ショップ・スチュワード、サンジカなどヨーロッパの労働組合を紹介――中林賢二郎さんのページ更新
▽追記(2016.05.18)
ショップ・スチュワードに注目していた出版物――中林賢二郎さんのページ更新
http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-35a6.html
わが国でも1980年代までは、イギリスやフランス、イタリアなどのヨーロッパの労働組合の活動がたえまなく紹介されていた。
まだ「労働」に関心を寄せる人たちが多く、これらを紹介する本・労働雑誌などの読者は、総評系の労働組合活動家が多かったのではないか。この当時は、まだ「幹部闘争から職場闘争へ」「統一と団結」など、職場に根を張った労働組合づくりがテーマだったからだ。
その時代に中林賢二郎さん(当時・法政大学社会学部教授)は、イギリスの「ショップ・スチュワード」やフランスの「サンジカ」の紹介を論文として発表している。
いまではインターネット上に2つのキーワードが紹介されている論文・エッセイは数少ない。
前者は、日本大百科全書(小学館)で「職場委員(しょくばいいん)――
職場ごとに選出された組合員の代表者。労働組合の組合民主主義の徹底を図る一環として欧米の労働組合においてとくに発達した制度で、ショップ・スチュワードshop stewardともいう。職場委員の任務は、組合中央機関の指令・決定を末端の職場において周知徹底を図る一方、労働協約が規定どおり守られているかを監視したり、職場における組合員の苦情・要求を処理し、または職場の組合員の声を組合中央に連絡・報告することにある。この意味で職場委員は、職場の組合員と組合中央機関をつなぐパイプの役割を担っている。職場委員の多くは信頼の厚い組合員であり、その活動はほとんど無報酬である。[執筆者:吉田健二 ]」と紹介されている。
後者のサンジカを紹介している「フランスの労働組合・労働運動――長い後退期を経て活性化のきざし、独立行政法人 労働政策研究・研修機構」では、「労組の基本単位は、サンジカと呼ばれ、一定の地域の産業または職種別に置かれる。そのサンジカの下部組織として地区の支部、さらに支部の下に企業別、事業所別の分会を置くのが一般的。そのため、中小を含む多くの企業、事業所内に、小規模の組合が複数存在することになる。これら労組は、組合費の徴収、企業内での団体交渉などを主な活動とし、ライバルでもある他労組と日常的に顔をつき合わせて勢力争いをしている」と書いている。
http://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2004_12/france_01.htm
1989年にイタリアのトリノのCGILに調査・取材に行ったとき、先に来ていたのは「韓国の青年労働者たち」だった。
国労の方の「複数ある職種別組合の企業内統一がなぜテーマにならないのか」という質問に対して、トリノの地域組合リーダーは「韓国の労働者は、産業別地域組織が職場にどのように力を入れていくのかという話が中心だった」と、言っていたのを記憶する。
何か違っていたのではないか。
さて、いまさらでは遅いかもしれないが、その違いを考えるためにも。以下に「中林賢二郎のページ――労働組合運動への提言」を新規に起こし、UPした。
コミュニティ・ユニオンや地域ユニオンに参加している青年・女性たちが、「職場」「地域」「職種別」「産業別組織」をつなげ運動を展開し、未来を語る上で参考になる情報ではないかと確信している。
中林賢二郎のページ
http://e-kyodo.sakura.ne.jp/nakabayasi/nakabayasi-index.html
中林賢二郎のページ――労働組合運動への提言(新規ページ)
http://e-kyodo.sakura.ne.jp/nakabayasi/nakabayasi-ronkou.htm
▽13/04/15
イギリスのショップ・スチュワード――イギリス労働組合運動における職場組織と職場委員
掲載誌:研究資料月報 / 法政大学社会労働問題研究センター、法政大学大原社会問題研究所、(通号 278) 1981.08(PDF版)
フランス労働組合の組織形態と企業内における組合活動の権利
初出掲載:『ドゴール体制下の労働運動と五月ゼネスト――国家独占資本主義下の政治闘争と経済闘争、フランス総同盟、1968年5月ゼネストの闘争記録』(中林賢二郎・井出洋・小森良夫・坂本満枝 編訳、労働旬報社、A5判、1969年3月) (PDF版)
企業別組合の歴史的形成と弱点の克服
掲載誌:日本の労働組合組織の問題点をえぐる――企業別組織の歴史的形成と弱点の克服、今日の組織問題(創刊6周年記念総特集)中林賢二郎・切山登。労働・農民運動、74号、1972年5月号(PDF版)
追記――「芹澤寿良のページ」でくわしい書評があるので、いっしょに紹介しておきたい。
《書評》イギリス労働運動の現状をどうとらえているか
日本の社会科学者が現地にみた現代イギリス労働運動の最近の動向――中林賢二郎著『イギリス通信――経済危機と労働運動』を中心にして、芹沢寿良、昭和57年(1982)3月31日発行、高知短期大学『社会科学論集』第43号抜刷
はじめに
一 現代イギリス労働組合運動の基礎知識
(イ)イギりス労働組合運動の組織的特徴
(ロ)職揚委貝(ショップ・スチュワード)
ニ イギりス労働運動の今日の発展の背景と指標
三 イギりス労働党の左旋回―その状況
四 イギりスにおける労働運動の現状(一九七九年)の評価をめぐる論争
五 イギりスの労働者の「連帯」・ストライキと市民・生活水準
(イ)イギりスの労働者の「連帯」―労働組合の力の源泉
(ロ)ストライキと市民の反応
(ハ)生活水準
六 イギりス労働運動と市民社会の展望についての感想
▽現代労働組合研究会のHP
http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/111210roudou-index.htm
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