お泊まりデイと宅老所――ふくし生協(福岡高齢協)
6月2日(土)に「ふくし生協(福岡高齢協)」の認知症対応デイサービスを見学に行ってきた。場所は博多の繁華街・天神から車で30分ほどの住宅地。
「宅老所 たのしか荘 (通所介護)〒814-0171 福岡市城南区梅林5-52-10」
10年前に地域住民11人の人が発起人となり、ふくし生協(福岡)に申し入れがあり、協同してつくった宅老所。
敷地500坪もあり、庭には桜の大きな木があり、春の花見は出かけないでも済む。
旧料亭の平屋建てを改修して、玄関から座敷に上がる元土間がバリアフリーに改修されで、車椅子も楽々、通れるほどの廊下になっている。部屋は舞台つきの12畳プラス10畳(増築で現在はその倍)、広い食堂、風呂場は2カ所だった。
現在は「12人対応が増築して、24人対応」になっている。スタッフは11人。宅老所なので「お泊まり」もやっている。毎月、数日を除いて家族の希望で5人ほど泊まるという。
泊まるところは玄関近くに部屋があり、ベッドの部屋と畳の部屋があった。
全体として、バリアフリーの廊下と畳、そしてソファーと、小ざっぱりとした上に掃除の行き届いた暮らしを提供していた。
ご案内をしていただいた管理者・介護福祉士の梅野信子さんは、「4月にご利用者様が施設に入ったり、お亡くなりなった人もいて経営が大変」とこぼしながら、「通常のデイから移ってきたご利用者さんが、“食事をよくしていますね”、とケアマネさんから言われたり、暴言をはいた人がやさしくなったり、変わっていくのを目の当たりにして、良かったね、とみんなで言えるのがいいんです」と話す。
「自慢ではないのですが職員の仲間も止める人がいないんです。食事づくりをしている仲間は、開設当時からなんです」とにっこり語る。
梅野さんの関わり方もユニーク。
「この職場に私は7年もいるんです。夫の定年で数ヵ月旅行などもしていたんですが、このままでは嫌だと、ここに送迎と事務に入ったんですが、責任者が移動することになり、ヘルパー2級、そして介護福祉士の資格をとり、いまでは責任者なんです。帰りも定時のはずが、遅くまで残っていて、家族の希望に反しているんです」と。
夢は「小さな施設をつくってすべてを看るところをつくりたいんです」と、地域の組合員さんや家族とも話し合いをしているとのこと。
翌日、創設以来21年で、全国的に有名な「宅老所よりあいの下村恵美子さん」の話を聞いた。
このブログに関わるので一言書いておく。
「私たちのところは、簡単に泊ってもらわない宅老所なんです。泊まるときは家族との十分なコミュニケーションをとった上で、お互いの覚悟を決めて、泊まってもらう。それも食事付き5000円です」
「看とりが終わって、家族から“よりあいのみなさんが家族・娘です”、と言わせてはいけないんです。必ず家族に体を触ってもらう、その介護を行ってもらうために自宅に帰すのです」と。
「福岡でも泊まり800円という青年ビジネスマンの泊まり付きデイサービスがいっぱいできてきました。ホームページを見ると、当事者が庭の花植えをして、スタッフの青年がニコっとしている。それと私たちの宅老所はどうちがうのか。事実で納得してもらわないといけないでしょう」と。
「宅老所 たのしか荘」のふくし生協(福岡高齢協)は「宅老所ケア」を打ち出し、下記のようなシンポジウムを6月3日(日)に「9電協創館」で開いた。その問題提起を書いておく。
高齢者フェスタふくおか(基調提案)
福祉の定義は「しあわせ」や「ゆたかさ」といわれます。私たち(福岡県高齢者ふくし生協)は、その福祉への願いや想いをスローガン…『好きなまちでいきいきと暮らし、住み慣れたまちで安心して老いたい』 …に込め、私たちが生活する地域をよりよくするために『宅老所ケア』と位置付けて実践活動を展開してきました。
『宅老所ケア』は、地域運動として全国に広がった宅老所(私たちの福祉拠点や同様の願いや想いで立ち上がった事業拠点を含む)を、協同組合という枠組みで「働くもの」・「地域で生活するもの」・「介護サービス等を利用するもの」、そして「地域」にとって欠かせない社会資源として永続発展させよう(させたい)という「方針の総称」です。各地に誕生した宅老所が、世代を超えて地域に根付くために、私たちは協同組合という枠組みでその願いや想いをつないでいく構えです。
具体的には、『宅老所ケア』は「24時間365日の支え合い」を基本方針とし、3つの実践方針…
①福祉拠点の「ケアの質」向上や相談窓口としての役割などの充実
②看取りまでを視野にいれた医療などとの連携
③介護だけではない日常生活の困りごとを支えあう取り組み
…を掲げ、宅老所運動の実践者や在宅医療の専門家を招くなど、私たちの『宅老所ケア』の方向性を確認しあいながら、「学習や交流の機会」と「実践経験」を積み重ねてきました。
今回、「福祉の生協」を母体とする全国の仲間を迎えるにあたり、「24時間365日の支え合い」をテーマに、「3つの実践方針」に沿った分科会(パネルディスカッション)を企画しました。
ふくし生協(福岡高齢協)の問題提起と「30泊31日のお泊まりつきデイ」を売り込む青年ビジネスマンたちの商法(介護を品質という目で見る時代錯誤のリーダー)は、かならず違うものだという「青年たち、ケアマネさん、家族」が現れてくると確信する。
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