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2015年4月24日 (金)

「アベノミクス」は国民をどこにもっていくのか――その4・『金融緩和の罠』

 ▼下記文章への追加(日本経済新聞、2015.05.20)

  14年度は5年ぶりマイナス成長 GDP前年比1.0%減 

 内閣府が20日発表した2014年度の実質国内総生産(GDP)は前年比1.0%減と、世界金融危機の余波が響いた09年度(2.0%減)以来5年ぶりのマイナスとなった。消費増税後の4~6月期、7~9月期と2期連続でマイナス成長だったことが響いた。年度後半からは持ち直しの動きも出たが、前半の大幅減を埋められなかった。

 

 ▽以下本文

ベストセラー・『デフレの正体』(角川書店(角川グループパブリッシング) (20106)で、「15-64歳の生産年齢人口が1996年を境に縮小しはじめ、好景気下でも内需縮小が避けられない」。「団塊の世代の労働市場から退出するのに合わせて、日本の企業は人件費の総額を減らすという方向で調整し、内需を縮小した」ことによって「デフレは加速した」としているが、ある選挙で、これを安倍首相が批判している演説がTVで流れていたことを記憶している。

安倍首相やリフレ派からの批判について、反批判している本があった。それが『金融緩和の罠』(集英社 2013年4月)だ。

 150425kinyuukanwa

  

本書の宣伝文は次の通り。

 

アベノミクスでにわかに注目をあびる金融緩和政策。 

しかし、「日銀が大量にマネーを供給すれば、景気が回復する」というのは机上の空論だ。 

 むしろ「失われた二○年」をもたらした本当の理由を覆い隠し、かりそめのバブルを引き起こすだけではないか。 

しかも副作用の大きさは計り知れない。国債の信用喪失に始まる金融危機、制御困難なインフレなど、さまざまなリスクを第一線のエコノミスト・経済学者らが哲学者と徹底的に討論。 

金融緩和の落とし穴を見極め、真の日本経済再生への道筋を描き出す!

 
 本書の「第一章」がおもしろい。

 読んでいると、「貨幣供給量を増やせば経済が活性化する」と信じているリフレ派、昔のマルクス主義者が権力の奪取を目指し、中央銀行を操作してコントロールしていく政策と相似形だとしている。

 

また生産年齢人口(15歳から64歳)の減少によって、「小売販売額のピークは1996年の141兆円、10年後には13兆円のマイナス」で、「人口オーナス」(現役世代が減少し高齢者世代が増加する)に突入した社会が、小売販売額減(住宅や土地、自動車、家電など)の原因としている。

 

「本来なら団塊の世代の退職にともなって浮いた人件費を企業は、若い世代の雇用や給与増にまわすべきでした」と、この間の「賃上げナシ社会」の愚かさも衝いている。

 

高齢者多数社会で、「株が上がっても」消費に向かわない社会になっていることも語っている。



 「藻谷 個人投資家の多くは高齢富裕層なのです。彼らには、現役世代のようにモノを消費する理由も動機もないですからね。退職して給与所得がなくなった人であれば、なおのこと消費せずに「老後の不安に備える」とかいって貯蓄を増やす傾向が強まります。

リフレ論者たちは、日本人、とくに資産をもっている高齢者の貯蓄志向の強さを計算に入れていない。企業が人件費を削ってだした利益を配当するたびに、現役世代から彼ら高齢者に所得が移転します。年間五五兆円におよぶ年金も、現役世代から高齢者への資金還流です。」

「藻谷 ちなみに高齢富裕層は、この時期に増えた所得をいったいなににつかったのか。国債を買ったんでしょう。あるいは外貨預金。

――富裕層の所得が増えた部分が国債にまわされていることがまた問題のひとつの根ですね。そうなると、高齢富裕層、銀行、政府のなかでお金がぐるぐるまわっているだけということになる。」

 

 笑うに笑えない話が出ており、まだまだ面白い話があるので、以下に目次を掲げておく。

 

第一章 ミクロの現場を無視したリフレ政策

           藻谷浩介×萱野稔人

    

現実から乖離したリフレ政策/

働いてお金を稼ぐ世代が減りはじめた/

人口オーナスが値崩れを引き起こす/

人口オーナスを無視した結果の供給過剰/

平均値「物価」で見るから間違える/

人件費カットでよけいに需要が冷えこんだ/意味のない生産性向上/

付加価値の総額こそがGDP/株主資本主義を問い直す/

消費よりも貯蓄にむかう高齢者/

もはやインフレ期待は醸成しづらい/

高齢者にとっての円安/不動産価格も上がらない縮小社会/

止まらない国内経済縮小の流れ/人口構造とインフレ/

アメリカの後を追えばいいのか/

円安にすれば日本経済は救われるのか/

富裕層にのみおこったトリクルダウン/

消費への波及効果はほぼゼロだった/

政府、銀行、富裕層のトライアングル/

逃げ足の早いグローバル・マネー/インフレのコントロールは不可能/

人口オーナスをチャンスに変える

 

 

第一章 ミクロの現場を無視したリフレ政策

    藻谷浩介(もたにこうすけ)1964年生まれ。(株)日本総合研究所調査部主席研究員。主な著書に『デフレの正体』など

第二章 積極緩和の長期化がもたらす副作用 
        河野龍太郎(こうのりゅうたろう)1964年生まれ。BNPパリバ証券経済讃査本部長・チーフエコノミスト。

第三章 お金への欲望に金融緩和は勝てない

    小野寺廉(おのよしやす)1951年生まれ。大阪大学社会経済研究所教授。経済学博士。

 

▽インタビュー

    萱野稔人(かやのとしひと)1970年生まれ。津田塾大学国際関係学科准教授。博士(哲学)。

 

 

 

 

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