映画「パレードへようこそ」を観てきた
久しぶりに銀座シネスイッチで映画「パレードへようこそ」を観てきた。当日(2015年4月10日)は「女性デイ」(通常のチケット代1800円が950円になる)でほぼ満員。
入り口ではどこかのユニオンがビラを配っていた。
映画の時代背景は日本の中曽根内閣(1982年~1987年)のモデルといわれた1980年代イギリスのサッチャー政権下での炭鉱労働組合つぶしをねらった攻撃が行われていた時だ。
“鉄の女”と呼ばれたサッチャーの政策で20か所もの炭鉱閉鎖が決まり、それに抗議する炭鉱労働者のストライキは4か月目に入ろうとしていていた(1984年)。
ロンドン在住の一青年が“LGSM(炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会)”という支援団体を立上げ、ウェールズの炭鉱労働者を支援した、実話ということ。
炭鉱労働者へのサッチャー政権の攻撃とゲイ・レスビアンへの社会的偏見、家族の葛藤を共に乗り越えようとする青年・女性たちにとって、心情的に共通の何かを見出していた。ゲイとストレート(映画ではこのように表現されていた)の共闘。
「ソリダリティー(連帯)」と声を出すシーンが印象的だ。
一人ひとりのおかれた環境のなかで、ある青年は自己を確認して(ゲイであることを家族にも友人にも)バッチをつけるまでにもなっていく。
映画欄の評では「ロンドンの同性愛者グループが、偏見と妨害を乗り越え固い絆で結ばれていく感動的な友情の物語の映画化作品です」と書かれている。
ラストシーンでのパレードも見ものだ。
日本では国労(国鉄労働組合)つぶしや全日自労(ニコヨンさんの組合)つぶしは映画になっていないが、イギリス映画人の心意気が感じられた。
また、マイナーな存在としての人間に寄り添って、社会的に発信する映画制作の力があるイギリス社会へ、尊敬の念を表したい。
▽追記(2015.04.12)映画の中での、感動的な歌とダンスの意味は下記へ。
2015-04-02
19:16
〔1〕団結のパワーを熱く信じ炭坑夫を支援した同性愛者たち―映画『パレードへようこそ』
マシュー・ウォーチャス監督が語る80年代英サッチャー政権下の繋がりとコミュニティ
http://www.webdice.jp/dice/detail/4635/
──ダンスシーンと合唱の場面が素晴らしかったです。
パーティーで俳優のジョナサンがシャーリー・アンド・カンパニーの「シェイム、シェイム、シェイム」で先陣を切って踊る場面は極めて重要なシーンだ。あれより前のシーンではLGSMに対する抵抗感がまだ残っていて、中には周囲に合わせておとなしくしていようというグループもいた。けれどもそれはジョナサンのスタイルじゃない。彼は対立を辞さず自分を偽らないタイプだから、相手はそれを受け入れたほうが利口なんだ。だから彼はわざとあの曲を選んで踊り、すべてをさらけだしたんだ。
あのダンスはLGSMがロンドンのゲイ・コミュニティから持ち込んだもので、一方、ウェールズ・コミュニティによる熱く感動的な「パンとバラ」を歌う場面は、いわばウェールズ人たちが数ヵ月後に同じ場所でお返しをするシーンみたいなものなんだ。あれは感傷抜きで効果的に感情を表現するのに最適な曲だった。最初に歌い始める女性を演じたウェールズのシンガー、ブロンウィン・ルイスは作品の舞台となる町・オンスルイン出身で、その事実が次の展開を予想させる一因になり、歌に真実味を与えている。よくありがちなシーンにならないよう、バランスを取るのがすごく難しい場面だったね。
(オフィシャル・インタビューより)
〔2〕出だしの労働歌の替え歌などについては、下記へ。明治・大正・昭和の日本にもあるような歌だ。
木下昌明の映画批評 : 英国映画『パレードにようこそ』~ゲイと炭坑夫の連帯は可能か
http://www.labornetjp.org/news/2015/0409eiga
英国映画の『パレードへようこそ』はのっけから軽快な勇ましい歌ではじまる。
♪組合の精神が労働者の血となれば
♪世界で最強のパワーとなる
♪一人では小さな力しかなくとも
♪組合が我らを強くする
♪連帯よ 永遠なれ!
〔3〕twitterで流れています。(2015.04.13)
zenroren 全労連 @zenroren
映画「パレードへようこそ」 月刊全労連2015年5月号(No.219)1冊につき1人、当日一般料金から300円割引!
・15年6月末まで有効
・一般料金は映画館により異なる場合があります。
・他の割引やサービスデーでの併用はできません
・『パレードへようこそ』上映劇場のみ有効
« 「アベノミクス」は国民をどこにもっていくのか――その3・市民社会フォーラム | トップページ | 『モップとダイヤルの叛乱』のつづき »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 映画『峠 最後のサムライ』を観てきた。(2022.06.23)
- 杉原さんには「武器取引の実相」と「松元ヒロ 爆笑 ライブ」を堪能(2020.02.21)
- 「新井英一 清河への道」を20数年ぶりに聞く(2019.12.07)
- 映画「ピータールー マンチェスターの非劇」を観てきた。(2019.08.19)
- 「映画 新聞記者」を観てきた。(2019.07.19)
« 「アベノミクス」は国民をどこにもっていくのか――その3・市民社会フォーラム | トップページ | 『モップとダイヤルの叛乱』のつづき »
コメント