『現代労働問題分析』(石井まこと他編著)を寄贈されて
学生時代に今崎暁巳さんの『ドキュメント日本航空』を読んで感動し(この本だけではないと思うが)、今は大分大学で教育にあたっている石井まことさん。学生との対話として、以下の文章が同大学のHPに掲載されている。
http://www.ees.ec.oita-u.ac.jp/gp/reporter/reporter_3.pdf
“今崎暁巳さんの「ドキュメント日本航空」という作品も心に残っています。労働組合という、企業で働いている人たちが自分たちの労働条件をよくするために組織を作ります。極めて正しい行動です。法律でも認められています。ところが、労働条件向上に腐心しない会社にもの申すと、会社からいろいろと差別を受けます。それに屈せずに、安全のためには整備士がもっと必要であるとか、無理なフライトはさせないようにとか、いろいろとずっと会社側に提案してきたということが克明にかかれています。
実は、高校生の時、パイロットになろうと思って勉強していました。パイロットになれば航空会社に入るわけだけど、航空会社の中がね、かなり大変だっていうことをこの本を読んでわかって、じゃぁもっと詳しく知ろうというので、勉強するならば労働問題をしようということで少しずつ労働問題に入っていきました。山崎豊子さんが後に小説にした「沈まぬ太陽」がありますが、最近では渡辺謙さん主演で映画にもなっています。“
その石井さんから、過日、『現代労働問題分析――労働社会の未来を拓くために』(法律文化社、石井まこと・ 兵頭淳史・ 鬼丸朋子編著、判型 A5判、320頁、2010年3月、定価3,150円〈税込〉)が送られてきた。
同書には、下山房雄さん(元九州大学教授、元下関市立大学学長)の大学院ゼミ関係者や関東社会労働問題研究会(私にはなつかしい高橋祐吉さん・専修大学教授の名前もある)が参加している。
書名は、私が労働関係の編集者のときに編集した『現代日本労働問題分析』(1983年)からとられているのは下山房雄さんからの年賀状で知っていた。
石井さんは、自分が感動した本と下山さんの本も同一編集者がからんでいることに、びっくりしていた。
そうなんです、世の中は狭く、歴史はつながっている。
こちらもびっくりしたのは、同書の中で「論争相手」として、登場しているのが私の先輩の木下武男さん(昭和女子大学特任教授)。
2冊の本が取り上げられている(p19――『日本人の賃金』〈平凡社新書、1999年〉、p205、206――『格差社会にいどむユニオン』〈花伝社、2007年〉。
私が労働関係の編集者の時代から20年がたっており、本書全体の問題意識をすべて紹介できないが、興味のある方は、ぜひ、お読みいただきたい。
私が編集に参加した、なつかしいわが中林賢二郎さんの『現代労働組合組織論』(労働旬報社、1979年)も参考にされていた(p290)。ありがとうございます。
▽追記(12/01/15)この話の続きは、以下のページへ
労働問題・労働組合をめぐる書評・論点 1――現代労働組合研究会(Part Ⅲ)
http://okina1.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/part-0879.html
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