://twitter.com/kotaro_aoki

 ▽twitter での自己紹介:1989年千葉県生まれ。311以降仙台市で被災者支援・就労支援に従事したのち、総合サポートユニオンの執行委員となる。東京大学大学院博士課程在籍。労使関係論・労働組合論の研究にも従事。

 

今の多様化し、自己実現を目指す若者の労働者の「女性」と「男性」の姿が描かれている。

 

 男性は“転職による「解決」という幻想を抱き続けているため、闘うことに時間を使うことを躊躇していた“

 「ブラック企業と闘うことに積極的だった」女性たちと対比して、「やや消極的だった」男性の姿があったようだ。

 

 それが「追いつきつつある」と描いている。その事実のつづきも待ちたい(210日の研究会後の懇談会で、複数の若者が発言していたが)。

すべては途中経過だが、「労働運動のルネッサンス」はここから始まる。

 

 旧来の重厚長大産業(自動車や鉄鋼業・セメント・非鉄金属・造船・化学工業、これに関連する装置産業)における「若者女性労働者と男性労働者」の人間的連帯とはどこから始まるのであろうか。

 いまも確実に労働問題が存在する旧公労協関係、自治体、教育、流通・トラック、建設、サービス産業、IT産業などの姿は。

時代に切り込む現代若者労働者のルポルタージュは出ないのか。

下記の最後の文を、追い越す男性労働者もいると思うし、「若者女性労働者と男性労働者」の両者を待ち望む。

>たぶん、追い越さない。

 

 

青木耕太郎‏ @kotaro_aoki 1月172018年)

数年前まで、ブラック企業で働く若者のうち、女性の相談者の方が男性の相談者よりも、闘うことに積極的だった。中心的に闘った女性のほとんどは、単身もしくは、夫が非正規やブラック企業で低収入で、闘う以外に道はないと感じていた。

 

ところが、男性の相談者の多くは、転職による「解決」という幻想を抱き続けているため、闘うことに時間を使うことを躊躇していた。

 

要するに、女性は、自分とパートナーの「下部構造」(非年功型の労働市場に組み込まれていること)を客観的に認識したが、男性は「妻子を養う」という主観が強く、「下部構造」を客観的に認識せず、闘う以外に道はないことを認識しなかった。傾向的に。

 

最近、その傾向が変わりつつある。若者男性労働者の間でも闘う動きが出てきた。彼らは、何度転職しても、必ずブラックという現実を経験してきた。結婚を目前に控えて、あるいは結婚を機に、一念発起して超真剣に転職活動をしても、またブラックにぶち当たり、憤りを覚えたという人を何人も知っている。

 

労働運動の主体が変容しつつある。数年前の「たかの友梨」の争議の際に、「若い女性」が立ちあがったことに驚きの声が上がったが、ようやく「若い男性」が追いつき、「若い男女」がブラック企業と闘う労働運動の主体として登場しつつあるように思える。

 

興味深いのは、結婚を目前として、あるいは結婚を機に、相談に訪れて闘う人が多数いること。結婚・家族が「保守化要因」から「闘う要因」に変化しつつある。家族のことを思って会社と闘うことに躊躇した従来の日本の正社員男性に対し、今の若者は結婚して子どもを持つには、会社と闘う以外に道はない。

 

ここ数年の間に、転職による「解決」は「何度転職してもブラック」という実体験を通じて否定された。男性の「妻子を養う」という強固なイデオロギーも、ブラック企業ばかりという現実と実体験を通じて、揺らぎつつある。イデオロギーが現実に対応するものに変わりつつある。闘って変えるしかないのだ。

 

若い男性が若い女性に比べて、5年くらいブラック企業との闘いの主体になるのが遅れてきた理由は「妻子を養う」というイデオロギーに固執し、「転職幻想」を抱き続けたからだと思われる。しかし、「ブラック企業ばかり」という現実はイデオロギーと幻想を打ち砕く。意識が現実に追いつきつつある。

 

誤解のないように付け加えておくと、男性が労働運動の主役となりつつあると言っているのではない。ブラック企業との闘い、若者の労働運動の世界では、女性が先進的な役割を担ってきていて、ようやく男性が遅ればせながらも、追いつきつつあるということ。そして、たぶん、追い越さない。

 (ご本人の了解を得たので、以上、転載させていただいた)

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