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2014年4月 4日 (金)

『公務員改革と自治体職員――NPMの源流・イギリスと日本』を寄贈されて

 ▽追記:書評紹介(小越洋之助・主な単行本のページへ

  ▽2014.08.03 
  三宅正伸(龍谷大学非常勤講師):書評『公務員改革と自治体職員――NPMの源流・イギリスと日本』(雑誌『経済』20149月号)

 

 先日、小越洋之助さんのHPに掲載した『公務員改革と自治体職員――NPMの源流・イギリスと日本』〔黒田 兼一(明治大学経営学部教授)、小越洋之助(国学院大学名誉教授)編、自治体研究社、2014330日、A5判、本体2000+税)〕を少し読み込んだ。

 

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 共著者:島袋隆志(明治大学経営学部兼任講師)、小尾晴美(中央大学大学院経済学研究科博士後期課程)、戸室健作(山形大学人文学部准教授)、清山 玲(茨城大学人文学部社会科学科教授)、鬼丸朋子(國学院大学経済学部教授)、行方久生(文教大学経営学部教授)

 

 

 小越洋之助のページ

 

 テーマになっているNPM(New Public Management)の源流・イギリスの地方公務員の実態・調査・分析と日本の地方自治体における雇用・人事そして「官製ワーキングプア」の実態(非正規職員の拡大)を学びながら、驚いた(こちらが)ことは、イギリスにおいては日本流の「地方公務員」とちがっていることだ。

 

 “イギリスには日本の地方公務員法に相当する法律がない。したがって、法律に基づいて採用されて働くのではなく、民間企業への就職と同じである。たまたま働く職場が○○市、○○区であるにすぎない。

 

自分の職業能力や将来への希望に基づいて、特定の仕事に就くのである。たとえ地方自治体職員として働いていても、自分の能力が向上し、その能力に見合った職務・職種の募集があれば別の組織(企業)で移動していく、これがイギリスの地方公務員のごく普通の姿である。地方公務員という「身分」になるのではなく、職務(職種、ポスト)に就く、まさに「就職」なのである。“(p25

 

“日本でみられるような「内部昇進」や「定期人事異動」はない、上位のポストに就きたければ、空きポストが出たらその時点で応募し、「民間企業からの転職者など他の応募者と同じ条件で選考を受けることになる」。”(p157

 

そうだったのかと思ったが、無知に近い驚きだ。

 

戦後の公務員労働をめぐって、「人事院勧告体制」とか「全体の奉仕者論」など制度的・官僚社会を前提にしたあまりにも日本的公務員社会を前提にした、労働問題だったのではないか。

 

個人的には、旧ソ連の社会主義体制における「テクノクラート支配」を批判するときに、では日本の「公務員社会」をどう見るのか、思考がストップした議論を思い出す。

 マックス・ウェーバー信仰?

 

 後者の「内部昇進」や「定期人事異動」はない、という議論は「日本型昇進昇格人生にもとづく労働統合」「表の小集団管理・自己実現活動と裏のインフォーマル組織などの創出」など、多くの労働者が翻弄されてきた時代を経てきたものとしたら難題だ。

 あっても正規・非正規労働者の複合的労組づくりを実行し、連帯型人間たちで非正規労働者を組織する郵政産業労働者ユニオン公共公務一般労組 全国金融産業労働組合・金融ユニオンのような企業の外にある横型の労働組合運動、ユニオンの確立と職場への再進出運動の可能性がある。自治労であれ自治労連であれ、その方向を期待したい。

 

イギリス運輸一般労組には、地方自治体で働くワーカーズが参加していると学んでいるが、知りたいところだ。

 

最後に、イギリスの地域社会における自治体行政と、社会的企業・協同組合の関係なども学びたいが、誰か教えてほしいものだ。

  



     ▽追記:小越洋之助のページ   2014.08.03

 

  三宅正伸(龍谷大学非常勤講師):書評『公務員改革と自治体職員――NPMの源流・イギリスと日本』(雑誌『経済』20149月号)をUP。

 

 

  

 ▽参考

  

 『国・地方自治体の非正規職員』を寄贈されて――「早川征一郎のページ」更新

 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-a754.html

 

 小林雅之著:東京公務公共一般の組織化とその実践を描いた本紹介 

 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-a6ac.html

  

 

 「木下武男さんのページ」をオープン。

 http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-4cb1.html

 

 

 

 

 

 

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