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2016年1月28日 (木)

青木慧さんの『ユニオンジャック』を読んだ人。

2016年の新春117日(日)、東大阪市立グリーンガーデンひらおかで、運輸一般大阪OB会に柴田光郎さんに同行してきた。阪急吹田駅から淡路乗り換え、日本橋駅(千日前線)でまた乗り換え近鉄・額田駅下車徒歩12分だった(行き)。

 

 集まったのは、「戦後民主主義の申し子」で「平和と労働の主人公」を訴え続けた(昭和2=この先輩は先達として~昭和24年生まれ)トラック労働者・生コン労働者の猛者だ。

 

  あった瞬間から1960年代末から1980代の「東京争議団」の報知印刷労組やニチモウキグナス労組、日本フィル争議団、沖電気争議団、雪印食品争議団、ネッスル日本の労働者と姿かたちが違う、「わっぱを握った大阪・全自軍と呼ばれた(本部は東京にあった総評全自運・引間博愛委員長で大阪の生コン・トラック労働者のユニオンとして関経連・ヤクザ関係者に恐れられた)」その姿を彷彿する人たちだった。

 

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 そのなかで「伊藤忠商事の関連会社で労働組合づくりをした岩田元さん(昭和14年生まれ)」から話を聞いた。 

 

「職場が伊藤忠商事の関連の運輸会社で、当時、青木慧さんの『ユニオンジャック――国家ぐるみの犯罪』(1984625日、学習の友社)を読んで、これは本腰で労働組合運動をやらないと負けてしまうと頑張った」という。

 

以下、その文章をまずは読んでください。

  2016年の新春117日(日)、東大阪市立グリーンガーデンひらおかで、運輸一般大阪OB会が開かれた。今年で10年以上続いている。参加者は18名で、一番年上は若松秀さん(元大阪地本委員長・昭和2年生まれ)で、一番の若手は昭和24年生まれでした。

 当日は、若松秀さんの司会で始まり、荒井実会長(元関西急送・昭和9年生まれ)の「亡くなった方もいますが、元気な顔を見られてうれしい。これからも元気でがんばろう」と参加者への励ましの挨拶がありました。

  総会ということで幹事の柴田光郎さん(元関扇運輸・昭和18年生まれ)から会計報告があり、みなさんの了承を経て、乾杯し宴会に入り、なごやかな交流が始まりました。

 例年のように、参加者一人ひとりから、発言を受けました。すべては紹介できませんが、TOPは地域の革新懇で活動している人が、「沖縄にも行って沖縄の現状を学んできた。若い人に伝えたい」、と。つづいて「おおさか維新の党が勝利して、生半可な取り組みでは彼らの動きを止められない」と警告する人。「和歌山の田舎で老人会の会長をやっている。元気だぞー」と大声で語りだす人。「沖縄出身で大阪に来て40年近くになる」という人、それぞれの現状報告が続いた。

 テーブルの近くにいた森本孝士さん(元府本部副委員長・昭和17年生まれ)は、出身職場(森永乳業・明治乳業の関連運輸会社)が明治乳業から送られてきた管理職メンバーが画策して「70人」ほどの建交労の組合がなくなってしまって「くやしーっ」と、うめき声。

 その横にいた岩田元さん(昭和14年生まれ)は「職場が伊藤忠商事の関連の運輸会社で、当時、青木慧さんの『ユニオンジャック――国家ぐるみの犯罪』(1984625日、学習の友社)を読んで、これは本腰で労働組合運動をやらないと負けてしまうと頑張った」ことを力説してくれた。

 こちらのそばにいらっしゃって「旧満洲生まれで『棄民政策』の犠牲者とインタビュー記事」(「大阪民主新報」、2015118日付け)にまとめられている話をじっくり聞かせてくれた松原弘太郎さん(昭和14年生まれ)。「職場では残業拒否をして、賃金が会社で一番低かった」と。往時の闘いの姿が浮かんできた。

  なかには「長島問題」(大阪府本部から「統制権処分を受けて」)守る会の代表をやっている長崎屋勉さん(昭和14年生まれ)から懇々と解説を受けたが、「ガリキリ機関紙ジャーナリスト出身とのことなので、組合内部の問題の視点だけではなくて、これまでの生コン労働者が生きてきた物語を書いて、南海トラフ地震が発生した場合、革新の側はどのような予防政策があるのか、大阪・橋下に負けない市民のためのまちづくりを書くべきなのではないか」と、編集者魂で語った。

 しかし短い時間だったが、昔、ヤクザとのたたかいで「大阪の全自軍(大自連)」とよばれたトラック労働者・生コン労働者たちの姿が浮かぶような話も聞いた。

 軽井沢のバス事故(2016115155分頃、長野県北佐久郡軽井沢町の国道18号碓氷バイパスで)に対して、「親は苦しくてたまったもんじゃないな」との声、「労働組合があったらなー」という声がみなさんからあった。

  会場では、いまでも社会運動の現役として地域で動いている話が、いつまでもつづいた。

  青木慧さんの話が出たので、手元にある『ユニオンジャック――国家ぐるみの犯罪』(青木慧著、1984625日、学習の友社)の「総目次」を下記にUPした。

「日本中の労働組合を破壊した「インフォーマル組織とは何か」のページへ、リニューアル

http://e-union.sakura.ne.jp/union/informal.html

 

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1章 やればやり得まる儲けの犯罪 7
ハイジャック=おい、手を高くあげろ 8 絶対に損のない荒事のハイジャク10 背後に財界・自民・民社の三角関係? 12 自民党労対部長がつくった同盟系労組 15 肝心な事実を隠す大企業と報道管制 17 ケシ粒が天下をとる手品 20

 第2章 《民主的労働運動》のトリック 25

完全犯罪のノウハウを企業に売る労務屋 25 労務屋の悪知恵を借りて極秘計画作成 23 《使用者の利益を代表》する順に研修30 職制兼組合員の社外研修が第一のカギ 33 《民主的労働連動》はユニオンジャック運動 36 ユニオンジャック判定のリトマス試験紙 39 会社の組合支配は人づる、金づるで 42

 第3奉 職場の秘密警察とクーデター 45

社外研修終了者で職場ごとに「核づくり」 46 「屁のカッパ」を「陸にあがったカッパ」に 48 その基本戦略は「ぞろぞろ部隊」対策 50 会社と連携で全組合員の思想・素行調査 52 芝居うって家庭訪問、エセ電話、尾行も 55 「左翼人脈づくり」と職場のデマ情報 59 戒厳令下で会社、職制総ぐるみの役員選挙 81 クーデターで労働組合民主主義は骨ぬき 64

 第4章 住友電工の《QC労務・左翼対策》 67

財界の労働組合対策の見本「住友大学」 68 金社、職制総ぐるみによる組合役員選挙 72 会社による会社のための《組合強化》対策 75 《QC》の名で労働組合総ぐるみ育成 77身も心も会社製、不当労働行為の産物 78 偽装労組であるがための宿命と《左翼対策》 80 外部情報で人事課員と親衛隊が潜入 82 カトリックの女性も《左翼》と解雇 85 労働者の《主体》と《自主》性の抹殺 85 宗教者の「心の自由」も踏みにじって 90 全社員は国家と会社に生命を捧げよ 92

 第5華 中部電力の《逆包囲・特定思想対策》 97

秘密文書が裏付ける企業犯罪の数かず 98.係長クラス・を基盤に《健全思想》の育成 99 日経連直結の労務屋を《社内講師》に 102 秘密労務組織を使って《政治地図》づくり 104 《リストアップ者対策》あの手この手 107 会社は公害出しているのになぜ公害反対か 110 「灯し火は消えた」が示す《特定思想者対策》 113 《告白書》を転向のあかしとして強要 115

 

6章 日産偽装労連の労働者支配と悲劇 119

立ち上がった係長会・組長会有志の訴え120 世界に誇る日本式労使関係の代表だが 122 職場での二重支配の要・職制兼組合役員125 経営陣内部でも労組支配めぐり争奪戦129 偽装労連を私物化し、粛正で権力を経る 131 日産に発生した鉄サビは日産人が除去を133 会社を食いものにするユニオンジャッカー 135 社会的犯罪のツケは必ず支払わされる 137

 第7章 「ヘチマ会」大連合の《終着駅》 141

偽装労連を使った系列労使への支配 142 親企業労使による丸抱え御用組合づくり 144 下請けごときの賃上げ要求が高すぎる 147 昭和高分子でも背後に秘密労務研修団体 150 総評、中立労連内部の隠れ同盟部隊 152 暗躍したユニオンジャッカーとその組織 154 組織ごと乗っ取って危険な《終着駅》へ 156

 第8章 背後から糸を操る仕掛人は? 161

民間のユニオンジャックと官公版のちがい 162 警察や公安機関などは企業の共犯者なのか 165 自民党は労働組合政策をもって国政で実行 169 《自由にして民主的な労組》を高く《評価》 172 財界と政府・自民党が合作の生産性本部 175 労務研修や《民主的労働運動》の出前機関 177 正体がわかり、びっくりの吉田忠雄明大教授 170 日特金属で生産性研究会がユニオンジャック 182 「労働戦線統一」推進労組は半ば以上育てた 186 生産性本部と《姉妹》の社会経済国民会議 189

 第9章 財界と政府・自民党の隠れ部隊 193

少数が多数を支配するトリックとその構図 194 労働・社会運動での民社党《独特の使命》 197 自民党系人材で民社党育成の岸信介構想 202 自民・民社の二党流で仕える《同志》たち 204 憲法と革新など《既成観念のタブーに挑戦》 207 《イデオロギーのバックボーン》は軍拡・改憲 210 改意への《条件づくり》と《突破口》づくり 213 二党流使いで軍拡・改憲の《筋書》が進行 215

 第10章 臨調方式と国家ぐるみの仕掛け 219

臨調のうまみと財界の「口出し手出し機関」 220 臨調を主導する「タックスラー」たち 223 「教育改革」と相乗りで改憲コースの大掃除 227 密室でないと本音が語れない審議とは? 229 行革審や行革国民会議にも《同志》が横すベり 291

 第11章 はさみうちの標的・国鉄労働者 235

国鉄再建監理委にターゲットをしぼれば 236 「親方日の丸」攻撃の臨調学者の親方は? 239 国鉄はなぜ臨調「行革」の最大の焦点か 243 不当労働行為は《やればやり待》の労務学者 247 密室審議で国労取り込み交通運輸版JCづくり 251 全民労協加盟組合を基礎に選別し排除も 254 いやだというものも、一括してハイジャック 257

 第12草 地方公務員版ユニオンジャック 261

私的諮問機関などを隠れみのに使って 262 民間並みの《能力主義》労務管理を導入 266 《人事考課》は管理者が職場支配の武器に 289 《使用者の利益を代表する者》づくりの研修 274 QCなど職場小集団の自主管理運動の狙い 274 都知事の私的諮問機関「活力懇」も労務方針 280 「活力懇」 の中心は財界の労務屋と二党仕え 283 同盟主導で「労働界代表」も取り込んで288

 第13章 教育臨調版ユニオンジャック 291

少数者支配の国家ぐるみの《システム》 292 文教懇は《国民のみなさん》より《同志》たち 295 臨教審へ「第一与党」民社のラブコール 298 同盟は民主教育解体でも財界のパートナー 301 教育臨調用の《国民運動》と「労働戦線統一」 303 改憲をめざす教育臨調版《公正な教科書》 306 企業や政治の品質を問う運動こそ必要 309

おわりに 315

 

上に書いておいたが、びっくりしたのは「明治乳業」関連会社の労働組合(上記のように70名の建交労)の転覆を、今も行っている明治乳業出身の管理職グループがいるということ。

彼らは「団塊の世代」の競争信仰・自己実現の生存因子を受けつづけているのだろうが、すでにそのメンバーも40代から50代、アメリカの近代経済学者の下記のような発信をどう受けとめているのか。

 

日本は「協調組合主義」と決別を=ノーベル経済学賞受賞者・フェルプス氏(アメリカ)

http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-19aa.html

 

コーポラティスト的な価値観を打ち破らずして、日本が自己を変革できるとは私には思えない。このコーポラティスト的な価値観には、家族のつながりや利害関係の持ち方、物質主義、順応主義、社会的保護などが含まれる。

「労働組合破壊。乗っ取りグループ」の策謀は、今に続いていること。

どうして抵抗する運動主体とその理論が誕生していないのか。

 

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