『風来記 青春の巻、雄飛の巻』(上下2冊、保坂正康著)を読む
保坂正康さんの「自伝、自分史」を見つけた。
上巻は、『風来記』(わが昭和史(1)、青春の巻 2013年5月27日)。
(BOOK紹介――昭和史研究の泰斗による回想記。幼少期のかすかな戦争体験の記憶、旧制中学の教師だった父との相克、60年安保の時代……。日本の高度成長と軌を一にした戦後史の一断面。
上巻は、幼少の思い出から、高校・同志社大学卒業、電通PRセンター・朝日ソノラマ・TBSブリタニカ勤務を経て文筆業で独り立ちを決意するまでの半生をつづったもの。)
下巻は、『風来記』(わが昭和史(2) 雄飛の巻、2015年8月21日)を読んだ。
(BOOK紹介――橘孝三郎、東條英機、瀬島龍三、後藤田正晴、田中角栄、秩父宮―。ノンフィクションを書き続ける中で出会った忘れ得ぬ人たち。昭和を見つめてきた作家は、いかにして時代と格闘したか。)
▽昭和史講座HPを参照。(保坂さんの仕事が見られる)
http://www.aya.or.jp/~hosaka-m/(今はダウン)
https://tokyo-office.doshisha.ac.jp/course/2019/autumn/shouwa.html
大昔(1970年代)、『死なう団事件』(軍国主義化の狂信と弾圧、れんが書房、1972年 、のち『追いつめられた信徒』講談社文庫、原題で角川文庫、2000年)が出版されたとき、戦前の「狂気」(当事者から見たら怒る表現だろうが)を「高度成長社会」に書くジャーナリストが今の世の中にいるのにびっくりしたことを憶えている。
時代は「あさま山荘事件」が起こった時だと思う。
〔(1971年から1972年にかけて活動した日本のテロ組織、新左翼組織の1つ。共産主義者同盟赤軍派と日本共産党(革命左派)神奈川県委員会(京浜安保共闘)が合流して結成された。山岳ベース事件、あさま山荘事件などを起こした。By Wikipedia)〕
その前に「三島由紀夫」が市ヶ谷のバルコニーで自衛隊の決起を呼び掛けた、衝撃的な行動をしたことがあった。
〔1970年(昭和45年)11月25日に、日本の作家、三島由紀夫が、憲法改正のため自衛隊の決起(クーデター)を呼びかけた後に割腹自殺をした事件である。三島と同じ団体「楯の会」のメンバーも事件に参加したことから、その団体の名前をとって楯の会事件(たてのかいじけん)とも呼ばれるBy Wikipedia。〕
三島事件を契機として(著者は執筆の大きな動機としている)、権力の抑圧と「宗教者の反乱」を書いた年上のジャーナリストがいた。まだ若かった編集子にとって、「れんが書房」という出版社を知らなかったので余計にびっくりだった。この編集者はえらい人ではないかと、個人的に感慨があった。
その後のジャーナリストの行動は、「4000人以上の人の取材をしたという」事実と100冊以上の単行本を書いている事実には敬服する。
国会図書館の検索では、1000の原稿が浮かび上がってくる。
こちらが読んだ本はそのうちの5冊ぐらいだと思う
本書の中に登場してくる「編集者」の姿は、さまざまな思いを著者に語り、情報(人の情を伝え)、歴史を読み解く友人の役割を果たすことが書かれている。
編集子もそのようになりたいと、思ったが…。
保坂さんは、本書の中で言い回しを変えながら自らのアイデンティティとして、「私は左翼とか右翼といった政治信念で現実を見ていない。社会を昂揚しているときは冷めた目で社会の内実を見て行きたいと思っている。それが信念である」という言葉を書いている。
私の周りにはいなかった人である。
60年安保をブンドととしてたたかいながら、子どもの時から「父からの自立」、「母の血筋」と格闘してきたことから実現してきたのではないかと思った次第。
『風来記』(わが昭和史(2) 雄飛の巻)のあとがきには、「人はその人生でどれだけの人と知り合うのか」というテーマの本を書きたいといま、望んでいる、と。
「四千人から六千人ぐらいはすぐに集まってくると思う」と記す。すごい「人名事典づくり」だ。
〈15年安保〉を担う読者のためにも、つづいて「たとえば二〇一五年の今、日本社会は大きく変容している」と3か条を上げ、「〈掟なき暴論の社会〉の到来」と著者は書く。
〈60年安保〉の当事者に戻ったのか、この部分も読んでほしい。
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