佐藤一晴さんのHPがオープンされています
「佐藤一晴さんのHP」(日本音楽家ユニオン、東京争議団事務局長、正路喜社労組、東京労働争議研究会、1932~2002年)をフォローした(2020年8月18日)。
追悼文集も、以下のページにある(個人の文章を除いて)。
『一晴の夢・歩んだ世界――佐藤一晴 追悼・遺稿集』(2002年11月16日刊)
http://e-union.sakura.ne.jp/satou-issei/index.htm
しかし、HPに書かれた制作プランナーの鈴木信幸さんのことばがしみじみ感じさせられた。
本書に掲載された「日本的風土に『統一』の思想をどう実らせるか」である(表題は編集部による)。(引用者改行)
http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/sorezorenoroudou-3.htm#satou
原稿段階で一晴さんも校閲したが朱は入らなかった。これはしかし筆者名「会員S」とされただけで表紙も奥付もなく印刷されてしまった。(だから今になって発行日が特定できない)。実名では出せない、と判断されたことでもあったが、編集部は各自本業をもっていたことでもあり忙しさにまみれてそんなことになったのだろう。「こんな怪文書みたいなものは困るよ」とみなさんにしかられた。しかも、一晴さんはその講演にかかわって、ちょっとした災難に見舞われたとも聞いた。確かに実名では出せなかったのだ。(夕暮れの部屋で――遺稿を受けとった経過など、鈴木信幸)
1980年代に決着がつけられないまま、今日の労働組合運動の現状を生み出した大きなテーマがそこにあったはずだ。
しかし、もう一文を載せておく。現在の「首都圏青年ユニオン」の母体は「東京公務公共一般労働組合」だが、そのリーダーである小林雅之さんの推薦者が、佐藤一晴さんだ。
長文だが、全部掲載しておく。
連載 わいるどふらわー① ~花よ咲け 貧困と誇りの谷間に~作 小林 雅之 (東京公務公共一般労働組合の機関紙、378号、2010年3月9日号)
赤ちゃんが立った
オルグ採用面接に都職労本部を訪ねたのは八八年春だった。忘れもしない、面接には「推薦人」ご一行様が付き添ったのだ。向谷・前都職労委員長、市毛・旧東京地評組織局長、佐藤一晴・音楽家ユニオン書記長である。まるで入学試験に親がぞろぞろ付き添うみたいだが、実は連行されて「観念せい」と迫られた話なのだ。随分大袈裟な面接騒ぎだが、それほどに自治体非正規労働者の組織化は、宿願の課題として内外から期待された訳である▼聞けば、戦後自治体労働運動史で、オルグという名の専従者はあなたが最初だと言われた。金属労働運動でオルグは当たり前に思っていたが、改めてその責任の重大さを思った。あの先輩達は、みな泉下に遷られた▼九〇年八月二十二日が『都区一般』の誕生日である。目方は百七十人分。「産みの苦しみ」も二年がかり。「首切られる人たちを、なぜ入れるのか?」恵まれた正規職員のそんな無頓着で素朴な反応ならまだしも、「正規の入れ替わりに増える臨時・非常勤を組織するなど容認できるか」と立ち塞がる現場の多さに、しばしば立ち往生を余儀なくされた。思えば、有史以来そこは非正規の自立組織が共存することを許さない、正規公務員の聖地なのであった。分厚く凍りついて、びくとも動かぬ氷河が行く手を阻んでいた▼折しも、日本の労働運動は総評解体、連合と全労連の創立へ向かう激動のただ中。『都区一般』は母体の分割によって股裂き状態に遭った。草原の仔馬のごとく、生まれて直ぐにも一人立ちで歩かねば危ない環境に産み落とされたのだ▼それでも、『都職労統一派』諸氏の懸命な尽力によって着実に組織化は進んだ。都庁の職安・職業訓練校の非常勤、目黒区社会福祉協議会、墨田区のパート、と結集も膨らんでいった。ところがその動きに抗して、私の身辺には不穏な動きが忍び寄る。事務所の机はしばしば荒らされ、「子どもに気をつけるんだな」と脅迫電話が舞い込む。留守中の子ども達にまで執拗に脅迫電話が向けられた。『都区一般』を良く思わない勢力が恐れを抱いての卑劣な仕業であることは判っていた。「お父さんは正しいことしてるんだよ。挫けないで。しっかりね」 家族を励まし、活動に拍車をかけた。必死の思いで結集した労働者の前進を阻めるものなぞあるものか、そう心に誓いながら。この事件は、非正規労働運動に未来があるからこそ起きた事だと、いよいよ確信を深めることになった▼組合費でも難航した。「二百円で充分」という都職労幹部との議論。「非正規が自立して闘うためにある。それを安いほど結構だなんて。貧者の絞りだす闘争資金は、くびきを解き放す血盟の証ですよ」▼初代委員長の人選も難儀した。都職労組織部の梅田さんが突然、「丹木さんに決めた」と一方的に本人に話を付けてしまった。「江東区役所の売店の? えっ組合を何も知らない人?」 私は腹が立つより呆れてしまった。しかし急いで断っておくと、彼女は実に良く精進して、かけがえなきリーダーとなったのだ。梅田さんと丹木さんには感謝▼釈迦ではないが、赤ちゃんが生まれて、すっくと立てば奇跡だが、非正規労組に奇跡はない。だが何倍速かで成長して、早く立たねばならなかった。そうした環境ゆえに逞しく育ったのである。
http://www.yo.rim.or.jp/~kk-ippan/kikansi-backnumber/378/378.html
制作プランナーの鈴木信幸さんの経歴もユニークなので下記のアドレスを入れておきたい。(ダウン中、2020.07.06)」
http://www.ac.auone-net.jp/~yohane/index.htm
佐藤さんの「日本的風土に『統一』の思想をどう実らせるか」は、編集子として、別のページにUPしておく。
それぞれの労働組合運動史・論 3(現代労働組合研究会のHP)
▽追記
小林雅之著:東京公務公共一般の組織化とその実践を描いた本紹介
▽追記(2017.11.25)
職能別ユニオンの現代的課題を追求――佐藤一晴さんの想い
http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-1356.html
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