中川雄一郎さんのHPをオープン
中川雄一郎さん(明治大学政経学部教授)が協同総合研究所の理事長になった時(2000年)、私は以前、日本生協連医療部会(現日本医療福祉生協連)の雑誌『健康せいきょう』の編集をやっていたこともあって、医療生協さいたまの『けんこうと平和』紙(10万部発行)を中心とする広報に参加した。
自分としては、ほとんど協力もできない状態だったので、申し訳なく思っていた。
その間の話は、別に書きたいと思っているが、「レイドロー報告」がきっかけになって、日本協同組合学会が創立されたとは、今回の作業で初めて知った。
▽2014年5月7日現在のアドレスは下記です。
http://e-kyodo.sakura.ne.jp/nakagawa/index.html
今では協同組合学会の関係者の誰もが知っている事実であるが、日本協同組合学会設立に大きなインパクトを与えたのは、アレグザンダー・F.レイドローが―世界の協同組合人のために著し―第27 回ICA(国際協同組合同盟)モスクワ大会に提出し採択された報告書『西暦2000 年における協同組合』(『レイドロー報告』)であった。そのことは、レイドロー報告の特徴の一つとして―レイドロー報告の第Ⅴ章で展開されている―「四つの優先分野」のなかの「第2 優先分野:生産的労働のための協同組合」が取り上げられているように、設立大会でも石見報告を通じて「労働者協同組合」が取り上げられたことに見て取れるのである。にもかかわらず、設立大会のエピソードの一つとして私の脳裏の片隅に今でも時として現れるのだが、80 年代に入ってもなお日本の協同組合人や協同組合研究者の一部は労働者協同組合(ワーカーズ・コープ)について「未だしの感」があった、と私は思っている。それでもその後、モンドラゴン協同組合の発展やイギリスをはじめ西ヨーロッパで展開されている労働者協同組合の歴史と現状を正確に認識しようとする協同組合人や研究者が次第に増えてきたのも、やはり『レイドロー報告』の影響があったからであろう(「日本協同組合学会第30 回大会とレイドロー報告」、中川雄一郎、『非営利・協同総合研究所いのちとくらし』所報、No.32、 2010.10.31)
さて、御本人は照れていたが、「CiNiiの論文検索 中川雄一郎」で大学院のころの論文が読める。
同時代に編集者として出発した人間として、わが師・中林賢二郎先生に「協同組合の歴史的・社会的位置」について質問したのは、1980年代初頭で、イギリスに留学して帰ってきたころにやっと先生は「協同組合と労働運動」について書こうと思っていたようだ。しかし執筆がままならず、残念ながら1986年の1月に亡くなってしまった(この話は、京都大学名誉教授・池上惇先生の『仕事おこしのすすめ』、<シーアンドシー出版、1995年>をまとめる作業をしていたときに聞いた話だ。池上先生は同時期にイギリス留学をしていて、懇意になっていたとのこと)。
中川先生は、もうすでに1970年代初頭に、論文を書き始めていたのだ。ぜひ、若い研究者の人にはおすすめだ。
国連の決めた「国際協同組合年」の2012年にUPできたこともよかった。
今回は、更新情報として、以下をUPした。
『レイドロー報告』30 周年、中川雄一郎、非営利・協同総合研究所いのちとくらし所報、No.29、 2010.02.20
日本協同組合学会第30 回大会とレイドロー報告、中川雄一郎、非営利・協同総合研究所いのちとくらし所報、No.32、 2010.10.31
シリーズ『非営利・協同Q&A』誌上コメント(その4、最終回)、出席者:富沢賢治(研究所顧問、聖学院大学大学院教授)、中川雄一郎(研究所理事長、明治大学教授)、坂根利幸(研究所副理事長、公認会計士)、角瀬保雄(研究所名誉理事長・顧問、法政大学名誉教授)、司会:石塚秀雄(研究所主任研究員)、非営利・協同総合研究所いのちとくらし所報、No.36、 2011.02.28
▽追記(2015.09.17)
スマホ向け「中川雄一郎のページ」
http://e-kyodo.sakura.ne.jp/nakagawa/sp/smartphone.html
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