甦る菅野正純さん(元協同総合研究所主任研究員)の思い
私が出会ったなかでも数少ない異端の友(私と同系という意味ですが)だった菅野正純さん。最後は、日本労働者協同組合連合会理事長の任にあったが、数年前に夭折して、かえすがえすも残念至極のことだった。
しかし、今回私が書き始めようと思った「変わる高齢協・進むふくし生協」(「福祉生協さいたま―生活協同組合 さいたま高齢協」のニュース)の中身を検討し始めて、レジュメを立てたとき、ハタと思いだしたのは、彼のことば――「高齢者が元気に生きられるまちは、障がい者がすごしやすく生きられるまち」という複合的・ネットワーク的問題提起だった。
彼と一緒に編集した1990年代の『仕事の発見』(隔月刊、日本労協連発行、B5判・48~64P)は、彼の理念――人間再生・地域再生・地域コミュニティーの再生、そして地域の協同・福祉社会の創造・協同労働論から始まった。
当時、まだ日本にはなかった「労働者協同組合」と「地域福祉社会をになう高齢者協同組合」を車の両輪のようにつくりだし、前者が後者を引っ張ることを目的にした雑誌だった。
彼の理念の現実化が、この10年間で、それもなんと高齢者協同組合自身の中から、内発的に始まっていることが、日本高齢者生協連合会の分厚い報告集にあった。
「コミュニティケアの推進」「小規模・多機能なデイサービスプラス宅老所を」「ケアホーム(共同生活介護)をつくりだす」「入居しやすい高齢者専用住宅づくり」「就労支援のための事業」「高齢者と障がい者を支えるモデル地域にしよう」「子育て安心サポートづくり」などである。
生きていてくれれば、その実証を見られたのに、という思いが強い。
もちろんこの雑誌の企画は故・中田宗一郎日本労協連専務理事の熱意がなかったら、あの時代に発行していなかったはずだ。