「ふくし生協」へのネーミング変更
「ふくし生協さいたまだより」(2011年10月号)の《連載2:変わる高齢協・進むふくし生協》で、なぜいま「福祉を主たる事業とする協同組合」なのかを提案した。
▽“かけがえのない役割”を実現する
1990年代後半に国連の「国際高齢者年」開催もあり、当時、高齢者協同組合(高齢者生協)を提唱し、つくる活動の中心を担ったのは、日本労働者協同組合連合会でした。
日本が高齢社会へ向かうという状況の中で、「寝たきりにならない、しない」「元気な高齢者がもっと元気に」をスローガンに、自分たち自身の手で、豊かな高齢期を創り出そうと、互いに支えあい励ましあう組織として高齢者協同組合を構想し、呼びかけ、全国に設立してきました(日本高齢者生協連には23組織が参加)。
ふくし生協さいたま(さいたま高齢協)もその一環として、生まれています。
亡くなった菅野正純さん(日本労協連理事長)は、『これからの高齢協運動を考える』(2003年6月発行、日本高齢者生協連のHPで読めます)で、高齢協の提唱が社会的に受け入れられた要因を次のように語っています。
“▼人と人のつながりの再生――第一には、孤立から解放されて、人と人とのつながりを取り戻したい、という人びとの願いの強まりでした。▼人がいきいきと生きるケア、地域福祉――第二には、「寝たきりにならない・させない」「元気な高齢者をもっと元気に」という、新しい介護と地城福祉のあり方への願いでした。▼かけがえのない「役割としての仕事」――第三に、人と人とのつながりの中での、かけがえのない「役割」としての「仕事」という、新しい働き方への願いです”
▽ふくし生協さいたまでの経験
私たちの経験でも、第二の「新しい介護と地域福祉のあり方」を実践してきた女性たちを中心にこの間、組織を維持してきました。
増田アツミ理事長は、当時を振り返っています(「さいたま高齢協だより」2010年10月号)。
――事業を始められたいきさつを聞かせてください。
[増田] 労働者協同組合という組織があり、「高齢期を豊かに生きたい」という集まりを作ろうという呼びかけに応じたのがきっかけです。それは10年ほど前の話ですが、すでに高齢社会の到来が話題になっていました。高齢者にとって何が必要か考えたときに「仲間」・「仕事」・「生きがい」を作ることが必要ではないかということになりました。呼びかけに応えた当時定年退職した男性たちを中心に、任意団体としてスタートしました。
集まってから何をやるのか考えました。何か退職後の仕事があるのではという考えで参加した人もいたようですが、なかなかそうはならなかった。おじさん達は組織(=会社)の中で生きてきた人たちなので議論し、決めることは得意ですが、仕事を作ることはできなかったのです。
▽ふくし(福祉)をとらえなおす
ささえあい新潟の高見専務さんは、“ふくし(福祉)とは、「(ふ)ふつうに(く)暮らせる(し)幸せ」”とニュースの中で書かれています。
現在、介護保険体制下のもとでの高齢者介護だけでなく、障がい者、子ども、女性(青年)など地域に普通に暮らしている人たちの幸せをつくりだすこと――そのために市民の協同の力を集め、「ふくし生協」が各地につくられることが求められています。
そのとき、全日制市民となった高齢者は「支えられる存在から、社会を支える存在に」なって、自分の生きがい・仕事が欲しい・役割を持ちたいという願い(自己充足型)と、「生活と福祉で地域をつくりかえる」(協同・連帯型)“かけがえのない役割”として、新たな参加が求められているのではないでしょうか。
その「共生・連帯の社会づくり」に挑戦することが、「ふくし生協」へのネーミング変更に込められています。 (広報・飯島信吾)
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