3000人に一人のコミュニティづくり員がいるイタリア
NHKで報道された「無縁社会」と対比して、イタリア社会におけるコミュニティづくりをこのページで紹介したことがあり、別の面からイタリアの協同組合の源泉も書いてきた。
イタリアのコミュニティづくり――その伝統・基盤を学ぶ、●「編集者のつぶて」(2010 年01 月26 日)、『違和感のイタリア――人文学的観察記』(八木宏美著、新曜社、 2008 年9月、2, 835円)。
http://e-kyodo.sakura.ne.jp/kanno/140108community.pdf
イタリア協同組合の源泉を教えられた――『しがらみ社会の人間力』 (2014年5月31日 (土)
http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-f2d3.html
「ゆりかごから墓場まで」という言葉は、第2次世界大戦後の「労働党が先導したイギリス社会における社会保障・社会福祉」を伝える目標としてよく語られたことがあり、日本の福祉関係者には、その教訓を学んだ時期があった。
その後は、スウェーデン社会における社会保障の実現などが注目されてきた。
『イタリアのコミュニティづくり』の著者・ 八木宏美さんは、スウェーデンと対比しながら、別の仕組みとして地域社会の実践がイタリアにはあることを伝えている。
イタリアでは、地域社会におけるさまざまな人間の成長・発達を支える仕組みとその対応が、カトリック教会の「神父」が行っており、彼らは「住民の実質的・精神的生活クオリティ向上のために専任で働く専門職、地域住民生活の総合コーディネーターなのである」と書かれている。
すぐれた社会問題対処システム
カトリック教会は、信者数世界一を誇る世界最大の宗教団体である。(中略)イタリア人のすべてが参加する地域コミュニティの社会システムなのである。
誕生から葬式に至るまでのすべてを地域コミュニティ住民全体で互助的に生きるこのシステムは、具体的には、婚前心得教室、出産心得教室、子育て教室、思春期の子を持つ親教室、性教育、青少年モラル教育、ボランティア活動、少年サッカーチーム、各種スポーツクラブ、読書クラブ、コーラス同好会、サマーキャンプ、海外旅行も含む各地への団体旅行、各種レクリエーション活動、養子縁組、里子制度、共働き支援学童保育、老人クラブ、高齢者互助サービス、各種祭りや仮装行列、コンサート、講演会、お食事会など実に多義多彩な社会活動の大部分を担っている。
(中略)
教会は平均三〇〇〇人ほどの規模のそれぞれの地域社会の文字通りの基盤であり、神父は住民の実質的・精神的生活クオリティ向上のために専任で働く専門職、地域住民生活の総合コーディネーターなのである。金持ちにはなれなくとも住居と一生の生活が保障される神父職は、実にやりがいのある仕事であり、脱サラ組のなり手なども結構いるのである。
カトリック教会とその「神父」を日本に持ち込むことを提案しているのではなくて、その一つひとつの事例・取り組みをコーディネートする総合的な組織・人間が、日本でも多数、民衆のレベルで生まれることを願っている。
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