▼追記(2016.11.08)
紅林進です。(2016.11.08)
核兵器保有国であり、NPT(核拡散防止条約)やCTBT(包括的核実験禁止条約)にも非加盟の
インドへの原発輸出につながる日印原子力協定を安倍政権とインドのモディ政権は締結しよう
としていますが、一方、やはり日本が原発を輸出しようとしているベトナムでは、建設を予定
していた原発建設を財政的理由から延期を検討しているとの「共同通信」発の記事
が、昨日の「東京新聞と「毎日新聞」に載っていました。
(以下転載)
ベトナムの原発建設延期へ 共産党、財政難で再検討指示
東京新聞 2016年11月7日 朝刊
【ハノイ=共同】ベトナムが日本やロシアの支援で計画している初の原発建設について、ベトナム共産党が十月、政府の財政状況から「現時点で多額の投資は非常に困難」として延期の方向で見直すよう政府当局に指示したことが六日分かった。政府は計画の包括的な見直しを進めており、報告書を国会に提出する方針。
日本は二〇一〇年、官民一体の売り込みが成功しベトナムで原発二基の建設を受注することが決まった。計画が大幅に延期される可能性もあり、原発輸出を成長戦略の一つに位置付ける安倍政権にとって大きな痛手となる恐れがある。
複数の党・政府関係者が明らかにした。ベトナム政府はグエン・タン・ズン前首相の政権下だった今年三月に発表した電力開発計画改訂版で、初の原発を二八年から稼働する方針を示した。
しかし今年一月の党大会で選出された新しい党指導部の一部メンバーは、多額の債務を抱える中での原発建設や原発の安全性に懸念を表明。十月に開かれた党第十二期中央委員会第四回総会は、延期の方向で計画を再検討する方針で一致した。
ただ、政府内では電力需要の高まりや、石炭火力発電による環境悪化への懸念から原発導入を支持する声が根強く、商工省の当局者は原発建設自体を中止する可能性については否定した。
ベトナムは〇九年、中部ニントゥアン省に原発四基を建設する計画を承認。当初は初の原発を二〇年に稼働させる予定だったが、東京電力福島第一原発事故を受けて津波対策などが必要となり延期されてきた。
現行計画では、ロシアが受注したニントゥアン第一原発が二八年、日本受注のニントゥアン第二原発が二九年にそれぞれ運転開始の予定。着工時期は明らかにしていない。
<ベトナムの原発計画> ベトナム国会は2009年、中部ニントゥアン省の2カ所に原発を2基ずつ建設する計画を承認。いずれも100万キロワット級。フォックジン地区の第1原発はロシアが、ビンハイ地区の第2原発は日本が、それぞれ受注を決めた。当初の計画では初の原発が14年に着工、20年に稼働の予定だったが、延期が繰り返されている。最新の計画では第1原発の稼働予定を28年、第2原発の稼働予定を29年と設定した。 (共同)
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「さよなら原発」という声に賛同するものとして、メールで流れている以下のニュースはいかがなものか。
私の知人も、以下のような記事を引用して“ベトナムに郷愁をもつ日本人に、「反原発」を”と訴えている。
「朝日新聞」の「私の視点」欄(10月7日付、朝日朝刊)に載ったベトナム原発輸出への危惧の記事だ。
“さらにベトナム反戦運動を推進した日本の団塊世代には、帝国アメリカに勝利したベトナムを理想化し、強い思い入れを描いている人が多い。この思い入れは厄介なことに、権力をふるう「普通」の一国家でしかなくなった今のベトナムを見る目を曇らせている。彼らは「原発輸出」を試みる日本政府には批判的だが、ベトナム政府を批判する言葉を持たない”。
ハノイ市内の公園で(左がホーおじさん。右は不明)
私も昨年の11月にハノイを訪問したが、同じホテルには数日前に菅直人首相も泊まっていたと聞いた。その時は、友好訪問だと思っていたが、「3・11」以後の状況の中で、「原発輸出外交」を行っていたということを知って、がっくりきた憶えがある。
日本における「さよなら原発」と同じように、ベトナムでも中国でも「さよなら原発」の声が高まることと、アジアを大事にする日本の政治家たちにも考え直してほしいと思う、今日この頃だ。
ベトナム原発に協力表明=民主・仙谷氏
【ハノイ時事】ベトナム訪問中の仙谷由人民主党政調会長代行は24日ハノイ市内の会合で、東京電力福島第1原発事故にもかかわらず、ベトナムが日本からの原発輸入方針を堅持していることについて「日本のエネルギー政策にとって非常に心強い。周辺のインフラ整備も含めて、できるだけ協力したい」と表明した。(2011/10/24-16:39)
原発輸出は当面継続=「国家間の信頼留意」-政府答弁書【時事】
政府は5日の閣議で、原子力発電所の海外輸出について「諸外国がわが国の原子力技術を活用したいと希望する場合には、相手国の意向を踏まえつつ、世界最高水準の安全性を有するものを提供していくべきだ」として、当面は継続する方針を示した答弁書を決定した。自民党の小野寺五典衆院議員の質問主意書に答えた。
答弁書では、各国と進めてきた原子力協力について、「外交交渉の積み重ねや培ってきた国家間の信頼を損なうことのないよう留意し進めていく」とし、国会に提出しているヨルダン、ロシア、韓国、ベトナムとの2国間協定について「引き続き承認をお願いしたい」と理解を求めた。(2011/08/05-16:06)