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2012年11月 5日 (月)

『デフレ不況脱却の賃金政策』(小越洋之助監修、労働運動総合研究所編)を寄贈されて

▽追記【書評と紹介】2015828日)

 

『デフレ不況脱却の賃金政策』(小越洋之助監修、労働運動総合研究所編、新日本出版社、201210月――評者・丹下晴喜『経済』、20133月号)

 

この本(新日本出版社、2012年10月、定価2000円〈税別〉)のすべてを紹介できないが、第1章で展開する「日本だけが主要国で賃下げ!」「賃金低下の実態」(定期給与の抑制、非正規雇用の増加)「賃金低下が内需低迷・円高を招く」。しかし一方「大企業の内部留保は異常な増加」と論説・データなどからよく分かる。

 

 私からすれば、連合の誕生(1989年)や日経連の「新時代の『日本的経営』」(1995年)の政策実行移行の大変化だと思う。

 

 

121105dehure

 本書の主な目次を以下に掲げる。

第1章 日本の経済・社会における賃金の位置(小越洋之助・村上英吾)

 第1節 日本の賃金をめぐる問題状況

第2節 日本企業のグローバル化と賃金

第2章 賃金水準決定の仕組みと搾取形態の構造変化(金田豊)

 第1節 貸金水準抑制の仕組みの変化刃

第2節 大企業の搾取形態(職場支配)の構造変化(金田豊)

補論 トヨタの賃金体系(佐々木昭三)

第3章 男女間賃金格差にみる女性労働の実情(上田裕子)

第4章 デフレ不況脱却、均等待遇をはかる賃金政策(伊藤圭一・上田裕子)

 第1節 賃金政策の基本的視点

 第2節 均等待遇実現のための「同一価値労働同一賃金」原則

第5章 賃金政策と雇用・社会保障政策との関連(金田豊、小越洋之助)

 第1節 賃金と雇用政策との関連

 第2節 賃金と社会保障政策との関連

 

この中で友人の上田裕子さん(現代ルポルタージュ研究会・一橋大学大学院社会学研究科博士課程後期)が執筆している、第4章の“第2節 均等待遇実現のための「同一価値労働同一賃金」原則”をもっと展開して、まとめてほしいと思った。

 「全労連のスタンス」(p156からp159)について論述しているが、以下のような提言をしている。


 
「全労連のこのようなスタンスは、現在の労働運動と資本の力関係を客観的にみれば次善の策であり、主張の多くは現状を踏まえているもので説得力がある。しかしながら、職場で低賃金と賃金差別に苦しむ非正規労働者あるいは女性労働者が、同一価値労働同一賃金原則を、労働条件の改善を図るための強力な手段と感じ、大きな期待をこめて運動をすすめている現実とは温度差があるように思われる。すでに述べた懸念事項を踏まえつつ、ナショナル・センターとして同原則を認め、同時に賃金向上の運動をすすめる方針を打ち出し、個々の労働者の心に響く労働運動に踏み出す時ではないかと考える」


 その上で、「商社に働く女性の会」の『商社における職務の分析とペイ・エクイティ』や「兼松の事例」などのたたかいと分析を通じて、『「同一価値労働同一賃金」原則の日本の具体化に向けて』をまとめている。

 他の論文は、ぜひ購入して学んでほしい。 

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