「アベノミクス」は国民をどこにもっていくのか――その2・高橋伸彰さん
Twitterで(4月3日付け)、「残業代ゼロ法案」を働き過ぎ抑制と報じるマスコミ(特に日経!)は、労働者が残業代目当てに働いているとでも思っているのだろうか? 働かせ過ぎ抑制のために残業手当ての支給が義務づけられてきた歴史を一切省みずに、財界の言い分を受け入れ法を改悪する安倍政権を支持するのが公正な報道なのか?
(3月18日付け)、安倍政権は労働者にとって倒す相手であり、協調する相手ではない。安倍政権が喜ぶような賃上げ回答で労組は幕を引くな。
https://twitter.com/ecotakahashi
ご本人のTwitterの紹介文は、「日本経済論が専門です。上洛してから15年。もっとも私はへそ曲がりなので通説を信じる人には、戯言にしか聞こえないかもしれません。嫌いなのは権力、決して特定の政治家ではありません。最近読み直して感動した本は山本義隆『知性の叛乱』。社会には話し合いや討論だけでは解決できない問題がある。まずは声をあげよう。」と“過激”な発言をしている「高橋伸彰」さん。
数少なくなったマル経系の研究者かと思ったら元官僚さん。ケインズ派の人で、現在は立命館大学の教授。
Twitter上で賃上げなどの労働問題を含めて現代日本社会を日常の視点から、的確に厳しく批判している。
政府・経団連・連合・大マスコミのトライアングルを見抜いて、そのまやかしも喝破している。
読むだけでもおすすめ。
その高橋さんが水野和夫さんとの対談本:『アベノミクスは何をもたらすか』(岩波書店、2013年6月28日)を出しているので読んだ。
今回もその本を紹介している、根井雅弘(京都大学大学院経済学研究科教授):『アベノミクスは何をもたらすか』(高橋伸彰 水野和夫 岩波書店、2013年6月28日)のURLを書いておく。
http://booklog.kinokuniya.co.jp/nei/archives/2013/07/post_16.html
高橋さんの本には、『優しい経済学―ゼロ成長を豊かに生きる―』、高橋伸彰著・ちくま新書筑摩書房 、2003年04月)もある。
著者からのコメント:一つでも多くの「欲」を満たすために成長するより、一つでも「欲」を消すほうが幸せになれる
成長によって得られた「豊かさ」がある一方で、成長のために失われた「豊かさ」もある。一円でも多くの所得を得るために、我々はこれまでどれほど大切な時間と、どれほど大切な友人を失ってきただろうか? 日本のGDPは「失われた10年」を経ても、なお世界のトップクラスだ。それでも、日々の生活や将来の老後に不安を抱く人が多くいるなら、それは成長力が不足しているからではなく、政策が貧困だからだ。どんなに平等に所得を分配しても一人当たり年間10万円にも満たない低所得国と同じ発想で、成長のためには改革が必要だと連呼しても人々は「豊か」にはなれない。経済学の原点は「より良い社会」を築くことにあり、一円でも多くの所得を稼ぐために人々を競争に駆り立てることではない。改めて、経済! 学の原点に立ち戻って、いまの日本経済を見つめなおして欲しい。そんな思いを本書に込めました。
「今行われている構造改革は経済的強者には「優しい」かもしれないが、経済的弱者には「冷酷」なものであって、成長が実現したとしても、その陰で日本社会における貧富の格差は一層拡大する」と、4割になろうとしている非正規労働者の増大による格差拡大を見通していた、といえる。
▽追加(2015.04.10)
『朝日新聞』(2015年04月09日付け)で以下のような記事が書かれていた。このような記事が掲載されることも珍しいのではないか。
「株価2万円」に浮かれるマスコミ報道の中で、この署名記事を書いた記者さんと掲載したデスクさんは「エライ!」
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