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2013年8月13日 (火)

日本における産業別一般労働組合の再検討のために

 現代労働組合研究会のサイトをオープンした一つの考えは、197080年代に議論された「産業別一般労働組合」方式は、どうなったのか、という歴史の検討だ。

 http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/111210roudou-index.htm

 

 私は編集者として「ニコヨンさん」(失業対策として全国の公的就労に従事した労働者)を組織した「全日自労」(全日本自由労働組合)の方たちと何冊かの本を編集したことがある(『手記 じかたびの詩―失業と貧乏をのりこえて』、全日自労・建設一般/早船ちよ編、 19808月、『『おふくろたちの労働運動』、全日自労建設一般労働組合、1986年,『労働組合のロマン――苦悩する労働組合運動からのレポート』(1986年刊)、『皆でたたかった50年―全日自労三重県本部の歴史』(全日自労建設一般三重県本部、 協同総合研究所、1996年)ほか)。

 

 その公的就労を政府・自民党、官僚たちが終わらせようとしていた時代、一方で労働組合組織論として「建設一般労働組合運動方式」による組織化のアドバイスをしていたのが、中林賢二郎さん(法政大学)だった。

 

「資本主義の現段階=独占資本主義段階における労働組合の基本的組織形態は産業別の組織であるといわれ、これまでわが国でも、労働組合はそのほとんどが、単位組織は企業別の形態をとりつつも、これらの単組が産業別に連合して、産業別組織形態を強める方向を目指していた。

それが、このところあいついで三つ(全日自労、運輸一般、化学一般――編集子)もの一般労組の組織化が目指されるようになったのである。その契機は何であり、そこでは何が目指されているのだろうか。そして何よりも、そうした方針にはいかなる現実性、もしくは必然性があるのだろうか。また、産業別組織とそれはいかなる関係にたつことになるのだろうか」〔新しい組織形態――「一般労働組合」の意義、中林賢二郎、『労働法律旬報』、労働旬報社、(通号 951)1978.05.10

http://e-kyodo.sakura.ne.jp/nakabayasi/nakabayasi-ronkou.htm

 

その後、全日自労委員長・中西五洲さんの本を編集した(『労働組合のロマン――苦悩する労働組合運動からのレポート』労働旬報社、B6判、1986年2月)が、その本のテーマには入っていなかった。

さらに知人の手島繁一さんが中心になって編集した『皆でたたかった50年―全日自労三重県本部の歴史』(全日自労建設一般三重県本部, 協同総合研究所編、46判上製、シーアンドシー出版、1996年)の中には位置づけがなかった。

 

後者の本が出たとき、出版記念の会が松坂市であり、同席した酒井謙弥さん(当時建設一般委員長)に少し話を聞いたが、展望を切り開いたようにはみえなかった(これは事業団方式から労働者協同組合方式に進んだ中西さん・永戸祐三さんなどを中心とした動きがあったから、と当時は思った)。

 

果たしてそれだけだったのかどうか。

建設一般の組織担当をしていた栗山嘉明さんが書かれた『労働組合づくり入門』(19812月、新日本出版社)を探し出して読んでみたが、残念ながら「産業別一般労組づくり」のテキストではない。

しかし以下の、酒井謙弥さん(当時・建設一般委員長)の「膨大な未組織労働者をどう戦列に加えるか」(特集・現代労働組合の基本的課題、酒井謙弥、労働運動総合研究所、季刊労働総研クォータリー、1996年秋号、No.24)では、一般労組論を展開しているので下記に掲載した。

 

「それぞれの労働組合運動史・論 3」

建設一般の1990年代の産業別一般労組づくり  (PDF版)

 

さらに個人加盟の地域労組やコミュニティ・ユニオンに取り組んでいる多くの人たちに、再度、地域を団結母体とする産業別一般労働組合方式(業種別ユニオン方式を含む)のシステム・国際労働組合の歴史(イギリスなど)・社会的存在を以下のページで学んでほしいと願う。

 

浅見和彦のページ

 

いまこそ1980年代まで戻って、労働組合・ユニオンのあり方を研究していくことが未来につながっていくのではないかと思う。

現在でも、連合のUAゼンセン(全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟)や化学一般、そして土建一般労組(東京土建、埼玉土建など)、建交労(全日本建設交運一般労働組合)、全港湾、関西生コンなどがある。

 

個性を持ったユニオン・リーダーの再来を期待して。

 

     ◇下記も参考にして下さい。(13.09.28

 

   『現代労働組合組織論』(中林賢二郎著、1979年刊)の今日的意味 

 

   http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/1979-1533.html 

    

   追記 産業別単一組織とは(JMIUの経験) (2014.07.13)

 

     http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-99ec.html

 

 

 

 

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